2025年7月14日
労務・人事ニュース
令和7年5月の京都府有効求人倍率1.29倍
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障がい児施設の児童指導員/障がい児者デイサービス/週2日~勤務OK/扶養内勤務OK/無料駐車場完備/未経験可
最終更新: 2025年7月16日 01:59
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「夜勤なし」/正看護師/デイサービス/保育園/幼稚園/介護施設
最終更新: 2025年7月15日 23:04
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介護職員福岡市西区/福岡県/JR筑肥線/下山門駅
最終更新: 2025年7月16日 06:35
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「夜勤なし」/准看護師/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月15日 23:04
報道発表資料 京都府内の雇用失業情勢(令和7年5月分)(京都労働局)
令和7年5月における京都府内の雇用情勢が京都労働局から公表され、有効求人倍率が1.29倍となり、前月と同水準であることが明らかになりました。この数値は全国平均の1.24倍を上回っており、京都府内における人材ニーズの高さを物語っています。採用活動に関わる担当者にとって、こうした統計データは単なる数値にとどまらず、実務上の戦略を立てるための重要な指針となります。今回の結果をもとに、企業の採用担当者がどのように現状を捉え、今後の方針をどのように調整していくべきかについて、専門的かつ実践的な視点から解説いたします。
まず、有効求人倍率1.29倍という数値から分かるのは、京都府内で1人の求職者に対して1.29件の求人があるという需給バランスです。求人数が求職者数を上回っている状況では、企業側が労働者を「選ぶ」というよりも、求職者から「選ばれる」側に立たされていることを意味します。令和7年5月の時点で、有効求人数は54,619人、前月から533人増加(+1.0%)しており、一方で有効求職者数も42,245人と160人増(+0.4%)で推移しています。このように求人・求職の双方が増えていることから、雇用市場自体は活性化していると言えますが、同時に企業間での人材獲得競争が激しさを増していることを表しています。
採用担当者が注目すべきもう一つの指標として、新規求人倍率の上昇があります。5月は前月から0.13ポイント上昇し、2.64倍となりました。これは、新たに募集を開始した企業の求人に対して、求職者数が相対的に少ないということを意味しており、企業が新規人材を確保するうえでの難易度がさらに高まっている状況です。新規求人数は20,060人で870人の増加(+4.5%)、対して新規求職者数は7,604人で53人減少(-0.7%)という対照的な動きを見せており、労働供給が追いつかない構図が浮き彫りになっています。
このような状況において、企業の採用担当者は従来のような「待ちの採用」では成果を得にくくなってきているのが現実です。求人票を出すだけで応募が集まる時代は終わり、今後は「攻めの採用」が必要不可欠となります。まず最も重要なのは、求人内容の見直しです。賃金水準、勤務条件、福利厚生、職場環境といった基本情報に加え、企業の理念やビジョン、将来性、キャリアパスといった定性的な要素をどれだけ具体的かつ魅力的に伝えられるかが、応募者の心を動かす鍵となります。
また、求人の発信チャネルにも工夫が求められます。ハローワークのみならず、インターネット求人サイト、SNS、自社ウェブサイトなど多様な媒体を組み合わせることで、より幅広い求職者層へのアプローチが可能になります。令和3年9月以降、ハローワークのインターネットサービスの拡充により、来所せずにオンライン上で登録や応募を行う求職者が増加していることも考慮し、デジタルツールを活用した情報発信の強化は避けて通れないでしょう。
一方で、応募者の志望度や定着率を高めるには、選考プロセスの見直しも不可欠です。求職者にとって選考の過程は、企業理解を深める貴重な機会です。採用面接だけでなく、社内見学や社員との交流、職場体験の機会を設けることで、ミスマッチを防ぎ、長期的な雇用につなげることが可能になります。
さらに、業種や職種によっては採用環境に大きなばらつきがある点も留意すべきポイントです。製造業や宿泊・飲食業、小売業などでは慢性的な人手不足が深刻化しており、他業種と比較しても採用難易度が高い傾向にあります。こうした分野での採用では、単に条件を改善するだけでなく、未経験者の採用や育成、定年退職後の高齢者雇用、女性や外国人の積極採用といった多様な人材戦略が求められます。
加えて、求職者側のニーズにも変化が生じています。柔軟な働き方やワークライフバランスを重視する人が増えており、テレワーク制度や時短勤務、フレックス制度といった柔軟な雇用形態の導入は、企業の競争力を高める要素となっています。また、企業としての社会的責任やSDGsへの取り組みも、求職者が企業を選ぶ際の判断材料として注目されている点を見落としてはなりません。
京都府の雇用情勢においては、全体として緩やかながらも持ち直しの傾向が見られるものの、物価上昇の影響など、先行きに不透明感が残る状況でもあります。そのため、採用戦略においても短期的な成果だけを追うのではなく、中長期的な視点で人材を育成し、企業の価値を高めていく取り組みが必要です。数字に現れない部分にこそ、本当の採用力の差が出る時代に突入しているといえるでしょう。
最後に、有効求人倍率という統計データをただの経済指標として見るのではなく、企業活動と直結する実務的な分析対象として位置づけることが、採用担当者の成長にもつながります。令和7年5月の京都府における1.29倍という数値は、単なる雇用の需給バランスを超えて、人材市場における企業の姿勢そのものを映し出す鏡でもあります。環境変化に柔軟に対応し、自社の魅力を最大限に発信しながら、よりよい人材との出会いを創出することが、今の時代における採用活動の本質なのです。
⇒ 詳しくは京都労働局のWEBサイトへ