2025年7月13日
労務・人事ニュース
令和7年5月の富山県有効求人倍率1.48倍
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「夜勤なし」/准看護師/サービス付き高齢者向け住宅/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師/有料老人ホーム/デイサービス/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年7月12日 23:04
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看護師/北九州市小倉北区/福岡県/北方駅
最終更新: 2025年7月13日 12:03
富山労働市場ニュース(令和7年5月)(富山労働局)
令和7年5月に富山労働局から発表された最新の雇用情勢データによれば、県内の有効求人倍率は1.48倍となり、前月から0.04ポイントの上昇を記録しました。この結果は、5か月連続での上昇を示しており、企業による人材ニーズが引き続き強いことがうかがえます。有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す指標であり、1倍を超える場合は企業側が人手不足の状況にあることを意味します。つまり、富山県では求職者よりも求人が多いという構図が続いており、企業の採用競争が激しさを増していることがデータから読み取れます。
このような雇用市場の状況において、企業の採用担当者は従来の採用手法では対応しきれない場面に直面しているはずです。求人倍率の高さは一見するとポジティブな数字に映るかもしれませんが、裏を返せば「求人を出しても応募が来ない」「内定辞退が増えている」「採用しても定着しない」といった課題を内包している可能性があります。特に今回の統計では、有効求人数が前月より4.1%増加し、3か月連続での増加となっている一方で、有効求職者数も1.5%増と、求職者の動きも若干の活発化が見られています。それでもなお、求人件数の方が大幅に多い現実がある以上、採用活動における工夫と工数の投下は避けられません。
さらに注目すべきは、新規求人倍率が2.46倍と、前月比で0.17ポイント上昇し、2か月連続の上昇を記録している点です。新規求人倍率がここまで高水準で推移しているということは、新たに求人を出す企業が多い一方で、それに対して応募してくる新規求職者が追いついていないことを示しています。これは新規採用市場における人材獲得競争が極めて厳しいことを意味しており、企業は自社の魅力を的確に伝える情報発信力、スピード感を持った選考体制、柔軟な勤務条件の提示など、総合的な採用力を高める必要があります。
こうした状況の中で、企業の採用担当者がとるべき最も基本的なアプローチは、まず求人内容を精査することです。単に給与や勤務時間を羅列するのではなく、職場の雰囲気や具体的なキャリアアップの道筋、福利厚生の特色など、求職者にとって「ここで働きたい」と思わせる要素を明示することが重要です。とりわけ富山県のように地域密着型の中小企業が多い地域では、大都市圏と異なる価値観や働き方が重視されることもあるため、地元で働く魅力を丁寧に言語化し、発信する力が問われます。
また、有効求人倍率の上昇が続く背景には、少子高齢化や都市部への人口流出といった構造的な要因も存在しています。そのため、採用戦略においては「今だけを見ない」ことも大切です。中長期的な視点で人材を育成する姿勢が求められ、未経験者を対象とした研修制度の整備や、第二新卒、シニア層の活用など、これまで積極的にアプローチしてこなかった人材層にも目を向けるべき段階に来ています。また、柔軟な働き方への対応も重要であり、特に家庭や地域との両立を重視する層に対しては、在宅勤務や時短勤務の制度を設けることで応募の幅が広がる可能性があります。
一方で、有効求職者数も2か月連続で増加している点には注目が必要です。これは、求職活動に動き出す人が徐々に増えてきていることを示しており、企業にとってはチャンスとも言えます。しかしながら、求職者側が望む条件は年々多様化・高度化しており、単に求人を出すだけでは十分な応募が得られないケースが増えています。求職者のニーズに対して的確に応える求人設計が、今後ますます重要になってくるでしょう。
また、富山県の労働市場においては、製造業やサービス業といった地場産業が求人の中心となっている傾向がありますが、それぞれの業種ごとに求職者の特性や希望する働き方は異なります。例えば製造業では安定性や技能の習得機会が重視される傾向があり、サービス業では人間関係やシフトの柔軟性が重要視されます。したがって、企業は自社の業種特性に合わせて、採用メッセージや選考プロセスの内容をカスタマイズしていく必要があります。
最後に、今回の統計では「物価上昇等が雇用に与える影響に引き続き注意する必要がある」との見解も示されています。この点は非常に重要です。物価の上昇は実質賃金の低下を意味し、求職者の企業選びに直接影響を与える要素です。そのため、給与水準の見直しや賞与、手当の支給方法なども、採用の成否に関わる重要な判断材料になります。とりわけ中小企業においては、金銭的な条件だけではなく、職場の安心感や働きがいといった非金銭的要素を訴求することが、人材確保の決め手となり得るのです。
以上のように、令和7年5月現在の富山県の有効求人倍率1.48倍という数値は、企業にとってチャンスであると同時に、採用難という課題への警鐘でもあります。人材を確保し、定着させ、戦力として育てていくには、単なる人手集めではない、本質的な「人材戦略」が不可欠です。そのためには、企業の採用担当者自身が地域経済の動向を的確に捉え、自社の強みを最大限に活かしたアプローチを継続的に実践していく姿勢が求められます。
⇒ 詳しくは富山労働局のWEBサイトへ