2025年6月18日
労務・人事ニュース
令和7年4月の長野県内有効求人倍率は1.29倍、採用担当者が注視すべき雇用市場の変化と対策とは
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/残業ありません
最終更新: 2025年6月17日 22:36
- 看護師/福岡県/雑餉隈駅/福岡市博多区
最終更新: 2025年6月17日 08:12
- 看護師/小倉駅/北九州市小倉北区/福岡県
最終更新: 2025年6月17日 08:12
- 「駅チカ」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月17日 22:36
常用求人倍率が1.03倍、長野県内における正社員採用の難易度とその対策について
令和7年4月、長野労働局が公表した最新の雇用統計によれば、県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.29倍となり、前月からわずかに0.01ポイント低下しました。この数字は全国平均の1.26倍を上回る水準ではあるものの、企業の採用担当者にとっては見過ごせない微妙な変動です。求人倍率が下がるということは、求職者数が増加傾向にあるか、あるいは求人が減っている可能性を意味します。実際、令和7年4月の有効求人数は42,403人で前月比0.3%減、一方で有効求職者数は32,905人と0.8%増加しており、この二つの動きが求人倍率の変動に反映されています。
このような状況下で、企業の採用担当者は単に数値を追うだけでなく、その背景にある求職者の動きや業種別のトレンドを的確に読み解く必要があります。とくに注目すべきは、県内での新規求人倍率が2.20倍という高水準を維持している点です。この数値は、1人の求職者に対して2件以上の新規求人が存在していることを示しており、企業間での人材獲得競争が激化していることを物語っています。
こうしたデータを前提としたうえで、地域別に見ていくとより詳細な傾向が明らかになります。たとえば、佐久地域や飯山地域では、有効求人倍率が1.47倍に達しており、これは長野県内でも特に高い水準です。さらに須坂、松本でも前年同月比で倍率が上昇しており、これらの地域では企業の採用活動が活発である一方、求職者の数が相対的に少ないことが推測されます。
では、企業の採用担当者はこのような雇用情勢の中で、どのような戦略を講じるべきでしょうか。まず重要なのは、求人の質を見直すことです。求人倍率が高い地域では、給与や労働条件だけでなく、企業としての働きやすさや成長環境など、総合的な魅力を求職者に伝える必要があります。たとえば、福利厚生の充実や柔軟な勤務体系、キャリアアップ支援など、他社との差別化要素を求人票や面接段階で明確に打ち出すことが、優秀な人材の確保につながります。
また、業種別の動きにも目を向けることが欠かせません。令和7年4月の統計では、「情報通信業」「金融・保険業」「教育・学習支援業」「医療・福祉」「その他サービス業」などで新規求人数が前年同月比で増加しています。これらの業界は現在、積極的に採用活動を進めており、それだけ人材に対する需要が高まっていると言えます。特に医療・福祉業界は慢性的な人材不足に直面しており、パートや非正規の求人も多くなっています。このような分野においては、柔軟な採用形態や職場環境の改善が競争力を左右するカギになります。
一方で、「製造業」「卸売・小売業」「建設業」など、一部の産業では求人が前年を下回る傾向も見られました。こうした業種では、景気の先行きや物価の上昇といった外部環境の変動が影響している可能性があり、今後の採用活動においてはより慎重な計画立案が求められます。
加えて、注目すべき点として、令和7年4月の就職件数が前年比で7.4%減少しているという事実があります。とりわけ常用就職件数は8.5%、パートタイムは6.8%の減少となっており、求人を出してもなかなかマッチングが成立しない現状が浮かび上がります。採用担当者にとっては、単に求人を出すだけではなく、面接対応の質や選考プロセスの迅速化、求職者への積極的なアプローチが不可欠です。とくに現在では、オンラインでの求職登録や応募が増えているため、デジタル対応の有無が採用効率に大きく影響する時代に突入しています。
さらに、新規求職者の動向も重要です。令和7年4月の新規求職者数は9,349人で、前年同月比で0.4%減少しています。注目すべきは、事業主都合で離職した求職者が前年比で8.4%増加している点で、これは企業の人員整理や経営悪化などを反映している可能性があります。採用担当者はこうした求職者を丁寧に見極め、スキルや経験が自社の業務に適しているかどうかを的確に判断する必要があります。離職理由が企業都合である場合、その人材は意欲やスキル面では即戦力となることも多く、適切な対応が求められます。
これらの動向を踏まえると、令和7年4月現在、長野県内においては、求人倍率自体は高水準を維持しているものの、求職者数の増加や就職件数の減少といった逆風も存在します。したがって、企業の採用担当者は、今まで以上にデータに基づいた戦略的な採用活動を展開することが求められます。
たとえば、地域ごとの求人倍率や業種ごとの求人動向を分析し、自社の強みを活かせる人材市場を特定すること。また、採用広報においては、ハローワークだけでなく、SNSや求人特化型サイト、自社サイトの採用ページなど複数のチャネルを活用することで、より広範な層にアプローチすることが可能になります。
最後に、求職者とのコミュニケーションも大切です。求職者が企業に求めるのは「安心して働ける環境」です。長野労働局が掲げる「安心して働ける信州」を実現するためにも、採用担当者が率先して透明性の高い情報提供と誠実な対応を心がけることが、結果として企業のブランド価値向上にもつながるでしょう。
令和7年4月の統計は、多くの示唆を私たちに与えてくれます。企業が持続的に成長するためには、人材確保という基盤が不可欠であり、そのためには現状に即した柔軟かつ具体的な採用施策が必要です。求人倍率という数値の裏にある「人の流れ」と「意識の変化」を読み解く力こそ、今の時代の採用担当者に求められている最大の資質といえるのではないでしょうか。
⇒ 詳しくは長野労働局のWEBサイトへ