2025年6月17日
労務・人事ニュース
令和7年4月の石川県で有効求人倍率1.66倍、採用活動で企業が取るべき具体策とは
- 医療業界の薬剤・調剤業務/即日勤務可
最終更新: 2025年6月17日 07:02
- 「夜勤なし」/准看護師/クリニック/オンコールなし
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/クリニック/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月16日 22:31
- 「駅チカ」/准看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月16日 22:31
石川県内で27,634人の求人に対し16,625人の求職、需給ギャップの本質
令和7年4月の石川県における最新の雇用情勢は、企業の採用担当者にとって戦略の見直しを求める重要な局面にあると言えるでしょう。石川労働局が発表した統計によれば、県全体の有効求人倍率は1.66倍であり、これは前月から0.02ポイント低下した結果となっています。5か月ぶりの下落となったこの数値は、企業と求職者の需給バランスに微妙な変化が起きていることを示唆しています。有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、一般的に1倍を超えていれば求人が求職を上回っている、つまり人手不足の状態を意味します。
同じ時期における有効求人数は27,634人で前月比0.4%の減少、反対に有効求職者数は16,625人と0.4%増加しており、企業側の採用意欲にやや慎重さが見え隠れしています。このような動きは、石川県内でも経済の持ち直しが続く一方で、業種や地域によって採用状況にばらつきが生じていることを示しています。特に注目すべきは、正社員有効求人倍率が前年同月比で0.25ポイント上昇し1.36倍となった点です。これは企業が安定的な人材確保に力を入れ始めている兆候とも読み取れます。
こうした状況を踏まえると、企業の採用担当者は「人が集まらない」と嘆く前に、まず地域全体の有効求人倍率の動きを正確に把握し、自社が置かれている環境を冷静に分析することが重要です。特に石川県内の地域別データを見てみると、加賀市では有効求人倍率が2.31倍と非常に高く、一方で輪島市では1.44倍と比較的低めであるなど、地域差が明確に現れています。つまり、同じ県内でも地域によって採用難易度が大きく異なるため、採用戦略は全国一律ではなく、地域ごとに最適化された施策が必要です。
加えて、新規求人倍率は2.79倍となっており、こちらは3か月ぶりに上昇しました。つまり、新たに求人を出す企業の数は依然として高水準にあり、採用競争はむしろ激化しているとも言えるでしょう。実際、建設業では前年同月比で37.8%の新規求人増、製造業も13.8%の増加、医療・福祉分野に至っては11.8%増と、特定の業種における人材需要は非常に高まっています。これらの業種では、求人の質や待遇、柔軟な働き方の提示がますます求められる局面にあります。
一方で、新規求職者数は前年同月比で6.1%の減少を見せており、労働市場に新たに参入する人の数が減っていることも見逃せません。つまり、求人を出してもそれに応える求職者が少ないという、深刻なミスマッチが起こりつつあるのです。このような背景から、企業はただ求人票を出すだけではなく、採用ブランディングや自社の魅力を伝える取り組みに一層力を入れる必要があります。
また、職業別に見ると、建設・土木系技術者の有効求人倍率は10.61倍と非常に高く、人材不足が深刻です。こうした分野では、従来の中途採用に加え、未経験者や若年層を育成する制度の導入、職業訓練との連携など、長期的な視点での採用施策が求められるでしょう。一方で、事務職では有効求人倍率が0.55倍と低く、求職者が多い状態が続いています。こうした業種間ギャップを踏まえ、採用担当者は自社が求める職種の市況を細かく分析することが必須です。
これらのデータは、単に数字として捉えるのではなく、「誰に、どこで、どのような形で働いてもらうか」という視点に立ち返るための貴重な材料です。特に地方都市においては、雇用機会の創出だけでなく、定着率を高める工夫が必要不可欠です。石川県全体の雇用情勢は「持ち直しの動きが続いているものの、一部注意を要する状態にある」とされており、採用戦略においても過去の成功体験にとらわれず、現実に即した柔軟な対応が必要です。
これからの採用戦略では、まず自社の採用ターゲットに合致する地域や職種に対して、どのような情報発信を行うかを明確にし、社内の業務設計を見直すことも視野に入れるべきでしょう。たとえば、リモートワークや時短勤務の導入により、通勤圏外からの応募者を呼び込む工夫も有効です。また、求職者側も企業選びにおいて価値観の一致や職場の雰囲気、福利厚生の充実度などを重視する傾向が強まっています。こうした時代の流れを捉え、採用活動そのものを「営業活動」としてとらえる姿勢が、今後ますます重要になっていくはずです。
最後に、有効求人倍率は単なる数値ではなく、企業と人材を結ぶ市場の「温度計」とも言えます。令和7年4月現在、石川県全体の有効求人倍率1.66倍という数値は、表面的には人手不足を示していますが、その背景には業種・地域ごとのばらつきや、求職者の志向性の変化、さらにはコロナ禍以降の働き方改革の影響など、多くの要因が複雑に絡み合っています。企業の採用担当者がこの複雑な市場を読み解くためには、こうした詳細なデータを「生きた情報」として活用し、柔軟かつ戦略的に対応していくことが求められています。
⇒ 詳しくは石川労働局のWEBサイトへ