2025年6月18日
労務・人事ニュース
令和7年4月の愛知県有効求人倍率1.35倍が示す採用環境の変化
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「車通勤OK」/正看護師/訪問看護
最終更新: 2025年6月24日 22:37
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月24日 22:37
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「駅チカ」/准看護師・正看護師/内科/小児科/消化器内科/クリニック
最終更新: 2025年6月24日 22:37
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認定こども園の保育士
最終更新: 2025年6月25日 03:07
令和7年4月の西三河エリアで見られた採用傾向と求職者の動向
令和7年4月の愛知県における有効求人倍率は1.35倍と、前月から0.03ポイントの上昇を示しました。この数値は全国平均の1.26倍を上回っており、東海地域の中でも高水準に位置しています。特に注目すべきは、同月の新規求人倍率が2.47倍に達し、前年同月比で0.06ポイント上昇している点です。これは人材の流動性が高まっていることを示しており、企業にとって採用競争がますます激化している実情を映し出しています。
このような状況下で、企業の採用担当者が見過ごしてはならないのが「有効求人倍率が高い=採用が難化する」という構図です。倍率が高いということは、それだけ求職者1人あたりの求人件数が多いということを意味し、企業間で人材を巡る競争が激しくなるということです。実際、名古屋市内の有効求人倍率は1.62倍とさらに高く、特に製造業や介護分野などでは求職者の確保が容易でない状態が続いています。例えば、介護サービス職の新規求人倍率は6.17倍と極めて高く、同業他社との差別化が採用成功の鍵となります。
一方で、求職者数は減少傾向にあります。令和7年4月の愛知県における有効求職者数は97,483人で、前年同月比で3.1%減となっています。この傾向は新規求職者にも見られ、同月の新規求職申込件数は対前年比で4.4%の減少となっており、企業が求める人材像に合致する応募者の絶対数そのものが減少していることが読み取れます。
こうしたデータが示すものは明確です。企業にとって、従来のような受け身の採用活動では人材の確保が困難になる時代に突入しているということです。採用担当者が意識すべきは、まず「採用戦略の早期化と多様化」です。人材が市場に出るタイミングを的確にとらえ、速やかにアプローチできる体制を整えることが求められます。特に新卒採用では、企業説明会やインターンシップを通じて早い段階から候補者との関係構築を図るべきです。また中途採用においても、即戦力となる人材がすぐに動けるような柔軟な選考スケジュールと待遇条件の提示が不可欠です。
さらに、求人票の工夫も重要です。有効求人倍率が高い職種においては、給与条件や就業環境の記載を明確にし、他社よりも魅力的であることを打ち出す必要があります。介護や建設業のように人材不足が深刻な業界では、労働時間の柔軟性や資格取得支援などの制度を明記することで、応募意欲を引き出す効果が期待できます。
地域別に見ると、尾張地方の有効求人倍率は1.03倍とやや低めであり、他地域に比べて採用の難易度が若干緩和されている可能性があります。企業にとっては、こうした地域的な求人倍率の差をうまく活用し、隣接する地域からの人材流入を促す仕組みを構築することも有効な戦略のひとつです。リモートワークや交通費全額支給といった取り組みは、通勤圏の拡大を可能にし、より広範な人材層へのアプローチを可能にします。
正社員の有効求人倍率も着実に上昇しており、令和7年4月には1.14倍となりました。これは46か月連続で1倍台を維持していることからも明らかなように、安定雇用を求める求職者と、正社員を必要とする企業との需給ギャップが根強く存在していることを示しています。したがって、長期的な視点での人材育成もまた、採用戦略の中核に据えるべきです。即戦力だけでなく、ポテンシャル採用を含めた中長期的な人材投資が、企業の持続的成長を支える鍵となります。
採用担当者が今後注目すべきは、有効求人倍率の数値だけではなく、それが意味する「市場の変化の兆し」を敏感に察知することです。倍率が上昇傾向にある今、採用の難易度は確実に高まっていますが、それは同時に、自社がどのような姿勢で人材市場に向き合うかが明確に問われているということでもあります。採用活動は単なる人集めではなく、企業の成長戦略の一環であり、人を通じて組織の未来を創る営みです。その本質を見失わず、今このタイミングで採るべき戦略を見定めることが、今後の企業競争力を左右すると言えるでしょう。
⇒ 詳しくは愛知労働局のWEBサイトへ