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2025年6月19日

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令和7年4月の高知県有効求人倍率1.12倍から読み解く人材確保戦略の再構築とは

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高知所では1.24倍、いの所では0.58倍と地域間に見られる顕著な求人倍率の違い

令和7年4月に高知労働局が発表した最新の雇用統計によれば、高知県における有効求人倍率(季節調整値)は1.12倍となり、前月より0.03ポイント低下しました。これは2か月ぶりの減少であり、今後の地域雇用に対する不透明感を表すひとつの兆候とも言えます。同時に、有効求人数は13,925人で前月比3.6%減、有効求職者数も12,392人で1.2%減と、双方の指標が軒並み減少しています。こうした状況は一見すると需給の縮小を示すものですが、企業の採用戦略の見直しが急務であるというメッセージとしても読み取れます。

特に注目すべきは、新規求人倍率が1.96倍と高い水準にある一方で、正社員の有効求人倍率は0.87倍と全国平均を下回っており、10か月連続で上昇しているとはいえ、依然として求職者に対して正社員のポジションが不足している現状があります。このようなギャップが意味するのは、企業が求める「質の高い人材」の獲得が困難を極めていること、そして求職者が求める「安定した職種」とのミスマッチが解消されていないという事実です。

産業別の動向を見ると、建設業で27.9%、医療・福祉分野で9.8%、サービス業で18.9%といった新規求人数の増加が目立つ一方で、卸売業・小売業、生活関連サービス業、公務その他の分野では減少が見られます。特に卸売業・小売業では前年同月比で▲10.6%減少しており、人材確保が難航している状況が浮き彫りとなっています。

こうした背景から、高知県内の企業にとっては「どの業種に人が集まり、どの業種で人が足りないのか」を正確に把握することが不可欠です。とくに、正社員ポジションにおいては有効求人倍率が依然として1倍を下回っていることから、企業側がより積極的に採用条件の見直しや職場環境の整備を行う必要があります。例えば、給与水準の引き上げや勤務体系の柔軟化、リモートワーク制度の導入など、求職者の多様なニーズに対応する努力が求められます。

また、若年層や転職希望者をターゲットとする際には、企業の魅力を効果的に発信するブランディングも重要なポイントとなります。実際に、ハローワークインターネットサービスが提供するオンライン応募の活用が進む中、求人票だけでは伝えきれない情報を企業のホームページやSNSなどを通じて発信することが、他社との差別化につながります。

一方で、採用活動においては量より質が問われる時代に突入しています。求人数を増やすだけでなく、実際に応募があるか、面接まで至るか、さらには定着率がどうかといった一連のプロセスを継続的に検証し、PDCAを回す体制が不可欠です。高知県の雇用統計が示すように、雇用の改善にはまだ課題が多く、特に地方においては都市部と異なる戦略が求められる場面も少なくありません。

高知労働局の発表では、就業地別有効求人倍率が1.21倍と比較的高い水準である一方で、いの所では0.58倍、四万十所では0.74倍と地域格差が大きく出ている点も見逃せません。こうした地域ごとの求人状況を踏まえた採用戦略の構築は、今後の事業拡大においても大きなカギとなるでしょう。都市部と比べ、求職者数の絶対数が限られる地方においては、いかに早期に人材と接触し、魅力を伝えられるかが勝負を分けます。

さらに、新規求人数が5,199人、対前年同月比で4.4%の増加を見せているという事実は、企業側が採用活動において前向きであることを示しています。しかしその一方で、新規求職者数は2,652人と、需要に比べ供給が追い付いていない構造的な問題も浮き彫りとなっており、企業は求職者へのアプローチ方法を多角化する必要があります。

現代の採用活動では、ただ求人を出すだけでなく、求職者が何を重視して職場を選ぶのかを把握し、ニーズに応じた情報発信が求められます。特にZ世代やミレニアル世代に向けては、福利厚生や働き方の柔軟性、キャリアアップ支援など、ライフスタイルに寄り添った情報提供が欠かせません。

企業の採用担当者は、こうした統計データをただの数字として捉えるのではなく、自社の採用戦略にどう反映させるかを常に検討し続ける必要があります。高知県の有効求人倍率が1.12倍という水準にある今だからこそ、求職者との接点を増やし、選ばれる企業になるための一歩を踏み出す好機でもあるのです。

⇒ 詳しくは高知労働局のWEBサイトへ

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