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2025年7月13日

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令和7年5月の福井県有効求人倍率1.86倍

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雇用失業情勢 (令和7年5月分)(福井労働局)

令和7年5月の福井県における最新の労働市場データが福井労働局から公表され、県内企業にとっては今後の採用戦略を練るうえで極めて重要な示唆を含んでいるといえます。この月の有効求人倍率は就業地別で1.86倍、受理地別で1.72倍と、いずれも全国平均の1.24倍を大きく上回る数値となりました。とくに就業地別の倍率1.86倍は、都道府県別で全国第1位という極めて高い水準であり、県内企業が人材獲得において他県以上に困難を感じていることが明白に読み取れます。つまり、求人1件に対して応募者が1人にも満たない状態が続いており、企業間での採用競争が激化している現状です。

まず、有効求人数は前月比で0.5%の増加、新規求人数は2.9%の減少となりましたが、依然として求人数の水準は高く、人手不足が構造的に続いていることを示しています。一方で、有効求職者数も前月比で0.9%の増加となり、一定程度の求職活動が維持されているものの、新規求職者数は2,493人で前月比3.6%の減少という結果が出ています。つまり、新たに職を探す人が減っている一方で、企業側は求人を出し続けているため、需給バランスに大きなギャップが生じているのです。

こうした中で、新規求人倍率は2.82倍と、前月からわずかに上昇しており、新規に募集をかけた企業が直面している採用の難しさが浮き彫りになっています。この倍率は、新たに求職を開始した人1人に対して約2.8件の求人が存在しているという状況であり、特に人材確保が難しい業種では、従来通りの求人票だけでは応募者を集めることが難しくなっていることを意味します。企業の採用担当者は、このような厳しい競争環境において、どのように自社の魅力をアピールし、求職者の関心を引き寄せるかを真剣に考える必要があります。

産業別にみても、その傾向は顕著です。製造業では前年同月比で17.0%の新規求人増となり、特に食料品製造業では137.5%、電気機械器具製造業では160.0%の大幅な増加が記録されており、これらの分野では採用活動が非常に活発です。しかし、同時に繊維工業では16.4%の減少といったばらつきも見られ、業種ごとの対応力が問われています。また、建設業では12.4%、卸売業・小売業では20.9%、サービス業では16.5%の減少が確認されており、これらの分野では採用そのものを控える動きも見られます。

企業の採用担当者にとって重要なのは、自社の属する業界の求人動向を把握したうえで、競合他社との差別化を図る戦略を立てることです。給与や待遇といったハード面で勝負できない場合には、職場環境の良さや、柔軟な働き方の導入、福利厚生制度の充実といったソフト面を強化することで、求職者からの評価を高める必要があります。また、応募から内定までのプロセスを迅速化し、採用スピードそのもので他社に差をつけることも、現代の採用活動では大きな武器となります。

さらに、求職者側の動向に目を向けると、有効求職者数は前年同月比で2.8%減、新規求職者は8.8%減と、求職活動そのものが鈍化している傾向が見て取れます。年齢層別では24歳以下で11.7%の減少、25〜34歳で6.4%減、35〜44歳で5.3%減と若年層での求職減が目立ちますが、45〜54歳では2.5%増、55〜64歳でも1.0%増と、中高年層の求職意欲はやや上向いています。企業としては、これまで採用の中心から外れていた年齢層にも積極的にアプローチし、スキルや経験を活かせるポジションを設けることで、新たな人材確保の道が開ける可能性があります。

また、求職理由別のデータからは、在職中に転職を検討している人も減っており、在職者は前年同月比で6.3%減、離職者は8.8%減、無業者は15.9%減という結果が示されています。この背景には、物価上昇など経済の先行き不透明感が影響し、求職者が転職を控える傾向が強まっていることが考えられます。したがって、企業側はただ求人を出すだけでなく、安定した職場環境をアピールし、「長く働ける職場」であることを丁寧に伝えることが求職者にとって重要な判断材料となります。

福井県内の安定所別有効求人倍率を見ても、三国が2.24倍、福井が1.61倍、大野が1.51倍、小浜が1.49倍、敦賀が1.44倍、武生が1.22倍と、地域によって採用難の程度に差があります。企業の採用担当者は、自社の所在地や人材の集まりやすさに応じて、地域別の戦略を立てる必要があります。都市部だけに頼るのではなく、郊外や近隣市町村の労働力も視野に入れた採用活動を行うことが、労働力確保の安定につながります。

このように、令和7年5月現在の福井県の有効求人倍率1.86倍という数値は、単なる統計データではなく、企業の採用活動に対して明確な課題と対策の方向性を提示しているといえます。企業は採用を一時的な人手補充と捉えるのではなく、将来的な組織づくりの一環として戦略的に取り組むことが求められています。人材の獲得、育成、定着を一連のプロセスと捉え、企業の理念や文化に合った人材をいかにして採用するか。そのための情報発信、選考体制の見直し、そして柔軟な働き方の実現に向けた社内制度の整備が、これからの時代の採用活動においてますます重要になるといえるでしょう。

⇒ 詳しくは福井労働局のWEBサイトへ

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