2025年8月15日
労務・人事ニュース
令和7年1月 30人以上の事業所対象、製造業の統計から導く労働環境改善のヒント(事業所規模30人以上 製造業)
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介護職員/JR鹿児島本線/笹原駅/福岡市博多区福岡県
最終更新: 2025年8月15日 08:05
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介護職員/福岡県/久大本線/筑後吉井駅/朝倉市
最終更新: 2025年8月15日 02:17
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アイリスト/東中間駅/社員募集/8月15日更新
最終更新: 2025年8月15日 01:32
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アイリスト/香春口三萩野駅/社員募集/8月15日更新
最終更新: 2025年8月15日 01:32
毎月勤労統計調査地方調査 令和7年1月分結果概要 事業所規模30人以上 製造業(厚労省)
この記事の概要
令和7年1月における製造業の労働統計データをもとに、常用労働者数や労働時間、給与の実態を全国および都道府県別に分析しました。この記事では、企業の採用担当者が人材確保や労働環境の見直しに役立てられるよう、統計の背景や地域差にも焦点を当て、詳しくわかりやすく解説しています。
令和7年1月時点で、従業員30人以上の製造業に従事する常用労働者数は全国で約593万7千人にのぼりました。これは日本全体の製造業労働市場を示す代表的な数値であり、業界の基盤を支える重要な労働力です。この常用労働者とは、一般的に継続的な雇用契約のもとで働く正社員や長期契約社員を指し、企業にとっても人材投資や教育訓練の対象となる中心的な人材層です。
労働時間の面では、1人あたりの総実労働時間は全国平均で146.8時間となっており、そのうち所定内労働時間が132.9時間、所定外労働時間、つまり残業時間にあたる部分が13.9時間とされています。この所定外労働時間の割合は総労働時間の約9.5%にあたり、製造業における残業の程度を示す一つの指標として注目されます。なお、月間の出勤日数は平均で17.3日となっており、土日休みを基本とした労働体系が浸透している実態がうかがえます。
給与に関するデータも見逃せません。現金給与総額は全国平均で354,818円となっており、その内訳を見ると、きまって支給される給与が342,186円、所定内給与が308,332円、そして特別給与、いわゆるボーナスなどが12,632円となっています。このような給与構造からは、月給制を中心としながらも一定額の特別支給が行われている企業が多いことが見てとれます。
地域別に見ると、労働時間や給与水準に顕著な違いが確認されます。たとえば北海道では常用労働者が11万8千人、総労働時間が134.9時間、所定外労働時間が13.2時間と、全国平均よりもやや短い労働時間となっている一方、給与総額は263,493円と全国水準を大きく下回っています。これは地域経済や物価水準、産業構造の違いを反映していると考えられます。
また、青森県のデータを見ると、常用労働者数は38,800人で、総実労働時間が150.2時間、所定内労働時間が139.7時間、残業が10.5時間という構成になっています。特筆すべきは、全国よりも労働時間が長い傾向にあるにもかかわらず、現金給与総額が266,626円とやはり全国平均よりも少ない点です。これは賃金水準の地域差だけでなく、生産性や労働密度の違いも要因として挙げられます。
一方、岩手県では常用労働者が62,300人、労働時間は総計146.9時間、所定内が135時間、残業が11.9時間、出勤日数が17.4日という数値が示されています。給与については、総額が284,303円、うち特別給与が16,026円とやや多めである点が特徴です。こうした数字は、地域内での企業間競争や人材確保のために給与の上積みを図っている実態を示唆しているとも解釈できます。
このように、全国平均の数値を軸としながら各都道府県のデータを比較することで、地域ごとの働き方や待遇の違いが浮き彫りになります。採用担当者にとっては、自社の立地する地域が全国水準と比べてどうかを把握することが、人材確保の方針を定める上で重要な指標になります。特に、給与が低めである地域では、働きやすさや福利厚生、キャリアパスの充実など、非金銭的な魅力を訴求する必要性が高まります。
また、所定外労働時間が長めの地域においては、労働時間の見直しや業務効率の改善を進めることで、採用面での競争力を高めることができます。従業員にとって、ワークライフバランスが保たれる環境は職場選びの重要な要素であり、労働時間が短く安定した勤務形態を提供する企業には応募が集中する傾向がみられます。
特別給与の支給額にも差があることから、賞与制度の有無や支給実績を公開することが、応募者の関心を引く一因となるでしょう。たとえば北海道では特別給与が15,810円、青森県では18,676円、岩手県では16,026円と地域差が見られます。こうした違いを見極めたうえで、業界平均を上回る水準の制度設計を行えば、優秀な人材の確保につながります。
さらに重要なのは、これらの統計が令和7年1月のデータであるという点です。つまり、季節的な要因や年度末・年度始めの影響を受けやすい時期であることを念頭に置き、年間を通した傾向を把握するためには継続的なデータの確認が欠かせません。たとえば年末年始に特別給与が集中する傾向がある場合、月単位での給与総額の変動を分析することで、より精度の高い人件費計画や採用予算の策定が可能になります。
採用活動において、こうした地域別の統計データは非常に有益な判断材料です。単なる賃金額の比較にとどまらず、労働時間、出勤日数、特別給与の支給状況など、複数の要素を総合的に分析することで、ターゲットとする人材層に応じた採用戦略を構築することができます。今後、少子高齢化が進行するなかで、地方の労働市場はますます人材確保が難しくなることが予想されます。したがって、採用担当者にはより戦略的な視点が求められています。
この記事の要点
- 令和7年1月の製造業における全国の常用労働者数は約593万人
- 総労働時間は全国平均で146.8時間、所定外労働時間は13.9時間
- 給与総額は全国平均で約35万円、特別給与は約1.2万円
- 北海道・青森・岩手では給与水準が全国平均を下回る
- 地域ごとに労働時間や特別給与の水準に違いがある
- 採用戦略には地域の労働市場データを基にしたアプローチが重要
- 非金銭的価値や福利厚生の充実が採用の鍵を握る
- 季節的要因を考慮したデータ活用が人件費計画に有効
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ