2025年6月16日
労務・人事ニュース
令和7年4月の山口県有効求人倍率1.27倍から見える採用成功の鍵とは
- 「夜勤なし」/正看護師/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年6月15日 22:38
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
周南地区の求人倍率1.35倍に注目、山口企業の採用戦略を再考する時
令和7年4月に公表された山口労働局の最新統計によると、山口県内の有効求人倍率は1.27倍で、前月に比べて0.01ポイント上昇しました。この数字は、求職者1人に対して1.27件の求人があることを意味しており、依然として労働市場は売り手優位の状況が続いていることを示しています。しかし、有効求人倍率が上昇したとはいえ、採用活動が容易になるというわけではありません。むしろ、求職者にとって選択肢が豊富である今の状況においては、企業がどのように他社との差別化を図り、優秀な人材を確保するかが問われています。
このような中で、企業の採用担当者が最も注視すべきは、求人倍率の背後にある地域別や職種別の詳細な傾向です。山口県内では、下関地区で有効求人倍率が1.32倍、宇部・山陽小野田・美祢地区が1.23倍、山口・防府地区は1.19倍、萩・長門地区は1.24倍、周南地区が1.35倍、岩国地区が1.20倍という結果でした。中でも周南地区は最も高い倍率を記録しており、求職者の取り合いが激化している地域であることが分かります。こうした地域別の傾向は、採用計画の立て方や勤務地ごとの人材確保戦略を検討するうえで不可欠な情報となります。
また、正社員に限った有効求人倍率は0.99倍となっており、こちらは依然として1倍を下回っています。これは、正社員を希望する求職者の数が、正社員としての求人を上回っていることを意味しており、企業にとっては質の高い人材を確保するチャンスでもあります。非正規雇用と比べて求職者の選択肢が限られる分、条件が明確で安定した雇用形態を求める求職者とのマッチングが成立しやすいタイミングだといえるでしょう。
新規求人の状況を見ると、令和7年4月の新規求人倍率は2.04倍で、前月から0.01ポイント上昇しています。新規求人数は前年同月比で0.8%増とわずかに伸びており、業種別では製造業、運輸業・郵便業、教育・学習支援業で求人が増加しています。一方で、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉、情報通信業では求人が減少しており、業界ごとの採用環境の違いが明確になっています。とくに宿泊業や福祉分野は慢性的な人手不足に悩まされているため、求人票だけでは伝わりにくい現場の雰囲気や働きがいを積極的に発信することが求められます。
年齢別に見ると、新規求職者数は前年同月比で8.3%減少しています。特に29歳以下の若年層では9.9%減と大きく落ち込んでおり、企業は若手人材の採用において一層の工夫が必要です。採用担当者は、若年層の価値観や働き方に対するニーズを正確に把握した上で、企業文化やキャリアパス、働き方の柔軟性を伝えることが重要です。一方で、55歳以上の層は前年同月比で1.2%増加しており、シニア層の再就職意欲の高さがうかがえます。経験とスキルを兼ね備えた中高年層を積極的に戦力化する取り組みも、今後の採用活動では大きな鍵となるでしょう。
全体として、山口県の雇用情勢は一見すると堅調に見えるものの、地域や業種、雇用形態によって求職者と求人のバランスは大きく異なります。こうした複雑な状況下では、採用担当者にはデータに基づいた判断力と、柔軟な戦略が求められます。たとえば、倍率の高い周南地区で人材確保が難しい場合には、倍率の低い山口・防府地区や宇部地区からの通勤圏を想定して、採用活動の範囲を広げるという工夫も一つの方法です。あるいは、競合企業が多い業種においては、求人条件そのものを見直し、報酬や福利厚生、勤務体系の柔軟性などで他社より優位性を持たせる必要があります。
さらに、求職者の目線に立って情報発信を強化することも重要です。求人票だけでは伝えきれない企業の魅力を、動画やSNS、採用サイトなどを通じて積極的に発信することで、応募数の増加やマッチングの質の向上が期待できます。また、採用活動におけるスピード感も忘れてはなりません。有効求人倍率が高い現在の市場では、選考に時間をかけすぎると、他社に人材を奪われる可能性が高まります。一次面接の即日設定や、選考フローの簡略化といった工夫を取り入れることも、優秀な人材を逃さないための有効な手段となるでしょう。
企業が採用活動を成功させるためには、現状の求人倍率や雇用情勢を正しく理解し、業種や地域、年齢層に応じたターゲティングを行った上で、迅速かつ的確な行動を取ることが欠かせません。山口県のように地域差が顕著な県では、細かな分析と柔軟な対応力が採用活動を左右する大きな要因となります。今後の労働市場の動向を見据えながら、単なる人材確保にとどまらず、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを実現する取り組みがより一層求められています。
⇒ 詳しくは山口労働局のWEBサイトへ