2025年5月13日
労務・人事ニュース
令和7年3月静岡県の有効求人倍率1.09倍、採用競争激化に備える企業の最適戦略とは
- 看護師/2025年5月12日更新
最終更新: 2025年5月12日 05:06
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最終更新: 2025年5月12日 22:35
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静岡県内の最近の雇用情勢(令和7年3月分)
静岡労働局が令和7年5月2日に発表した「令和7年3月分 静岡県内の雇用情勢」によると、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.09倍となり、前月から変動は見られませんでした。この数値は50か月連続で1倍台を維持しており、堅調な雇用環境が続いていることがうかがえますが、全国平均の1.26倍を0.17ポイント下回っており、全国と比較するとやや控えめな水準にとどまっています。県内の雇用情勢は一見すると安定しているように見えますが、物価上昇など外的要因が雇用市場に与える影響については、引き続き注視が必要とされています。
有効求人数は60,933人で、前月比0.3%の増加となりました。これは2か月ぶりの増加であり、企業の採用意欲が底堅く推移していることを示しています。一方で、有効求職者数も55,990人と、前月比で0.3%増加しています。このため、有効求人倍率自体は前月と同水準にとどまった形となりました。求人数と求職者数が同時に増加する状況は、労働市場における需要と供給が拮抗していることを示しており、企業側にとっては採用競争が続く環境が続いているといえます。
一方、新規求人に目を向けると、新規求人倍率(季節調整値)は1.90倍となり、前月比で0.15ポイント低下しました。新規求人数は19,197人で、前年同月比では7.7%減少しています。特に一般求人数が12,300人と前年同月比で7.8%減少しており、パート求人数も6,897人で7.6%減少しました。この背景には、物価高や原材料費の上昇による企業収益の悪化があり、採用意欲の抑制につながっていると推測されます。
産業別に新規求人動向を分析すると、建設業、製造業、運輸業・郵便業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉、サービス業のいずれも前年同月比で減少しました。特に宿泊業・飲食サービス業では宿泊業が16.8%減、飲食店も11.2%減となっており、コロナ禍後の観光需要回復の動きが一段落したことが影響していると考えられます。また、製造業全体では8.2%減少しており、中でも食料品製造業は23.5%減、電子部品・デバイス製造業は26.0%減と、業種によっては大幅な落ち込みが見られます。
職業別有効求人倍率を見ると、保安職種、建設・採掘関連職種、介護職種が依然として高倍率を維持している一方で、事務職や運搬・清掃・包装等の職種では低倍率にとどまっています。これにより、業種間や職種間での人手不足格差が引き続き存在している状況です。
地域別に見ると、有効求人倍率は東部が1.11倍、中部が1.20倍、西部が1.03倍となり、すべての地域で1倍を超えています。しかしながら、いずれの地域でも前年同月比で倍率が低下しており、特に西部では0.12ポイントの下落と落ち込みが目立っています。静岡市周辺の中部地区では比較的高い求人倍率が維持されているものの、地域間格差は引き続き拡大している傾向にあります。
正社員有効求人倍率は1.06倍となり、全国平均の1.05倍をわずかに上回っています。正社員の有効求人数は33,080人で、前年同月比では7か月連続で減少しました。この数字からも、企業が正社員採用に対して慎重な姿勢を強めている様子が見て取れます。正社員求人割合は53.4%で、前年よりも1ポイント以上上昇しており、パートタイムや契約社員ではなく、正社員としての雇用を求める動きが企業側に広がりつつあることを示しています。
また、新規求職者数は10,759人で、前年同月比で0.3%減少しました。新規常用求職者数も前年同月比で減少しており、特に在職者が5.1%、離職者が3.2%減少しました。このうち、事業主都合離職者は2.4%減少、自己都合離職者は2.7%減少しており、企業による大規模なリストラなどが少なかったことを反映しています。
事業所規模別にみた新規求人状況では、すべての規模で前年同月比減少しており、特に従業員500人以上の大企業における新規求人の減少幅が大きいことが特徴です。これにより、中小企業においても人材確保が一層困難な状況に陥る可能性があります。
総合的に見ると、静岡県内の令和7年3月時点の雇用情勢は、求人倍率こそ安定しているものの、新規求人の減少傾向、正社員求人の減少、地域間格差の拡大といった課題が浮き彫りになっています。企業にとっては、採用活動を継続するにあたり、対象となる人材層の拡大や、多様な雇用形態への対応、魅力ある職場環境づくりといった取り組みがますます重要になっています。特に、若年層や女性、シニア層といった潜在的労働力をいかに取り込んでいくかが、今後の企業成長の鍵を握るでしょう。地域特性や業界動向を踏まえた柔軟な採用施策の策定が求められる局面にあり、各企業の人事担当者にとって、今後の動向を細かく分析しながら迅速な対応を図ることが不可欠です。
⇒ 詳しくは静岡労働局のWEBサイトへ