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2025年5月11日

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令和7年3月長崎県の有効求人倍率1.14倍、安定雇用市場で企業が取るべき採用戦略

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職業安定月報ながさき令和7年3月(長崎労働局)

令和7年3月における長崎県の雇用情勢が厚生労働省長崎労働局から発表されました。この発表によると、長崎県の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍となり、前月から0.01ポイント上昇しました。この結果、長崎県における有効求人倍率は42か月連続で1.1倍台を維持する形となりました。全国平均の1.26倍には及ばないものの、安定した雇用環境が続いていることがうかがえます。有効求人数は前月比で0.6%増加し、27,162人となった一方、有効求職者数も0.1%増加して23,199人となりました。求人数・求職者数ともに微増しているものの、その伸び率には差があり、結果的に倍率の小幅な上昇につながったといえます。

一方、新規求人の動向をみると、3月における新規求人数は8,809人で、前年同月比8.2%の減少となりました。これで新規求人数は2か月連続で減少傾向にあります。雇用形態別にみると、フルタイム求人が5.4%減、パートタイム求人が12.5%減と、いずれも前年を下回っています。特にパートタイム求人の減少幅が大きい点は、サービス業を中心とした労働需要の減退を反映している可能性があります。また、新規求職者数も5,368人となり、前年同月比1.6%減少しました。これにより、新規求職者数は3か月連続で減少しています。

月間の有効求職者数は23,199人であり、前年同月と比較して0.4%増加しました。フルタイム求職者は前年同月比2.5%減少したものの、パートタイム求職者は4.7%増加しており、パートタイム勤務を希望する層が増加している傾向が読み取れます。背景には、柔軟な働き方を求める人々が増加していること、また特定の産業分野においてフルタイム勤務の需要がやや減少していることが挙げられます。

産業別に新規求人の動向を詳しく見ると、宿泊業・飲食サービス業が大きく減少し、医療・福祉分野でも新規求人が減少していることがわかります。建設業や製造業、卸売業・小売業においても求人減少が見られ、地域全体で求人活動がやや縮小傾向にあることが浮き彫りになっています。特に、電子部品や機械関連などの製造業分野では需要減が顕著であり、地域経済の一部に波及する可能性も懸念されています。

紹介件数は5,436件であり、前年同月比5.7%減少しましたが、就職件数は2,566件となり、前年同月比で1.5%増加しました。これは3か月ぶりの増加であり、求職者が実際に職を得た件数がやや回復していることを示しています。雇用保険受給者による就職件数も627件と前年同月比で12.0%増加しており、受給者層の再就職支援が一定の効果を上げていることがうかがえます。

地域別にみると、長崎市の有効求人倍率は1.13倍、西海市は1.58倍、佐世保市は1.33倍、諫早市は1.20倍、大村市は0.99倍、島原市は1.22倍、江迎市は0.86倍、五島市は1.25倍、対馬市は1.29倍、壱岐市は1.25倍と、それぞれの地域でばらつきが見られました。特に江迎市は0.86倍と低水準にとどまっており、地域によっては求職者数が求人件数を上回る状況が続いていることがわかります。このような地域格差は、企業の採用戦略において考慮すべき重要な要素です。

また、フルタイムとパートタイムの比率を見ると、パートタイム求人が減少している中で、フルタイム求人の減少幅がやや小さいことから、企業側がより安定的な雇用形態を重視しつつある傾向も伺えます。労働市場全体では、求職者側のニーズも多様化しており、特に若年層や中高年層においては、フルタイム正社員を希望する動きが再び強まりつつあります。

以上のように、令和7年3月時点における長崎県の雇用情勢は、全体としては安定を維持しているものの、新規求人や地域別雇用環境において慎重な動きが見られる状況となっています。企業にとっては、こうした微妙な変化を正確に読み取り、自社に最適な人材確保を行うための柔軟な対応が一層求められるでしょう。

⇒ 詳しくは長崎労働局のWEBサイトへ

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