労務・人事ニュース

令和7年 秋田県 医療施設等物価高騰対策事業費補助金（食材料費支援）

秋田県では、昨今の急激な物価上昇を背景に、経営の安定を揺るがす環境に置かれている県内の医療施設を支援するため、「医療施設等物価高騰対策事業費補助金（食材料費支援）」の交付を開始しています。とりわけ、入院患者への食事提供に必要な食材料費の負担が重くのしかかる中、県内の病院や有床診療所に対して、その経費の一部を直接補助することで、地域の医療体制を維持し、患者への安定したサービス提供を確保することを目的とした取り組みです。

この補助金制度の対象となるのは、秋田県内に所在する保険医療機関である病院及び有床診療所で、申請にあたっては休止中の病床や病院そのものが休止または廃止となっている場合、あるいは入院時の食事提供を全く行っていない施設などは対象外となります。補助額は、許可病床数に基づいて算出され、1病床あたり5,400円とされております。なお、休止病床は対象病床数に含まれないため、補助額の算出には注意が必要です。

また、対象外となる施設には一定の要件が設けられており、市町村や一部事務組合が運営・出資する公的施設、あるいは秋田県暴力団排除条例に該当する暴力団関係者が運営に関わる施設などが該当します。これにより、補助金の公正な執行と地域医療への適正な支援が確保される制度設計となっています。

補助金の対象となる期間は、令和7年4月1日から同年9月30日までの6か月間とされており、この間に発生した食材料費の高騰に伴う負担を軽減する目的で支給されます。医療機関はこの期間内の入院患者に対して提供する食事に関するコストを申請の根拠として提出することになります。

申請の受付期間は、令和7年6月19日から9月30日までで、申請方法は郵送または電子メールのいずれかによる提出が認められています。郵送の場合は9月30日の消印が有効とされており、期日までに余裕を持った手続きが求められます。申請には、交付申請書および請求書、さらに振込先が確認できる通帳等の写しが必要です。振込先の口座については、法人であれば法人名義の口座、個人事業主であれば本人名義の口座に限定されているため、事前に準備しておくことが推奨されます。

この補助金制度は、県内の医療機関が安定して食事サービスを提供し続けるための支援策であると同時に、患者の療養環境の質を守るための公的な支えでもあります。とくに高齢化が進む地域医療において、入院中の患者にとって毎日の食事は健康管理の要であり、医療施設側にとっても食材調達の費用上昇は大きな経営リスクとなっています。こうした背景のもと、現場の負担を軽減する今回の支援は、実務上の即効性が期待されている施策と言えるでしょう。

また、補助金に関する問い合わせは、秋田県健康福祉部医務薬事課まで直接連絡することができ、提出書類や条件についての不明点は確認のうえで進めることが可能です。電子メールでも対応しているため、迅速な手続きを行いたい医療機関にとっても便利な窓口が整っています。必要書類については公式に提供されている様式に沿って作成し、提出時に不備のないよう十分な確認が重要です。

この補助金制度は、医療施設の事務職員や経営管理者だけでなく、採用担当者にとっても意義深い情報です。食事サービスを安定的に提供できる医療施設は、患者やその家族からの信頼性が高まると同時に、職員にとっても働きやすい職場環境の整備につながります。食材費の高騰が医療現場の業務に波及している中で、行政による具体的支援があるということは、従業員の確保・定着にも好影響をもたらす可能性があります。また、自治体の制度を積極的に活用している医療機関は、安定した経営基盤とともに、時代に応じた柔軟な対応力を備えていると評価されることも少なくありません。

今後も引き続き医療費や運営コストの上昇が見込まれる中、このような補助制度を適切に利用して施設経営の安定化を図ることは、地域医療の持続性を保つうえでも極めて重要な戦略です。申請期限が近づく前に、必要な書類の準備と内容の確認を早めに行い、確実な申請を心がけましょう。

⇒ 詳しくは秋田県のWEBサイトへ