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2025年8月23日

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令和7年6月の現金給与総額511,210円 42か月連続増加

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毎月勤労統計調査 令和7年6月分結果速報(厚労省)


この記事の概要

令和7年6月分の毎月勤労統計調査速報によれば、事業所規模5人以上における現金給与総額は前年同月比2.5%増の511,210円となり、42か月連続で増加しました。一方、実質賃金指数は消費者物価の上昇に伴い6か月連続で減少しています。本記事では、名目賃金と実質賃金の動向、就業形態別の賃金状況、物価上昇の影響について詳しく解説します。


令和7年6月分の毎月勤労統計調査速報は、日本の賃金動向や労働環境を把握するうえで重要な指標を提供しています。今回の結果によれば、事業所規模5人以上における一人当たり現金給与総額は511,210円で、前年同月比2.5%増となり、42か月連続の増加を記録しました。これは、前年から続く賃金の上昇傾向が依然として継続していることを示しており、賃金改善が広く浸透している状況がうかがえます。さらに、規模30人以上の事業所に限ると現金給与総額は619,893円で前年同月比2.8%増となり、こちらは52か月連続でプラスとなりました。これは大規模事業所ほど賃金の増加傾向が顕著であることを示唆しています。

この現金給与総額の中核を成すのが「きまって支給する給与」であり、これは289,819円となって前年同月比2.1%の増加、44か月連続のプラスとなっています。そのうち所定内給与は270,244円で、同じく2.1%増加し、44か月連続の上昇となりました。また、賞与や一時金などの「特別に支払われた給与」は221,391円で、前年同月比3.0%の伸びを見せています。これらの数値は、基本的な給与水準だけでなく、臨時的な報酬や賞与の面でも改善が見られることを示しています。

就業形態別に見ると、一般労働者の現金給与総額は685,150円で前年同月比3.0%の増加、51か月連続でプラスとなりました。所定内給与も342,784円と前年同月比2.5%の増加で、53か月連続の上昇です。一方、パートタイム労働者の所定内給与の時間当たり額は1,388円で、前年同月比4.0%の増加を記録しました。パート労働者においても48か月連続で賃金が上昇しており、非正規雇用における待遇改善が続いていることがわかります。

しかし、こうした名目賃金の増加にもかかわらず、実質賃金は減少傾向が続いています。消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)で実質化した現金給与総額は141.1となり、前年同月比で1.3%減少、6か月連続でマイナスとなりました。参考までに同じ物価指数の前年同月比は3.8%の上昇であり、賃金の伸びが物価上昇に追いついていない状況が明らかです。消費者物価指数(総合)で実質化した場合も、現金給与総額は143.8で前年同月比0.7%減となり、こちらも6か月連続のマイナスです。物価指数(総合)の前年同月比は3.3%の上昇でした。

この実質賃金の低下は、企業の採用や人材確保の面にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。名目上の給与は増えていても、生活コストの上昇によって実際に手に入る購買力が減少すれば、労働者の満足度や定着率に影響を与えるからです。特に、生活必需品や光熱費、住宅関連費用の値上がりが続く中では、給与水準だけではなく、福利厚生や働きやすさなどの総合的な待遇改善が求められる局面に入っています。

今回の統計では、1月に調査対象事業所の一部入れ替えが行われ、その影響で現金給与総額が-2,541円(-0.9%)、きまって支給する給与が-1,897円(-0.7%)の断層が生じたことも明記されています。これは統計の比較にあたって留意すべきポイントであり、特に年単位や複数年単位での賃金動向分析を行う際には、この断層の影響を考慮する必要があります。

名目賃金と実質賃金の乖離が続く背景には、国内外の経済情勢や為替変動、原材料価格の高騰などが複合的に作用していると考えられます。企業の採用担当者としては、このようなマクロ経済の影響を理解し、自社の給与体系や採用条件を見直す際に、単なる賃金額の比較ではなく、生活水準の維持・向上につながる総合的な施策を検討することが重要です。特に人材確保競争が激化している業界においては、給与の金額面だけでなく、昇給のスピードやインセンティブ制度の充実度、柔軟な勤務形態の導入など、多角的なアプローチが求められます。

また、非正規雇用者の時間当たり賃金の上昇は、労働市場全体の底上げにつながる可能性がありますが、企業にとっては人件費負担の増加にも直結します。採用や人材配置の戦略においては、こうした人件費増の影響を踏まえたうえで、業務効率化や生産性向上の施策を同時に進める必要があります。加えて、賞与や一時金などの特別給与の増加傾向は、企業にとって優秀な人材のモチベーションを高める好機ですが、景気変動による利益の変化にも敏感なため、持続可能な支給方針を設計することが求められます。

総じて今回の速報は、日本の賃金水準が引き続き上昇基調にあることを示す一方で、物価高による実質賃金の低下という課題を浮き彫りにしています。採用担当者としては、これらの動向を踏まえ、自社の魅力を高める施策を練ることが、今後の人材確保において不可欠となるでしょう。

この記事の要点

  • 令和7年6月の現金給与総額は511,210円で前年同月比2.5%増
  • 規模30人以上の事業所では619,893円で2.8%増
  • 一般労働者の現金給与総額は685,150円で3.0%増
  • パートタイム労働者の時間当たり賃金は1,388円で4.0%増
  • 実質賃金指数は6か月連続で減少
  • 消費者物価上昇率は持家除く総合で3.8%、総合で3.3%
  • 1月の事業所入れ替えで統計に断層が発生
  • 名目賃金上昇と実質賃金低下の乖離が継続
  • 採用戦略では総合的待遇改善が必要
  • 非正規雇用の賃上げは労働市場全体に影響

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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