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2025年7月24日

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令和7年5月の設備工事受注額が2兆6,000億円超に、9か月連続増加で技術者不足が懸念

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建設工事受注動態統計調査報告(令和7年5月分)(国交省)

令和7年7月10日、国土交通省総合政策局情報政策課建設経済統計調査室より、令和7年5月分の建設工事受注動態統計調査の結果が公表されました。この統計は、全国の建設業者がどのような建設工事を受注しているのか、公共機関や民間などの発注者別、さらには工事の種類別や地域別に詳細な情報を把握することを目的としたものであり、建設行政を支える極めて重要な基礎資料として位置づけられています。

調査によれば、令和7年5月の建設工事全体の受注高は8兆8,884億円となり、前年同月比で1.9%減少しました。これは2か月連続のマイナスとなり、業界全体に慎重な姿勢が広がっていることを示しています。ただし、全体の受注減少にも関わらず、元請受注高は5兆8,930億円で前年同月比8.9%増加しており、8か月連続で成長を続けています。これは、元請企業において発注機関との信頼関係や入札競争力の強化が奏功していることを示唆しています。

元請受注の内訳を見ると、公共機関からの受注は1兆3,551億円で前年同月比4.7%増、民間等からの受注は4兆5,380億円で同10.2%増と、いずれも安定した増加を見せました。特に民間からの工事受注が8か月連続で増加していることは、企業活動の再活性化や都市開発ニーズの高まりを反映していると考えられます。

一方、下請受注高は2兆9,953億円で前年同月比17.9%減少し、2か月連続の減少となりました。これは元請企業による直施工比率の上昇や、下請業者への発注抑制といった構造的な変化が影響している可能性があります。特に下請けを多く担う中小企業にとっては厳しい状況であり、今後の受注確保には業態の多様化や協力体制の強化が求められます。

業種別に見ると、総合工事業は5兆1,190億円で前年同月比0.2%減と、15か月ぶりにわずかに減少しました。職別工事業は1兆1,360億円で同28.3%減となり、減少幅が大きい点が目立ちます。一方、設備工事業は2兆6,333億円で前年同月比12.3%増と、9か月連続で堅調な成長を示しており、空調や給排水、電気設備などのニーズの高さが裏付けられました。

また、公共機関からの発注工事(1件500万円以上)の総額は1兆2,508億円となり、前年同月比2.1%増と3か月連続で増加しました。国の機関からの受注は3,728億円で前年同月比13.5%減と減少したものの、地方の機関からの受注は8,780億円で同10.5%増と力強い回復を見せました。都道府県、市区町村、地方公営企業など、地域行政が主導するインフラ整備や公共施設の改修が堅調に進んでいることが背景にあります。

工事分類別では、「道路工事」が2,882億円、「教育・病院施設工事」が2,832億円と、高水準の受注額が記録されました。特に市区町村による「教育・病院施設」の発注は2,101億円と最多で、医療・福祉・教育分野への公共投資が引き続き重視されていることが分かります。さらに、政府関連企業による「道路工事」も910億円に上り、交通インフラへの投資も継続的に行われている状況です。

民間発注においては、建築工事および建築設備工事(1件5億円以上)が1兆1,044億円で前年同月比8.2%増となり、8か月連続の増加を記録しました。発注者別で特に目立ったのは、不動産業による発注額で3,497億円と最大規模を示しており、住宅関連の工事が活況を呈しています。住宅工事は全体で2,660億円に上り、そのうち不動産業が占める割合は2,127億円にも達しています。

また、金融業・保険業からの発注は428億円で前年同月比655.8%増、サービス業からの発注も1,723億円で54.8%増と急増しており、新たなオフィス施設や商業施設への需要が増していることが読み取れます。これに伴い、製造業からの発注も安定しており、工場・発電所関連の受注額は1,990億円に達しました。

さらに、民間からの土木工事および機械装置等工事(1件500万円以上)は1兆688億円で、前年同月比36.2%の大幅増となりました。業種別に見ると、製造業が3,133億円、電気・ガス・熱供給・水道業が3,122億円とそれぞれ高水準を維持しています。中でも、機械装置等工事では製造業から2,537億円、電力関連企業から2,391億円の受注があり、設備投資の積極化が顕著です。

特に注目されるのは、設備工事分野での伸び率です。元請設備工事業者の受注は1兆5,641億円で前年同月比28.1%増、設備工事全体では2兆6,333億円に達しています。この分野は省エネルギー設備やスマートビルディング需要の高まりにより、安定した成長基調が継続しています。

地域別では、関東圏が最大の受注額を維持し、特に東京都では全体で3兆2,417億円、元請で2兆2,919億円の実績を記録しました。大阪府も1兆266億円の高水準となっており、首都圏・関西圏における都市再開発が継続的に需要を支えています。

このように、建設業界においては元請企業の受注拡大と設備投資の伸長が続く一方で、下請企業にとっては厳しい状況が続いています。企業の採用担当者にとっては、こうした産業構造の変化を踏まえた人材戦略の見直しが求められており、技術者や設備管理技術者などの育成と確保が重要な課題となっています。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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