2025年9月11日
労務・人事ニュース
令和7年7月の熱中症搬送者数39,375人、過去3番目の多さで全国に警戒呼びかけ
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最終更新: 2025年9月10日 04:00
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令和7年7月の熱中症による救急搬送状況(総務省)
この記事の概要
令和7年7月における熱中症による救急搬送人員は全国で39,375人に達し、これは統計開始以来3番目に多い記録となりました。高齢者が全体の約6割を占め、住居内での発生が最も多いという結果も明らかになりました。この記事では、発生状況や搬送者の年齢層、傷病の程度、地域別傾向などを詳細に解説し、熱中症対策の必要性を訴えます。
令和7年7月、日本全国で熱中症による救急搬送人員は39,375人に達し、これは平成20年に7月分の調査が始まって以来で3番目に多い人数となりました。さらに、5月から7月までの累計では59,218人が搬送されており、この数値は5月の集計が始まった平成27年以降では過去2番目に多い記録です。これは近年の異常気象や記録的猛暑の影響が、国民の健康に深刻な影響を及ぼしていることを示すデータと言えるでしょう。
今回の調査では、年齢区分別の搬送状況が明確に示されています。最も多かったのは高齢者で、65歳以上が23,064人と全体の58.6%を占めています。次いで18歳から64歳の成人が12,948人(32.9%)、7歳から17歳の少年が3,146人(8.0%)、生後28日以上7歳未満の乳幼児が216人(0.5%)、そして新生児は1人(0.0%)という結果でした。高齢者の割合が非常に高いことから、体温調節機能の低下や自律神経の働きが弱まっていることが、熱中症のリスクを高めていると考えられます。
また、搬送された人々の初診時における傷病の程度も注目されます。外来診療で済んだ軽症者は24,554人(62.4%)と最も多く、続いて入院が必要な中等症が13,761人(34.9%)、長期入院を要する重症者が873人(2.2%)、そして死亡者は48人(0.1%)にのぼりました。軽症者が大半を占めているとはいえ、重症者や死者の数も少なくはなく、決して油断できない実態が浮き彫りになっています。
さらに、熱中症が発生した場所についての内訳も分析されています。最も多かったのは住居内で、16,110人(40.9%)が搬送されています。これに続いて道路上での発生が7,624人(19.4%)、公衆(屋外)での発生が4,219人(10.7%)、そして仕事場での発生が4,045人(10.3%)となっており、屋内外を問わずあらゆる生活空間で熱中症が発生していることがわかります。特に住居での発生が最多であることは、エアコンの使用を控える高齢者や、換気の不十分な部屋に長時間滞在することでリスクが高まるという生活習慣の影響が考えられます。
地域別の状況を見ても、大都市圏を中心に搬送者が多い傾向が見られました。例えば東京都では3,416人、大阪府では2,864人、愛知県では2,411人と、都市部に集中しています。これらの地域ではコンクリートやアスファルトの蓄熱によるヒートアイランド現象も影響していると考えられます。
また、熱中症による救急搬送は、1ヶ月を通して日々変動がありました。7月7日には1,929人が搬送され、この月の中で最も多い日となりました。それ以外にも7月22日(1,898人)や7月23日(1,787人)など、月末にかけて多くの搬送が発生しています。これは7月末から8月上旬にかけて国内で観測史上最高気温が相次いで更新された影響が強く、まさに“命にかかわる危険な暑さ”が現実となった証です。
消防庁は、このような状況を受けて「猛暑はもはや災害である」と警鐘を鳴らし、国民に対して基本的な熱中症予防策を呼びかけています。具体的には、水分補給は喉の渇きを感じる前にこまめに行うことや、適切な塩分の摂取、室内ではエアコンや扇風機を我慢せずに活用すること、屋外での作業時は頻繁に休憩をとること、さらには熱中症警戒アラートが発表された日には外出を控えることが推奨されています。特に高齢者世帯では、こうした対策を生活習慣に取り入れるよう、周囲の家族や地域社会からのサポートも重要とされています。
なお、今回の調査データに基づき、過去の搬送人員の推移と比較すると、令和7年の7月単月での39,375人という数字は、令和6年(43,195人)には届かなかったものの、依然として極めて高水準であり、平成30年(54,220人)に次ぐレベルとなっています。5月から7月までの3ヶ月間で見ると、令和元年の71,317人に次いで2番目に多く、年を追うごとに熱中症がもたらす健康被害が深刻化している様子が見て取れます。
また、都道府県別で見た搬送人員の最多は東京都の3,416人、次いで大阪府の2,864人、愛知県の2,411人となっており、いずれも交通量や人口が多い都市部での発生が顕著でした。一方で、地方の県でも搬送者数は決して少なくなく、たとえば福岡県では1,623人、兵庫県では1,957人が搬送されており、都市部以外でも対策の重要性が増しています。
このようなデータを踏まえると、企業や団体にとっても従業員の安全確保を前提とした熱中症対策の強化が求められます。特に屋外作業が多い建設業や運送業では、作業環境の温湿度管理や適切な休憩時間の確保、冷却グッズの配布などが喫緊の課題です。また、企業の福利厚生として熱中症予防のための啓発活動や健康管理支援を導入することも、従業員の健康と生産性を維持するうえで不可欠といえるでしょう。
近年では、気象庁や厚生労働省、自治体などが発信する熱中症警戒アラートや注意情報を活用し、企業の行動判断に役立てる動きも見られます。これに加えて、熱中症が「予防可能な病気」であることを広く共有し、個人、家庭、地域、そして企業が一体となって対策を講じることが、今後さらに重要となります。
この記事の要点
- 令和7年7月の熱中症による救急搬送人員は39,375人で、統計開始以来3番目に多い
- 高齢者が搬送者全体の58.6%を占めており、最も多い年齢層である
- 搬送場所としては住居が最多で全体の40.9%を占める
- 傷病の程度では軽症が62.4%、中等症が34.9%、重症が2.2%、死亡が0.1%
- 都市部を中心に搬送人員が多く、東京都は3,416人で最多
- 企業や自治体における熱中症対策の強化が急務である
- 5月から7月までの累計搬送人員は59,218人で、過去2番目の多さ
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ