2025年5月28日
労務・人事ニュース
令和7年3月の建設出来高が5兆8,313億円に到達、前年比10.1%増加
- 仕分け・箱詰め・ネジ締めなどのシンプルワーク
最終更新: 2025年6月13日 20:38
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最終更新: 2025年6月13日 20:38
- ピッキング・仕分け・簡単な機械操作
最終更新: 2025年6月13日 20:38
- 勤務地多数 工場スタッフ 寮費0円 即入寮可
最終更新: 2025年6月13日 20:38
建設総合統計(令和7年3月分)について(国交省)
令和7年5月20日に国土交通省が公表した「建設総合統計(令和7年3月分)」によると、日本国内における建設工事の総出来高が顕著な伸びを見せていることが明らかとなりました。この統計は、建設経済の動向を把握するうえで重要な指標のひとつであり、公共・民間両部門における建設活動の規模や傾向を包括的に示しています。特に今回のデータでは、総出来高の増加に加え、民間部門における住宅関連工事の活発化や、公共工事における土木分野の拡大が際立っており、建設業界の回復傾向と持続的成長の兆しを読み取ることができます。
まず、3月の総出来高は5兆8,313億円に達し、前年同月比で10.1%の増加を記録しました。この数値は、近年の建設活動の活発化を象徴するものであり、過去数年間の推移と比較しても高水準にあることがわかります。建設投資の名目額としては、コロナ禍の経済的影響からの回復が顕著に表れており、国内の需要が安定してきたことを示しています。
次に、民間部門の出来高総計は3兆3,269億円で、前年同月比8.1%の増加でした。この中でも特に建築部門の動きが目立っており、建築工事にかかる出来高は2兆7,591億円で、前年から9.4%の伸びを示しています。居住用建築、つまり住宅の建設は1兆8,313億円で前年同月比10.1%増、非居住用建築は7,591億円で同9.9%増となっており、いずれも高い成長率を示しています。住宅市場における需要回復に加え、脱炭素化や省エネルギー対応といった社会的要請が背景にあると考えられます。
また、民間の土木工事についても、3,269億円となり前年より8.1%の増加を記録しています。この点においては、都市再開発事業やインフラの老朽化対策が進展していることが要因として挙げられます。特に、大都市圏を中心とした道路・橋梁・上下水道といった基盤整備の拡充が経済効果を波及させており、建設業全体の底上げに寄与しています。
一方、公共部門の出来高総計は2兆4,877億円であり、前年同月比では6.7%の増加となっています。このうち、公共土木工事が2兆2,488億円と高水準にあり、公共建築工事は全体の495億円と比較的小規模にとどまっていることから、インフラ整備が主なドライバーであることが明確になっています。公共投資は依然として政府の経済政策の柱の一つであり、防災・減災対策を含む強靭な国づくりや地域活性化を目的とした予算執行が活発に行われています。
また、同統計の補足として、これらの数値は建設投資実績値に基づいて遡及的に改定されており、毎年6月には直近の補正率を反映して3月分から過去3年間分の統計が改定される点も重要です。このことは、建設統計の信頼性と時系列分析の精度を高める意味で、業界関係者にとっても政策立案者にとっても有用な情報となっています。
統計上の注意点として、億円単位での四捨五入により、一部の項目で合計値が一致しない場合があることが明示されているものの、全体としての傾向把握には影響がないと考えられます。今後、こうした建設統計の継続的な整備と開示が、建設業界全体の透明性向上や社会的信頼の確保につながることが期待されます。
さらに、今回の統計から明らかになったもう一つの重要な点は、民間住宅部門における成長が特に顕著であることです。これは、低金利政策の継続や住宅ローン控除制度の後押しによって、個人による住宅購入・建替えの動きが活発になっていることが背景にあると分析できます。加えて、住宅の高性能化やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の推進などが、建設単価の上昇に結びついており、出来高の増加にもつながっています。
一方で、公共建築部門における停滞傾向は見逃せません。495億円という数字は、総額に占める比率が非常に小さいため、公共施設の老朽化対策や教育・医療施設の整備など、今後求められる施策の重要性を再確認する必要があります。国や自治体の財政事情も影響していると見られ、効率的かつ持続可能な公共建築計画の策定が今後の課題となるでしょう。
最後に、今回の統計結果は、建設業界にとって今後の戦略策定や業務運営の判断材料となるだけでなく、経済全体の見通しを示唆する指標としても大いに注目されます。特に、国内の需要動向や公共投資の方向性が建設市場に与える影響は極めて大きく、今後も定期的な統計の把握と分析が不可欠です。地域社会における安全・安心の実現、さらには脱炭素・省エネ・デジタル化といった社会課題への対応も求められており、建設業界はその中心的な担い手としての役割を果たすことが期待されています。
今後も国土交通省が提供する「建設総合統計」は、我が国の建設活動の実態を正確に捉える重要なツールとして、産業界や行政機関、さらには一般市民にとっても価値ある情報源となるでしょう。令和7年度以降も建設分野の動向に注目し、社会全体での持続的成長と質の高い生活環境の実現に向けた施策が一層推進されていくことが期待されます。
⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ