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2025年6月19日

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令和7年4月の愛媛県有効求人倍率1.41倍から読み解く採用市場の現状と対策

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東予地域の1.36倍を採用成功につなげるために企業が取り組むべきアプローチ

令和7年4月に愛媛労働局が発表した雇用統計によると、県内の有効求人倍率は1.41倍となり、前月差で0.05ポイント上昇しました。この数字は全国平均の1.26倍を大きく上回る水準であり、愛媛県における人手不足の深刻さが改めて浮き彫りになりました。採用担当者にとっては、このような高い求人倍率が示す意味を理解し、それを踏まえた戦略的な人材確保の方法を検討することが今後の採用活動において非常に重要となります。

地域別にみると、東予地域では1.36倍、中予地域では1.32倍、南予地域では1.30倍という結果が出ています。特に南予地域では前年同月と比較して0.08ポイント低下し、これで8か月連続の下落となりました。一方、中予地域では0.12ポイントの上昇で、7か月連続で改善しています。このように地域によって雇用環境に差が生じていることは、県内全体で一律の採用戦略をとるのではなく、地域特性を考慮した柔軟な対応が必要であることを示しています。

企業が採用活動を行う上で、有効求人倍率の上昇は求職者にとっては選択肢が増える好機である一方、採用側にとっては優秀な人材を獲得するための競争が激化していることを意味します。特に正社員求人倍率が1.20倍と14か月連続で上昇しており、フルタイムの雇用を求める企業にとってはこれまで以上に採用の難易度が高まっているといえるでしょう。さらに、新規求人倍率は2.54倍と依然として高い水準を維持しており、新たに人材を求める企業同士の競争も激しさを増しています。

産業別の動向を見ると、「サービス業」が前年比で14.4%増加し、特に人手不足の影響を受けやすい分野で求人が拡大しています。また、「製造業」は11.4%増、「建設業」は6.0%増と堅調な増加がみられ、これらの業界においては今後さらに人材確保の競争が激化することが予想されます。一方で、「宿泊業、飲食サービス業」は前年比で9.0%減少しており、インバウンド需要の回復が限定的であることや、労働条件への課題が求人に反映されている可能性もあります。

このような状況下で企業が採用活動を進める際には、まず現状の求人市場における自社のポジションを正確に把握することが欠かせません。競合他社と比較してどの程度魅力的な条件を提示できているのか、募集職種に対する需要と供給のバランスはどうか、また求職者が重視する要素は何かといった点を明確にする必要があります。特に正社員希望者の中には、安定した雇用形態だけでなく、職場の人間関係やキャリア形成の支援制度など、働く環境全体に対する関心が高まっています。

さらに、若年層の県外流出や高齢化が進む愛媛県においては、限られた労働力をいかに効率的に活用するかが課題となっています。そのため、企業は採用活動だけでなく、既存従業員の定着とスキルアップにも注力することが求められます。たとえば、リスキリングを支援する制度の導入や、柔軟な勤務形態の採用は、多様な人材の活躍を促すうえで非常に有効な手段となるでしょう。

また、新規求職者数は前年同月比で0.5%減少しており、求職者自体の数が減っていることも採用活動を難しくする要因の一つです。企業にとっては求人を出すだけでは不十分であり、いかに求職者に「選ばれる企業」になるかが重要です。そのためには、企業の魅力を明確に打ち出し、働く意義ややりがいを伝える工夫が必要です。特に地域密着型の企業であれば、地元で働くことの意義や地域貢献の視点を採用メッセージに織り込むことで、地元志向の強い人材にアプローチすることが可能になります。

採用広報においても、従来の紙媒体やハローワークへの求人登録に加え、SNSや動画コンテンツなどの活用が効果的です。求職者の情報収集の手段が多様化している現代では、オンラインでの企業情報の発信が求められています。特に若年層をターゲットとする場合、企業文化や社員の声を紹介するようなコンテンツを通じてリアルな職場の雰囲気を伝えることが重要です。

最後に、採用活動を成功させるためには、単に人を集めることを目標とするのではなく、入社後にいかに活躍し続けてもらうかまでを見据えた人材戦略を構築する必要があります。そのためには、人材の適性を見極める選考プロセスの改善や、オンボーディング体制の整備、定期的なキャリア面談など、長期的な視点での人事施策が求められます。

愛媛県の有効求人倍率が1.41倍に達し、地域によっても求人状況に差が見られる今、企業の採用担当者は従来の手法にとらわれず、柔軟かつ戦略的な採用活動を進めることが求められています。人手不足という共通課題に直面する中で、自社の魅力を最大限に引き出し、選ばれる存在として求職者にアプローチする努力が、これからの採用成功の鍵を握ることになるでしょう。

⇒ 詳しくは愛媛労働局のWEBサイトへ

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