2025年8月12日
労務・人事ニュース
令和7年度税収は過去最高77.8兆円、企業活動に与える法人税の影響とは
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最終更新: 2025年9月5日 10:08
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もっと知りたい税のこと(令和7年7月発行)(財務省)
この記事の概要
日本の税制度は、私たちの生活に密接に関わっており、年金や医療、教育といった公的サービスの提供を支えるために欠かせません。この記事では、税の基本的な役割から、各税目の特徴、国の財政状況、税収の推移、さらに国際課税制度や近年の改革までをわかりやすく解説します。
税とは何かと問われたとき、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、給与から差し引かれる所得税や買い物時にかかる消費税かもしれません。しかし、その役割は単なる国の収入源にとどまりません。税は私たちが共に生きる社会の「会費」として、年金、医療、教育、防衛、道路整備、水道、消防など、日々の暮らしを支える多くの公共サービスの財源となっているのです。
現在の税制度には三つの基本原則が設けられています。一つ目は公平性の原則です。これは、所得が同じ人には同じ税負担を、より経済力のある人にはより多くの負担を求めるという考え方で、水平的公平と垂直的公平、さらに近年では世代間の公平も重要視されています。二つ目は中立性で、税制が個人や企業の経済活動における意思決定を歪めないようにすること。三つ目が簡素性で、制度をできる限り簡単で理解しやすいものにするという原則です。
税には大きく分けて、所得に対する税(例:所得税、法人税)、消費に対する税(例:消費税、酒税)、資産等に対する税(例:相続税、不動産取得税)があります。課税主体によっても、国が課税する国税と、自治体が課税する地方税に分類され、合計で40種類以上の税目が存在します。
国の税収は、景気の動向に大きく左右されてきました。平成2年度には約60兆円だった税収は、リーマンショックの影響を受けた平成21年度には約38.7兆円まで落ち込みました。しかしその後、景気の回復や消費税率の引き上げにより、令和6年度には75.2兆円、令和7年度の予算では77.8兆円まで回復しています。
税収の内訳を見ると、令和7年度予算における主な税目の税収は、所得税が22.7兆円、法人税が19.2兆円、消費税が24.9兆円となっています。特に消費税は、税収が安定的で世代間の公平性にも寄与することから、社会保障の重要な財源と位置づけられています。
所得税については、収入の種類に応じて10種類の区分が設けられ、それぞれの性質に応じて課税方式が定められています。たとえば給与所得は総合課税とされ、課税所得に対して累進税率が適用されます。最高税率は課税所得4,000万円を超える部分に対して45%であり、これは再分配機能を強化する観点から設定されています。
一方で、相続税は亡くなった方の財産を相続する際に課される税で、財産の金額が高いほど高い税率が適用される仕組みです。かつては課税される対象者が死亡者全体の4%程度にとどまっていましたが、平成25年度の税制改正によって基礎控除の引き下げと税率構造の見直しが行われ、より多くの人が対象となるようになりました。
さらに、生前に財産を移転する贈与税も、相続税の補完的な役割を果たしています。贈与税には年ごとに課税される「暦年課税」と、一定額までの贈与を相続時に一括して精算する「相続時精算課税」の二つがあり、ライフプランに応じた資産移転が可能になっています。
消費税においては、軽減税率制度も導入され、飲食料品などの税率は8%とされています。また、税率が複数存在することに伴い、事業者が適切に税額を計算できるよう、令和5年10月からはインボイス制度が導入され、適格請求書による取引管理が求められるようになりました。
企業活動に関わる法人税については、企業の税引前利益を基に所定の調整を加え、課税所得を算出したうえで、税率を適用して法人税額を計算します。現在の法人実効税率は29.74%とされ、かつての37%超から段階的に引き下げられています。この見直しの背景には、企業の国際競争力の維持という観点があります。
国際課税制度の分野では、近年デジタル化が進む中で、物理的な拠点を持たない企業に課税するためのルール作りが進められています。日本も参加するOECD・G20のBEPSプロジェクトでは、「市場国への課税権の配分」や「グローバル・ミニマム課税」の導入が議論されており、国際的な公平性を確保するための取り組みが進行中です。
また、日本は現在、156の国や地域と租税条約等を締結しており、情報交換や徴収協力などを通じて、国際的な課税逃れを防ぐための体制も整備しています。
全体として、わが国の財政は依然として厳しい状況にあり、令和7年度の予算では歳出総額115.2兆円のうち、税収では約4分の3しか賄えず、残りは借金に依存しています。高齢化が進み、社会保障費が膨らむ中で、より持続可能な税制度と財政運営が求められているのです。
この記事の要点
- 税は社会の会費として公共サービスの基盤を支える
- 令和7年度の税収は約77.8兆円で、歳出の4分の1は借金依存
- 所得税は22.7兆円、法人税は19.2兆円、消費税は24.9兆円
- 所得税は累進課税で再分配機能を担う
- 消費税は全世代型社会保障の財源として位置付けられている
- 相続税・贈与税の見直しで資産移転の公平性を強化
- 法人税率は国際競争力を考慮して段階的に引き下げられている
- BEPSプロジェクト等を通じた国際課税ルールへの参加を推進中
⇒ 詳しくは財務省のWEBサイトへ