2025年6月16日
労務・人事ニュース
令和7年4月佐賀県の有効求人倍率1.28倍に見る採用競争の実態と企業が取るべき行動
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
地域別求人倍率で差が出た佐賀県、唐津や武雄など各地域の採用環境とは
令和7年4月、佐賀県内の有効求人倍率(季節調整値)は1.28倍となり、前月から0.03ポイントの上昇を記録しました。全国平均の1.26倍や九州・沖縄地域の平均である1.17倍と比較しても、佐賀県は相対的に高い水準を維持しており、依然として企業にとっては人材獲得が難しい売り手市場が続いている状況です。このような環境下において、企業の採用担当者が取るべき戦略的な行動は、単なる求人活動にとどまらず、より深い洞察と柔軟な対応力が問われています。
まず、有効求人倍率の上昇が意味するところは、単に求人件数が増えたということにとどまりません。実際、4月の有効求人数は前月比で2.3%増加し、同時に有効求職者数も0.2%増加しました。つまり、求人数の伸びが求職者数の増加を上回っているため、倍率が上昇したという構図です。新規求人倍率は2.17倍と前月から0.26ポイントも増えており、求人市場の活性化が見て取れます。これは、企業が採用を強化していることの現れであり、競争がより激化していることを示しています。
佐賀県における正社員の有効求人倍率は1.13倍と、前年同月比で0.03ポイント上昇しました。この数値は、非正規雇用を含まない雇用形態においても人材不足が続いていることを意味しており、企業が長期的な人材確保を目指す中で、正社員求人に力を入れている傾向がうかがえます。正社員を求める求職者にとっては選択肢が多くなり、反対に企業側にとっては他社と比較されたうえで選ばれる努力がより重要になっています。
業種別の新規求人状況を見ると、製造業や運輸業・郵便業、卸売・小売業、建設業、サービス業などで求人が増加している一方、宿泊業・飲食サービス業や医療・福祉分野では求人が減少しており、業界ごとの人材動向にばらつきが見られます。特に運輸業・郵便業では前年比25.2%という大幅な増加が記録されており、この分野での人材需要が急速に高まっていることがわかります。採用担当者はこうした業界ごとの変化を敏感に捉え、自社の属する産業における求職者動向を分析したうえで、魅力的な求人内容の提示に努める必要があります。
地域別のデータに目を向けると、佐賀市、鳥栖市、伊万里市、鹿島市、唐津市、武雄市といった各地域で、求人数や求職者数、求人倍率にばらつきがあります。特に佐賀市では、新規求人倍率が1.72倍と高く、求人数が求職者数を大きく上回っていることがわかります。一方で、唐津市では有効求人倍率が1.16倍と比較的低く、地域によって人材の流動性や採用の難易度に差があることが浮き彫りとなっています。企業が人材を確保するうえで、勤務地の柔軟な設定や通勤支援制度の導入など、地理的な制約を超えた対応が求められます。
注目すべきは、若年層の新規求職申込件数の減少傾向です。令和7年4月において、29歳以下の新規求職者は前年比で減少しており、若手人材の採用がより困難になっている現状が浮き彫りになっています。採用担当者は、若年層の志向に合ったキャリア支援制度や職場環境の整備、リスキリングの機会提供などを通じて、長期的に定着してもらえる環境づくりに注力する必要があります。一方で、中高年層の求職者数は比較的安定しており、豊富な経験を持つ人材の活用も検討すべきタイミングです。
また、注目すべきもう一つの指標として、ハローワークのマッチング実績における就職件数や充足数、雇用保険受給者の早期再就職割合があります。これらのデータは、実際に求人がどれだけ成果につながっているかを示す重要な指標であり、企業としても自社の採用活動の成果を見直す際の参考になります。例えば、令和7年4月の佐賀県内での就職件数は1,205件、充足数は1,171件であり、一定の成果が上がっている一方、就職率は25.4%と低く、求人側と求職者側とのマッチングに課題が残っていることを示しています。
このような状況下で企業が採用活動を成功させるためには、単に求人広告を出すだけでなく、企業の魅力や社内文化を的確に伝える情報発信が欠かせません。特にデジタルメディアやSNS、動画コンテンツを活用した採用広報は、求職者の共感を得やすくなっています。また、採用プロセス自体の見直しも急務です。長期化する選考プロセスは求職者に敬遠されやすく、迅速な対応が好まれます。応募から面接、内定までのスピードを意識することは、競合他社との差別化にもつながります。
さらに、人材定着を視野に入れた取り組みも忘れてはなりません。採用後のフォロー体制の構築や、メンター制度の導入、オンボーディングプログラムの整備など、入社後のサポート体制が整っている企業ほど、優秀な人材の流出を防ぎやすくなります。採用と定着は表裏一体の関係であり、どちらかが欠けては人材戦略は成立しません。
佐賀県における令和7年4月の雇用情勢は、多くの企業にとって課題と機会が同時に存在する複雑な状況を示しています。採用担当者が自社の立ち位置を正確に把握し、地域や業種、雇用形態の違いを考慮したうえで、戦略的かつ柔軟に対応していくことが、これからの人材確保には不可欠です。求人倍率という一つの数字から、業界の動向、地域の特性、求職者の志向までを読み解き、より深い理解に基づいた採用活動を行うことが、企業の持続的成長を支える鍵となるのです。
⇒ 詳しくは佐賀労働局のWEBサイトへ