労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 令和7年2月の埼玉県有効求人倍率は1.21倍で横ばい、売り手市場ながら製造業は9.2%減少

2025年4月19日

労務・人事ニュース

令和7年2月の埼玉県有効求人倍率は1.21倍で横ばい、売り手市場ながら製造業は9.2%減少

Sponsored by 求人ボックス

令和7年2月の埼玉県で宿泊業・飲食サービス業求人が13.3%減、観光業界の採用に影響

令和7年2月における埼玉県の雇用情勢が発表され、県内の労働市場における需要と供給のバランス、産業別の求人動向、就職活動の実態が浮き彫りとなりました。今回の統計データでは、埼玉県の有効求人倍率(季節調整値)は1.21倍で、前月と同水準を維持しました。これは求人数が引き続き求職者数を上回っていることを示しており、県内ではおおむね売り手市場が続いていると言えます。ただし、新規求人倍率は2.31倍で前月より0.07ポイント上昇したものの、業種によっては大きなばらつきが見られ、すべての分野において人材需要が均一に拡大しているわけではないことが明らかです。

有効求人数は106,034人で、前月比では0.7%減少し、有効求職者数も87,706人で同じく0.7%減少しました。新規求人の動向を見ると、新規求人数は36,999人で前月より1.4%増加しましたが、新規求職者数は16,002人で前月より1.8%減少しており、労働供給の鈍化が読み取れます。とりわけ注目すべきは、正社員求人の割合が47.1%と、前年同月より0.7ポイント低下している点であり、企業が非正規雇用での人材確保にシフトしている可能性があります。

業種別に見ると、求人が大きく増加した分野としては「サービス業(他に分類されないもの)」が前年同月比22.4%増の1,072人の増加、「生活関連サービス業、娯楽業」が16.6%増の146人増、「学術研究、専門・技術サービス業」も15.5%増で111人の増加となっています。特に警備業や美容・浴場業といった日常生活の基盤を支える分野において求人が伸びており、地域の生活インフラを支える労働力需要の高まりが背景にあると考えられます。

一方で、求人が減少した分野としては、「宿泊業・飲食サービス業」が13.3%減の424人減、「運輸業・郵便業」が12.6%減の331人減、「製造業」が9.2%減で336人の減少となっており、これらの分野における人材需要の鈍化が確認されました。とくに製造業では「食料品製造業」で28.7%の減少、「金属製品」で23.1%の減少、「印刷・同関連産業」でも15.6%の減少が記録され、製造工程に携わる技能労働者の採用が抑制傾向にあるといえます。

また、正社員希望の新規求職者数は全体の61.0%を占めていますが、その就職実績は全体の31.6%にとどまり、前年同月より2.9ポイント低下しています。これは正社員志向の求職者が多い一方で、企業側が正社員採用に慎重な姿勢を取っていることを示しており、両者のミスマッチが課題として浮上しています。さらに、受理地別の正社員有効求人倍率は0.95倍、就業地別では1.05倍となっており、正社員求人における需給ギャップの存在が明確です。

公共職業安定所別のデータからは、さいたま市大宮区を管轄する大宮所が有効求人倍率1.37倍で最も高く、所沢(1.39倍)、川越(1.40倍)など西部地域でも求人倍率が高い水準にあります。対照的に、春日部所では0.80倍、朝霞所では0.70倍と1倍を下回る地域も見られ、地域によって雇用の偏在が依然として存在しています。

雇用保険関連のデータでは、被保険者数が1,612,387人で前年同月比0.8%増加し、雇用の維持が一定程度図られている一方、雇用保険受給者数は20,753人で2.5%の減少となっており、失業給付への依存がやや緩和されたことが読み取れます。受給資格決定件数も6,335件で前年同月比6.2%の減少となり、失業状態にある新規認定者の減少傾向が続いています。

このような状況を踏まえると、埼玉県の雇用環境は引き続き企業側に有利な売り手市場である一方、求職者とのニーズの乖離、業種間の求人格差、地域ごとの労働需給の非対称性といった構造的な課題も浮き彫りになっています。企業の採用担当者にとっては、こうしたデータを的確に分析し、自社の業種・地域特性を踏まえた戦略的な人材確保が求められます。特に若年層・中高年層の動向、正社員志向の強さ、地域ごとの求人倍率などは、今後の採用計画を策定する上で重要な指標となるでしょう。

⇒ 詳しくは埼玉労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ