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2025年7月3日

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令和7年版LPAが登場、14年ぶりの改訂で国内ファンド組成の標準化を後押し

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「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」を策定しました(経産省)

2025年6月23日、経済産業省は「投資事業有限責任組合契約書例及びその解説(令和7年版)」の策定を発表しました。今回の策定は、平成22年版および平成30年版に続く新たなモデル契約書(LPA)の提示となり、国内外の実務に即した内容への刷新を目的としています。令和7年版モデルLPAは、投資事業有限責任組合(LPS)を活用するファンド運営者にとって、より実務に即した契約書作成を可能にするものであり、投資家との契約交渉の効率化と信頼性の向上を図る重要な資料となります。

LPS制度は、国内において2000年代以降に整備された制度で、主にベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティ・ファンドの組成に活用されてきました。経済産業省はこの制度の円滑な運用を支援するため、過去にもモデルLPAを公表してきましたが、特に平成22年版はバイアウトファンドなど幅広い用途に対応する汎用的な内容であり、多くの事業者に利用されてきました。しかし、制度創設から年月が経過し、国内外の契約実務や法規制の変化を受け、従来のモデルでは現場のニーズに十分応えきれなくなっていたことが、今回の見直しの背景にあります。

令和7年版モデルLPAの策定にあたっては、「新たなモデルLPAの作成等のための有識者検討会」が設置され、法律実務に精通した弁護士や会計士などの専門家が参画しました。これにより、契約書例の正確性や実用性が高められ、実務家が現場で直面する課題にも的確に対応できる構成となっています。

新たなモデルLPAは5つの分冊から成り立っています。第一分冊には、外国投資家の受け入れを見据えた和文の契約書例が掲載されており、将来的なグローバル展開を志向する国内ファンドにとって有用な内容となっています。第二分冊では、第一分冊の各条文について逐条解説が加えられており、契約書を作成する際の理解を助ける構成です。

第三分冊は、外国投資家の出資を想定していない事業者向けに設計されており、第一分冊をベースに外国出資者に関する条項を整理したシンプルな構成です。国内限定のファンドを組成する場合に適しています。

第四分冊は英文契約書版で、これまで日本のLPS制度に適合した国際標準の英文契約書例が存在しなかったという課題に対処するものです。海外投資家との契約交渉に必要な実務を前提とし、国際的に通用する形式で作成されています。単なる翻訳ではなく、国際的な契約慣行を踏まえた上で、LPS特有の条項も適切に取り込まれており、日本企業が外国資本を呼び込む際の障壁を下げる大きな意義を持ちます。

さらに、第五分冊では第四分冊の解説が行われており、グローバルなファンドストラクチャーの中でLPSをどう活用するか、その仕組みや意義について詳細に解説しています。また、英文契約書の当初案とその和訳(イニシャルLPA)も添付されており、これを利用することで事業者は煩雑な翻訳作業を省きながら登記などの手続きを迅速に進めることが可能です。これにより、組合口座の開設やプロバイダーとの契約を早期に行うことができ、ファンド運営の立ち上がりを加速させる効果が期待されます。

今回の令和7年版モデルLPAの策定は、制度の信頼性を高めるとともに、国内ファンド業界の競争力を強化する一助となることが見込まれます。グローバル市場との接続性を意識した内容に刷新されたことで、日本のファンドが海外資金を呼び込みやすくなり、より広範な事業展開を可能にする環境が整いました。今後、LPS制度を活用する企業や投資家にとって、契約書作成にかかる負担が軽減されるとともに、投資スキームの信頼性が高まることが期待されます。

事業者やファンドマネージャー、投資家にとってこのモデルLPAの活用は、契約交渉の効率化だけでなく、リスクマネジメントの向上にも寄与するため、ファンド設立時の検討材料としてぜひ一度確認すべき重要な資料です。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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