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2025年7月12日

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令和7年5月の秋田県有効求人倍率1.20倍

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秋田県内の雇用情勢(令和7年5月)(秋田労働局)

令和7年5月、秋田県における有効求人倍率は1.20倍と発表されました。この数値は、全国平均の1.24倍をやや下回り、47都道府県中28位という位置にあります。これは前月から0.03ポイントの下落であり、全国でも同様に微減傾向が続いています。一見すると、大きな変動ではないように見えるかもしれませんが、この数字の背後には、地域経済と労働市場の複雑な変化が広がっています。

特に注目すべきは、秋田県内の新規求人倍率が1.83倍と、依然として高水準を維持している点です。これは「仕事の数が多いが、それを埋める人材がいない」という状況を意味しており、採用活動を担う企業にとっては、より戦略的な行動が求められるタイミングだといえるでしょう。さらに、正社員に限った有効求人倍率も1.15倍と、前年同月から0.02ポイント上昇しており、正規雇用を希望する求職者とのミスマッチが解消されていないことを示唆しています。

このような状況において、企業の採用担当者がまず意識すべきなのは「求人倍率の高さ=採用のしやすさ」ではないという現実です。求人倍率が高いということは、それだけ競合他社も多くの人材を求めている状態であるため、求人票の条件や採用プロセスの迅速さ、さらには企業の魅力発信が不十分であれば、優秀な人材は別の企業に流れてしまう恐れがあります。

特に秋田県内では、業種によって求人倍率に大きな差があります。たとえば、建設業や福祉分野では求人倍率が4倍を超える職種もあり、特定の技能や資格が求められる分野では、採用が非常に困難な状況です。介護職や看護師、建設技術者などの専門職は、人手不足が恒常的であり、既に地域内での採用に限界が見え始めています。これに対して、事務職や一般職は倍率が0.5倍を下回っており、求職者の数が多く、選考の工数が増える傾向にあります。つまり、業種ごとに採用戦略を練り直す必要があるのです。

また、地域別の求人倍率に目を向けると、秋田県の中でもばらつきが大きいことがわかります。たとえば、就業地別の有効求人倍率では能代市が1.47倍と県内最高であり、反対に湯沢市では0.86倍と1倍を下回っています。この地域差を踏まえ、企業は求人活動を行う際に、「人材が動きやすいエリア」「通勤可能圏内の雇用インフラ」「ハローワークや地元団体との連携」など、よりローカルな視点を持つことが求められます。

一方で、新規求人が減少傾向にあることも見逃せません。秋田県内の新規求人数は6,462人で、前年同月比で7.1%減少しています。産業別では、製造業が13.8%減、卸売・小売業が21.1%減、医療・福祉が11.8%減と、大多数の業種で新規求人が減少しています。こうした背景には、人口減少や物価上昇、エネルギーコストの高騰などがあり、企業が新たな人材を雇う余裕を失っていることが推察されます。このような時こそ、採用担当者は「ただ人を採る」のではなく、「どのポジションに、どんな人材が、なぜ必要なのか」を改めて見直す機会とすべきです。

また、求職者の側にも変化が見られます。65歳以上の求職者が前年比で17.4%増加しており、無業者や離職者の中高年層が再就職を目指して動き始めている兆候が見えます。企業にとっては、高齢層の人材をどのように受け入れ、どのように活躍してもらうかが今後の大きな課題となるでしょう。労働力人口が限られる中、年齢にこだわらず、経験や適応力を評価する採用方針が鍵となります。

さらに、実際の就職件数が前年同月比で9.0%減少していることも忘れてはなりません。特に45歳以上の就職者が前年比で6.6%減となっており、中高年層の採用が思うように進んでいない現実があります。このことから、企業はミドル層に対しても現場に適した研修制度や柔軟な労働時間の導入、転職後のキャリアビジョンを明示するなど、丁寧なフォローアップが不可欠です。

最後に、事業主の生の声からも学ぶべきことがあります。報告書の中には、AIチェックインの導入を検討する宿泊業者や、介護事業における利用定員の減少に苦しむ法人のコメント、仕入コストの高騰と売上減少に悩む小売業の声などが紹介されています。これらの声は、単に雇用の数字だけでは見えない、現場の切実な実情を映し出しています。採用担当者は、こうした現場の変化や課題を経営層と共有し、採用だけでなく、定着支援や働き方改革といった包括的な人事戦略に取り組む必要があります。

秋田県の労働市場は、静かにしかし確実に変化しています。有効求人倍率の数値だけを追うのではなく、その裏にある地域特性、業種別傾向、年齢構成の変化を捉えた上で、自社にとって本当に必要な人材を、適切なタイミングで確保する視点が欠かせません。今後、持続可能な経営を実現するためにも、採用活動は「数」から「質」へとシフトしていく必要があるのです。

⇒ 詳しくは秋田労働局のWEBサイトへ

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