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2025年9月9日

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令和7年 無床診療所・訪問看護に18万円支給、埼玉県の医療機関支援が処遇改善を後押し

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令和7年 埼玉県 生産性向上・職場環境整備等事業


この記事の概要

人材確保と職員処遇の改善を目的として、埼玉県では医療機関等を対象に、生産性向上や職場環境の整備に要した費用に相当する給付金を支給する制度が設けられている。申請受付は2025年9月1日から10月31日までで、対象はベースアップ評価料を届け出た病院・診療所・訪問看護ステーション。


人材不足が深刻化する医療現場において、効率的な業務体制と職場環境の改善は急務となっている。埼玉県が令和7年度に実施する「生産性向上・職場環境整備等事業」は、まさにこうした課題に対応するために創設された支援制度であり、限られた医療人材を最大限に活用しながら、現場の負担を軽減し、同時に職員の処遇改善にもつなげることを目的としている。制度の実施主体は埼玉県だが、制度設計は厚生労働省の方針に基づいており、令和6年度から令和7年度にかけての取り組みに対して給付金が交付される見込みである。

この制度の対象となるのは、令和7年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている病院、有床診療所、無床診療所(医科・歯科を問わず)、および訪問看護ステーションである。届け出は厚生局に書類が到達した日を基準とし、仮に書類不備などで返戻されても、最終的に受理されれば対象となる。この点は申請者にとって安心材料となるとともに、制度の柔軟性を示している。

支援の対象となる取組みは、主に業務の生産性を高めるための設備導入や人員配置の見直しである。具体的には、タブレット端末やWEB会議システム、離床センサー、床ふきロボット、インカム、監視カメラなどICT機器の導入を通じて、職員の負担を軽減し、業務の効率化を図ることが認められている。また、医師や看護師の事務作業を支援するために、新たな職員を配置するタスクシフト/シェアも対象となり、現場の役割分担を見直す取り組みが推奨されている。さらに、給付金を原資として既存職員の賃金を引き上げるといった処遇改善も支援対象に含まれており、賃上げを通じた人材定着の促進も見込まれる。

給付金の金額は、病院や有床診療所の場合、許可病床数1床あたり4万円が支給される。なお、許可病床数が4床以下の有床診療所については、1施設あたり18万円の一律支給とされている。無床診療所および訪問看護ステーションについては、いずれも1施設あたり18万円が支給されるため、規模に関わらず一定の支援が受けられる仕組みとなっている。

申請期間は令和7年9月1日(月曜日)午前9時から、同年10月31日(金曜日)午後11時59分までであり、申請はオンラインでの受付に限定されている。郵送による申請は認められていないため、申請希望者は電子システムまたは電子メールを利用し、登録申請フォームを通じてメールアドレスを事前登録する必要がある。登録されたメールアドレス宛に申請フォームへのURLが送信される形式で、受付開始のタイミングから速やかな対応が求められる。

必要な申請書類には、申請書兼請求書、実績報告書、消費税および地方消費税に関する仕入控除税額報告書、取得財産処分承認申請書などがあり、それぞれエクセルまたはワード形式での提出が必要となる。また、申請内容や給付金の使途に関しては、後日実績報告を行うことが求められており、制度の透明性と適正な運用が重視されている。

本制度の背景には、医療機関が置かれている厳しい経営環境と、現場で働く人々の処遇に対する社会的な関心の高まりがある。限られた人材であっても、業務の質を保ち、医療提供体制を維持するには、生産性向上への継続的な投資が不可欠であり、そのための財政的支援として本事業が設計されている。単なる機器の導入だけでなく、職員一人ひとりの働き方改革につながるような取り組みが支援される点においても、本制度は重要な意義を持っている。

この記事の要点

  • 対象はベースアップ評価料を届け出た医療機関等
  • ICT機器導入やタスクシフトによる業務効率化が支援対象
  • 病床数に応じて病院には1床あたり4万円を支給
  • 無床診療所と訪問看護ステーションには一律18万円
  • 支給対象には既存職員の賃金引き上げも含まれる
  • 申請期間は令和7年9月1日から10月31日まで
  • 申請は電子システムまたはメールで、郵送不可
  • 書類不備による返戻があっても再提出で対象となる可能性あり
  • 厚労省の指針に基づき令和6年度から7年度の取組を支援
  • 処遇改善と業務効率化を同時に実現する制度として注目

⇒ 詳しくは埼玉県のWEBサイトへ

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