2025年5月11日
労務・人事ニュース
令和7年3月大分県の有効求人倍率1.31倍、3か月連続低下で見えた採用市場の新局面
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大分県の雇用情勢(令和7年3月分及び令和6年度分)(大分労働局)
令和7年5月2日、大分労働局より最新の雇用情勢が発表されました。今回公表されたデータによると、令和7年3月における大分県の有効求人倍率は1.31倍となり、前月から0.03ポイント低下しました。この数値は全国平均の1.26倍をわずかに上回る水準であり、九州平均の1.17倍も超えているものの、緩やかな下降基調にあることが示されています。有効求人数は23,579人で前月比2.3%の減少、有効求職者数は17,969人で前月比0.3%減となっており、求人・求職双方で縮小傾向が見られました。これにより、3か月連続で有効求人倍率は低下する結果となりましたが、依然として1倍以上を122か月連続で維持しており、労働市場は底堅い動きを見せています。
正社員の有効求人倍率については1.20倍で、前年同月比では0.03ポイント低下していますが、45か月連続で1倍台を維持しており、正規雇用ニーズは安定的に推移しているといえます。ただし、令和6年度全体で見ると、大分県の平均有効求人倍率は1.35倍となり、前年度比で0.06ポイントの下降となりました。また、正社員有効求人倍率の年度平均も1.24倍となり、前年より0.03ポイント低下しました。これは、全国的な景気減速懸念や物価上昇など外部要因の影響を受け、企業の採用意欲にやや慎重さが広がったためと考えられます。
新規求人の動向を見ると、3月の新規求人数は8,123人で、前年同月比6.2%の減少となりました。産業別にみると、サービス業では4.4%増加しましたが、建設業は6.3%減少、製造業も6.8%減少、情報通信業に至っては27.4%もの大幅減となりました。運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、医療・福祉分野も軒並み減少しており、総じて多くの産業で求人縮小が見られました。特に製造業では電子部品・デバイス製造業や輸送用機械器具製造業といった主要分野で求人減少が確認されており、地域経済への影響が懸念されます。
新規求職申込件数は4,391人で、前年同月比2.9%減少しました。うち常用フルタイム新規求職者は2,696人で、前年同月比2.3%減となっています。在職中に転職を希望する在職者は1,059人で4.0%減少し、離職後に求職活動を始めた離職者は1,454人で0.7%増加しました。無業者については183人と前年同月比13.7%減少しており、求職活動における無業者層の縮小がうかがえます。離職者の理由別では、事業主都合による離職者が262人で前年同月比3.3%減、自己都合による離職者は1,120人で前年同月比0.7%増加しており、自己都合離職が微増傾向にあります。
ハローワーク別に見ると、有効求人倍率が最も高かったのは大分所の1.64倍であり、前年同月の1.71倍からやや低下しました。最も低かったのは宇佐所の1.05倍で、前年同月の1.00倍からは若干上昇しています。このように、地域別でも雇用情勢にはばらつきがあり、都市部では比較的高い求人倍率が維持されている一方で、地方部ではやや低水準にとどまっています。
雇用保険受給者実人員は4,008人で、前年同月比で0.3%減少しました。受給者数の微減は、就職件数の減少や求職活動の鈍化と連動しているとみられます。
全体を通して、大分県の雇用情勢は引き続き持ち直しの動きを維持しているものの、物価上昇による消費マインドの冷え込みや、国内外の景気不透明感を背景に、企業側の採用スタンスには慎重さが見られる状況です。令和7年3月時点での有効求人倍率の低下傾向は、今後の採用活動に影響を及ぼす可能性があり、企業はより柔軟かつ戦略的な人材確保策を講じる必要があります。
これからの採用市場では、特に若年層の獲得競争が激化すると予想されます。大分県では正社員求人倍率が1.20倍と安定して推移しているため、安定志向の強い若年求職者をターゲットに、働きやすい職場環境づくりやキャリアアップ支援制度の充実を図ることが採用成功のカギとなります。さらに、地域別の求人倍率格差を踏まえ、勤務地の柔軟な設定やテレワークの導入など、多様な働き方を提案することも重要です。
企業の採用担当者にとって、今回の大分県の雇用情勢データは、今後の採用計画を立案する上で極めて貴重な情報源となるでしょう。求人市場の変動を敏感に捉え、先を見据えた採用戦略を練ることが、持続可能な人材確保のためには欠かせません。
⇒ 詳しくは大分労働局のWEBサイトへ