労務・人事ニュース

令和7年度 鯖江市子育て世代応援企業移住就業奨励金

福井県鯖江市では、地域社会の活性化と若い世代の定住促進を目的に、「子育て世代応援企業移住就業奨励金」という制度を実施しています。この制度は、特に子育て世代に焦点を当て、企業の担い手となる人材を福井県外から呼び込むためのもので、鯖江市子育て世代応援企業に認定された市内の企業に移住して就職した40歳以下の方を対象に、奨励金を交付する取り組みです。人材不足に悩む企業にとっては、若年層を確保する絶好の機会であり、採用活動における重要なインセンティブとなります。

この奨励金制度の特徴は、地方移住を促進しながら、働く環境として子育てに理解のある企業を優遇するという点にあります。対象者となるには、まず大学在学期間を除いて直近で3年以上連続して福井県外に居住していた実績が必要です。つまり、全国各地から鯖江市へのU・Iターンを促す制度設計であり、都市圏にいる若い世代や子育てを機に地元回帰を考える人々を後押しする内容になっています。

また、対象企業が「鯖江市子育て世代応援企業」に認定されていることが条件であり、この認定制度自体が、働きながら育児との両立を図りやすい環境を提供する企業の証明とされています。さらに、申請者は正社員であり、かつ5年以上の就業意思を持ち、転勤や出向などの一時的な勤務地変更ではなく、鯖江市に腰を据えて働くことが前提とされています。このように、制度の根幹には「長く地域に根ざして働いてほしい」という市の強い思いが反映されており、一過性ではない雇用定着を重視しているのが特徴です。

支給される奨励金の金額は1人あたり20万円で、申請者が別途「鯖江市U・Iターン移住就職等支援事業」の市内就業加算を受けている場合には15万円となります。この金額は、引っ越し費用や生活基盤を整える際の初期費用として有効に活用することができ、移住者にとって大きな経済的支援となります。なお、奨励金の交付は予算の範囲内での運用となっているため、先着順での受付となり、予算額に達し次第締め切られる点には注意が必要です。申請の際には申請書、戸籍の附票、雇用条件通知書の写し、そして誓約書の提出が求められ、不備がある場合は受付日が遅れることもあります。

企業の採用担当者にとって、この制度の最大の利点は、採用活動の際に「鯖江市子育て世代応援企業」としての認定をアピールポイントとして活用できることです。これは、求職者に対して働きやすさと家庭との両立支援に積極的な企業であることを訴求できる要素であり、ミスマッチを避けた効果的な採用を可能にします。また、20万円という奨励金は、採用する企業側ではなく、あくまで就職者本人に対して支給されるため、企業にとっては金銭的負担を伴わずに優秀な人材の誘致が可能になります。

地方都市において、若年層の定着と子育て世代の支援は持続的な地域発展に欠かせない重要なテーマです。鯖江市ではこの制度を通じて、単なる就職支援ではなく、移住・定住というライフスタイルの変化を支える包括的な支援に取り組んでおり、その姿勢は他自治体にとっても参考になる先進的な取り組みといえるでしょう。

このような制度を採用広報に組み込むことで、企業は求職者に対して「移住後の安心感」と「企業文化としての子育て支援体制」を訴求することができ、他社との差別化を図る有力な手段となります。採用時の問い合わせや面接時に制度の活用可能性を案内することで、志望度を高め、優秀な人材の確保につなげることも十分に可能です。

⇒ 詳しくは鯖江市のWEBサイトへ