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2025年9月3日

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令和7年上半期の岩手県内労働災害623件、前年比83件増加

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令和7年1~6月分の労働災害発生状況(速報値)(岩手労働局)


この記事の概要

岩手労働局が発表した令和7年上半期(1月〜6月)の労働災害発生状況によると、死傷者数は前年同期比で15.4%増の623人に達し、特に「転倒」による災害が全体の約3分の1を占める深刻な課題となっています。業種別では運輸交通業や製造業の増加が目立ち、高年齢層での災害発生が顕著であることも明らかとなりました。


令和7年上半期、岩手県内の職場における労働災害が顕著に増加しているという事実が、厚生労働省岩手労働局より公表されました。1月から6月の6か月間に発生した労働災害による死傷者は計623人にのぼり、前年同期と比べて83人増、率にして15.4%の増加となりました。一方、死亡者数については前年の5人から2人に減少しており、これは改善傾向とも言える結果です。しかしながら、全体としては死傷災害が再び増加に転じており、安全対策の再検討が急務となっています。

特に注目すべきは、事故の原因として最も多く見られた「転倒」による災害です。全体のうち214件、割合にして34.3%を占めており、依然として最も多い事故の型であることが明らかとなりました。前年の同時期と比較しても増加傾向が顕著であり、この問題が多くの業種で共通して発生していることが確認されています。なかでも、小売業では転倒災害が全体の56.6%と突出して多く、製造業や建設業、社会福祉施設においても高い比率を示しています。

事故の型別にみると、「転倒」に続き、「墜落・転落」が102件で16.4%、「はさまれ・巻き込まれ」が71件で11.4%、「動作の反動・無理な動作」が64件で10.3%と続いています。交通事故や激突、切れ・こすれなども一定の割合で発生しており、労働環境の多様化により複数のリスクが存在することがうかがえます。

業種別では、運輸交通業の増加が著しく、前年同期比で26人増の82人、率にして46.4%もの増加となりました。続いて製造業では127人と前年比で19人増加しており、17.6%の増加率となっています。さらに商業は92人で16人増(+21.1%)、接客娯楽業が32人で12人増(+60.0%)と、サービス業を中心に労働災害の拡大が目立ちます。特に通信業では件数こそ少ないものの、前年の4人から倍増の8人(+100%)と著しい変化が見られました。一方、唯一の減少業種である畜産水産業は、前年同期の32人から21人へと11人減少し、34.4%の減となっています。

新型コロナウイルス感染症に起因する労働災害も大きく減少しました。令和7年上半期では29人の発生がありましたが、前年同期の182人と比較すると153人もの大幅な減少(-84.1%)となっています。この結果から、感染症リスクに対する職場での対応が徐々に定着してきたことがうかがえます。

年齢別にみた転倒災害の発生状況においては、60代が最も多く、50代以上で全体の約8割を占めることが判明しました。これは高年齢層における身体的変化や反応速度の低下、注意力の減退などが災害要因となっている可能性を示しており、高齢者を雇用する企業にとっては特に対策が求められる課題です。

岩手労働局は、今後も引き続き転倒災害の防止に重点を置いた対策を推進する方針です。また、仙台管区気象台の発表によれば、令和7年8月の東北地方は平年よりも気温が高くなる可能性が50%と予測されているため、職場における熱中症対策の重要性も高まっています。これを受けて、岩手労働局は改正された労働安全衛生規則の周知を図り、「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」を中心に、暑さによる健康被害の防止に向けた取り組みを継続していくとしています。

また、過去の統計と比較しても、労働災害の発生件数は一度減少傾向を示していたものの、令和7年に入り再び増加傾向へと転じました。平成30年以降の推移を見ると、500人台前半から700人台前半で推移してきた死傷者数が、ここ数年は上下動を繰り返しており、安定した減少には至っていません。こうした状況からも、従来の対策だけでは限界があることが浮き彫りとなっています。

このように、令和7年上半期の労働災害状況は、依然として課題が山積していることを示しています。災害の種類、業種、年齢層など多角的な分析を通じて、より実効性の高い対策の導入が急務であり、企業や関係機関との連携を深める必要性が高まっています。特に転倒災害への対応、そして高齢労働者への配慮は、今後の職場づくりにおいて重要な鍵を握ることでしょう。安全で安心な労働環境を整備するためには、労使双方が一丸となって、意識と行動を見直すことが求められています。

この記事の要点

  • 令和7年上半期の岩手県内の労働災害は前年同期比で15.4%増
  • 死傷者数は623人、死亡者数は前年より3人減の2人
  • 転倒災害が最多で全体の34.3%、小売業で特に多く発生
  • 60代以上が転倒災害の約8割を占めており高齢者対策が急務
  • 運輸交通業や製造業など主要業種で死傷者数が増加
  • 新型コロナによる災害は前年より大幅減で29人に
  • 熱中症対策として「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」継続中
  • 令和7年は労働災害数が再び増加傾向にあることが明らかに
  • 過去の対策の限界が見え始め、新たな施策の必要性が浮上
  • 岩手労働局は転倒災害対策と熱中症防止対策を重点推進中

⇒ 詳しくは岩手労働局のWEBサイトへ

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