2025年7月12日
労務・人事ニュース
令和7年5月の宮城県における有効求人倍率1.22倍
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- 宮城県の一般職業紹介状況(令和7年5月分)について -(宮城労働局)
令和7年5月、宮城県における有効求人倍率は1.22倍と発表されました。これは前月と同じ水準であり、3か月連続で横ばいの状態が続いています。具体的には、同月の有効求人数は45,001人で、前月比1.0%増加しました。一方で、有効求職者数も36,827人と前月比1.0%の増加となり、求人と求職の双方が拮抗する傾向を見せています。これらの数値が示す通り、企業が人材を確保するにあたり、競争が激化している状況が続いていることがうかがえます。
こうした中で企業の採用担当者に求められるのは、単に求人広告を出すことにとどまらない、戦略的な採用活動の再構築です。まず注目すべきは新規求人倍率の動きです。令和7年5月の新規求人倍率は1.90倍となり、前月を0.10ポイント下回りました。この数値は、新たに求人を出した企業に対し、応募者が相対的に少ないことを意味しています。つまり、今後の採用活動では、単に求人情報を公開するだけでは応募が集まりにくいことが予想され、より積極的なアプローチが必要になるということです。
具体的には、自社の魅力を的確に伝える採用ブランディングが欠かせません。求人票には待遇や業務内容を記載するだけでなく、働く環境やキャリアパス、教育制度、企業文化といった定性的な情報を丁寧に掲載することが重要です。特に若年層の求職者は、働きやすさや職場の雰囲気を重視する傾向があるため、社内で活躍する社員のインタビューや、1日の業務の流れを紹介するコンテンツを用意することで、応募へのハードルを下げることができるでしょう。
さらに、採用チャネルの多様化も重要な施策です。宮城県では、ハローワークのインターネットサービスを利用したオンライン応募が増加していますが、それに加えて、転職エージェントや求人媒体、SNSの活用など、求職者がアクセスしやすい複数の経路を整備することが望まれます。また、地域の大学や専門学校との連携を強化し、インターンシップや説明会を通じて学生との接点を増やすことも効果的です。企業側の人材ニーズを伝えるだけでなく、相手の希望や将来像を丁寧にヒアリングし、マッチングの精度を高める取り組みが求められています。
一方で、求人の中身にも改善の余地があります。産業別に見た場合、宿泊業・飲食サービス業や情報通信業、公務などでは新規求人数が増加傾向にある一方で、製造業や建設業では求人が大きく減少しています。例えば、建設業の新規求人は前年同月比で13.9%減の1,668人、製造業は22.9%減の998人となっており、人手不足が深刻化しています。こうした業界では、応募者側の職種への敬遠感や、労働環境に対する不安感が影響している可能性があります。そのため、求人票の記述や面接対応において、「安全対策が整っている」「未経験者にも教育制度がある」といった安心感を与える情報を強調することが採用成功への鍵になります。
正社員の新規求人の動向も見逃せません。令和7年5月のデータによると、全体の求人14,176人のうち、正社員の新規求人は7,734人で全体の54.6%を占めています。前年同月の50.7%から増加しており、正社員採用に力を入れる企業が増えていることが分かります。採用担当者はこの傾向を踏まえ、非正規雇用ではなく長期的な雇用を前提とした正社員ポジションの魅力をより明確に打ち出す必要があります。安定志向の強い求職者にとって、「長く働ける職場」であるというイメージを与えることは、採用率の向上に直結します。
また、離職率の低下に向けた取り組みも併せて行うべきです。有効求職者の中には、直前の離職理由が「事業主都合」によるものが883人存在し、前年同月より12.8%減少してはいるものの、依然として一定数の人が企業側の都合で職を離れている現実があります。採用担当者は、こうした背景にある課題に目を向け、労働時間や待遇、職場内の人間関係といった定着に影響する要素を見直す必要があります。採用活動と定着支援は表裏一体であり、どちらか一方だけに注力しても持続的な人材確保には結びつかないからです。
さらに、物価上昇や経済情勢の変化が採用市場に与える影響にも注意を払うべきです。県内の雇用失業情勢にはやや弱さが見られており、今後の不確実性を踏まえると、柔軟性のある人事計画が求められます。景気の動向に合わせて採用計画を適宜見直しつつ、在籍社員のスキル向上や多能工化を進めることで、外部からの人材確保に頼らない体制を構築していく視点も欠かせません。
以上のように、令和7年5月現在の宮城県における有効求人倍率1.22倍という数値は、決して楽観視できるものではありません。企業が人材を確保するためには、採用活動における「量」だけでなく、「質」をいかに高めるかが問われています。採用の現場において、応募者目線に立った情報提供と、職場環境の整備、そして地域社会や教育機関との連携強化など、多角的な視点からのアプローチが今こそ求められています。企業の採用担当者にとって、これは単なる求人活動ではなく、未来を担う人材との信頼構築の第一歩であることを改めて認識するべきタイミングです。
⇒ 詳しくは宮城労働局のWEBサイトへ