2025年4月27日
労務・人事ニュース
令和7年4月7日、コンセント制度による商標登録が日本初の事例として成立
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行いました(経産省)
2025年4月7日、特許庁は「コンセント制度」を適用した初の商標登録を行ったことを発表しました。これは令和6年4月1日に施行された改正商標法の制度によるもので、日本において初めて先行登録商標権者の承諾、いわゆる“コンセント”を得たうえで、同一または類似の商標が正式に登録されたという画期的な事例です。新規ブランド展開において制限となっていた「類似商標の存在による登録不可」という壁を、当事者間の合意によって乗り越える道が開かれたことは、中小企業やスタートアップ企業をはじめとする多くの事業者にとって、事業拡大や市場参入の大きな支援策となる可能性を秘めています。
これまで日本の商標制度では、既に登録された商標と同一または類似する商標を、同じまたは類似する商品・役務で使用する場合、その商標の登録を原則として認めない仕組みが採られてきました。これは市場における混同やブランドの誤認を防ぐための重要な仕組みであり、消費者保護や商標権の安定に寄与するものでしたが、一方で新規事業の立ち上げ時やグローバル展開の際には、商標の選択肢が非常に限られるという実務的な課題も生じていました。
令和5年の商標法改正では、こうした課題を踏まえて、既存の登録商標の権利者が、混同の恐れがないことを前提に承諾を与えることで、新たな商標の登録を可能とする「コンセント制度」が新たに導入されました。これにより、たとえば、グループ企業間や提携関係にある企業同士で、戦略的に商標を使い分けることが容易になり、ブランド戦略の柔軟性が格段に向上することとなりました。制度の適用には、先行商標との混同が生じないことが前提となりますが、その判断は商標審査官による厳格な審査のもとでなされるため、制度運用の透明性と信頼性も確保されています。
実際に令和7年4月7日に行われた初の登録では、先行登録商標権者が新規出願者の商標使用に対して承諾を与えたうえで、商標登録が成立しています。この初事例は、今後同様のケースにおいて制度活用を検討する企業にとって、非常に参考になるものです。特に、過去には商標登録が拒絶される可能性が高かった企業名や商品名が、今後は承諾取得というプロセスを経ることで登録可能となり、知的財産の戦略的活用に新たな可能性が開かれます。
この制度の意義は、中小企業やスタートアップ企業がブランド力を構築し、競合との明確な差別化を図るうえでの基盤となる商標取得のハードルを下げた点にあります。これまでは、大手企業の商標と偶然類似してしまった場合、名称の変更や再ブランディングが必要となるなど、事業計画そのものに大きな影響を及ぼすこともありました。しかし、コンセント制度の導入により、双方の合意と法的審査を通じて、同一市場内での共存が認められることで、無用な商標争いを回避し、より円滑な事業展開が可能となります。
また、国際的な視点においてもこの制度の導入は非常に重要な意味を持ちます。コンセント制度は欧米をはじめとする多くの国・地域で既に導入されており、特にEUや米国では広く活用されています。日本でもこの制度が導入されたことで、海外展開を目指す企業にとっては、グローバルでの知財戦略をより整合性のあるものとすることができるようになります。すでに海外では日本企業のブランドが登録済みとなっている場合でも、現地企業との合意を得ることでスムーズに商標を取得することが可能となり、越境展開の障壁を一つ取り除く結果となるでしょう。
企業の採用担当者にとっても、知的財産に関する制度の進展は無関係ではありません。特に広報、マーケティング、ブランド戦略部門など、知財を実務的に扱う部署では、商標や意匠、著作権といった分野に明るい人材が今後ますます必要とされるようになります。また、知的財産制度への理解がある人材は、スタートアップやベンチャー企業において事業初期から重要な役割を担うことが多く、採用にあたっては大きな付加価値となります。今回の初適用事例をきっかけに、知財に関する法制度の理解が、企業競争力そのものと直結しているという認識が広がることで、採用活動の方向性にも変化が生じることが予想されます。
⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ