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2025年6月18日

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令和7年4月京都府の有効求人倍率1.29倍が示す採用市場の変化と企業戦略の転換点

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京都田辺の求人倍率0.86倍が意味する企業にとっての人材確保チャンス

令和7年4月の京都府における有効求人倍率は1.29倍と、全国平均の1.26倍を上回る水準で推移しています。この数字は、求職者1人に対して1.29件の求人があることを意味しており、企業側の人材獲得競争が引き続き厳しい状況にあることを示しています。とりわけ、正社員に限定した有効求人倍率は1.01倍と前年同月比で0.10ポイント上昇しており、企業の中でも特にフルタイムでの正社員採用に対するニーズが高まっている現状がうかがえます。

このような背景の中で、企業の採用担当者は求人市場の動向を単に数値として把握するだけではなく、その内訳や地域別の傾向、そして職種や雇用形態の違いによる影響までを多角的に理解する必要があります。たとえば、令和7年4月の新規求人倍率は2.51倍で、前月より0.13ポイント低下したものの依然として高い水準を維持しています。これは新たに発生する求人の数が、求職者の増加を上回っていることを意味しており、新規の人材確保において企業間の競争がさらに激化していることを表しています。

京都府内でも地域によって求人倍率にばらつきがあります。たとえば、伏見では1.43倍と非常に高い水準である一方、京都田辺は0.86倍と求人過多の傾向は見られません。つまり、同じ府内であっても地域によって採用難易度に差があり、それに応じた柔軟な採用戦略が求められる状況となっています。特に採用活動を複数の拠点で展開している企業では、拠点ごとの市場特性を加味した対応が必要です。

このような状況下では、採用担当者はまず自社の求人が市場のニーズに合致しているかを見極める必要があります。求人票における待遇条件や勤務地、勤務時間、キャリアパスの提示方法までを見直し、競合他社に対してどのような差別化が図れるかを再検討することが重要です。特に有効求人数が前年同月より0.9%減少しているという事実は、企業が求人数を絞りつつ、より質の高い人材を狙っている傾向を示しており、求職者の目に留まるような情報提供の工夫が必要です。

一方で、有効求職者数も前月比で0.8%減少しており、求職者全体のボリューム自体が小さくなっている点にも注目すべきです。この傾向は、長期的な労働人口減少の流れの一端とも考えられ、今後も続く可能性があります。したがって、採用活動においては短期的な人材確保だけでなく、中長期的な人材育成や職場環境の整備を並行して行うことが求められます。

加えて、紹介件数および就職件数のいずれも前年同月比で減少しており、特に就職件数は7.9%の減少と顕著な落ち込みが見られます。これは、求職者の応募意欲やミスマッチの問題、または求人数の質に起因している可能性があり、企業は単に求人を出すだけではなく、応募から内定、定着に至るプロセス全体の最適化を意識した採用設計を行うことが必要です。

雇用保険の受給者数や就職率などのデータも、採用戦略の検討に役立つ情報を提供しています。たとえば、就職率が20.1%と前年同月差で1.4ポイント低下している点は、企業にとっての採用成功率の低下を意味しており、求人条件の再検討や選考スピードの見直しを通じて改善が可能です。

採用担当者にとって、数値だけでなくそれが示す「意味」を読み解く力が重要です。有効求人倍率が高いからといって諦めるのではなく、その数字が示す人材市場の流動性を見極め、求職者が何を重視し、どのような条件であれば応募・入社に至るのかを正確に掴むことが成功の鍵です。そのためには、自社データの分析はもちろん、ハローワークなどから発表される地域ごとの統計データを活用し、自社の採用活動にリアルタイムで反映していくことが求められます。

とりわけ注目すべきは、正社員求人の比率が全体の45.2%を占め、希望者側の正社員希望者比率が54.7%と上回っている点です。このギャップは、正社員希望者にとっては競争がやや激しい市場であることを意味しており、企業側にとっては優秀な人材を確保するチャンスとも捉えることができます。ここで差別化された待遇や、働きやすさに関する取り組みを提示することで、求職者からの選ばれる企業となる可能性が高まります。

京都府内の地域別データを踏まえると、特に京都西陣や七条といった都市部においては求人倍率が安定しており、人材獲得のチャンスが広がっています。一方で、京都田辺のように倍率が0.86倍と低く、人材が潤沢なエリアでは、企業側が積極的な人材育成や地域貢献型の採用を行うことで、長期的な人材確保に結びつけることができます。

最終的に、採用担当者が行うべきは「求人倍率に左右されず、人材の質と長期的な企業成長の両立を目指した戦略的な採用活動」です。有効求人倍率というデータを単なる統計として終わらせるのではなく、地域・時期・職種ごとの傾向を見極め、未来を見据えた人材戦略に転換することが、これからの時代において企業の成長を支える最も重要な鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは京都労働局のWEBサイトへ

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