2025年4月9日
労務・人事ニュース
健康診査で33.6%が糖尿病指導対象、生活習慣病予備軍の急増に企業も要対策
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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令和5年度地域保健・健康増進事業報告の概況 健康増進編(厚労省)
令和5年度に実施された健康増進に関する全国調査の結果が取りまとめられ、日本における地域保健活動の実態が詳細なデータとともに公表されました。本調査は、市区町村が主体となって行う健康診査やがん検診、健康教育、訪問指導、肝炎ウイルス検診など、幅広い分野にわたっており、地域住民の健康管理に対する取り組みの成果と課題が浮き彫りになっています。企業にとっても、従業員の健康維持や働きやすい職場環境づくりに活かせる重要な情報源となり得ます。
まず健康診査に関するデータを見ていくと、令和5年度に市区町村が実施した健康診査の受診者数は125,372人にのぼり、男性が59,622人、女性が65,750人と、女性の受診者がやや多い傾向にあります。このうち、糖尿病の個別健康教育が必要と判断された人は42,175人、高血圧症の指導対象者は36,380人に達しており、生活習慣病の予防や重症化防止に向けた指導の重要性がうかがえます。受診者の約33.6%が糖尿病予備軍、あるいは治療が必要な状態であるとされた点は、企業の健康経営にも深く関わる問題であり、早期対応が求められるところです。
また、歯周疾患検診では359,554人が受診し、うち64.5%にあたる231,919人が精密検査を要すると判定されています。年齢が高くなるほどこの割合が増加しており、特に70歳では68.6%が要精検とされています。骨粗鬆症検診では319,819人が受診し、16.7%が要精検対象となりましたが、こちらも高齢層での比率が高く、予防的なケアの必要性が強調されています。検診の実施率を見ると、歯周疾患検診が83.6%、骨粗鬆症検診が64.2%となっており、年々着実に地域レベルでの健康管理が進んでいることが分かります。
健康教育の分野では、令和5年度に90,279回の集団健康教育が実施され、延べ参加者数は137万5,720人にのぼっています。その中でも「一般健康教育」が全体の約7割を占め、開催回数62,798回、延べ参加者数981,523人を記録しました。その他、歯周疾患や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨粗鬆症、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)など、疾患別の健康教育も活発に実施されています。企業としても、これらのデータを踏まえた健康セミナーや生活習慣改善プログラムの導入は、従業員の健康維持に直結する取り組みとなるでしょう。
健康相談については、令和5年度の被指導延べ人数が76万6,820人に達し、そのうち重点健康相談としては26万5,510人が指導を受けました。中でも「病態別健康相談」が7万7,482人と最多で、続いて「骨粗鬆症」5万2,845人、「高血圧」4万5,835人といった生活習慣病が多くを占めています。これらの相談活動は、個別対応による早期発見や生活習慣改善に向けたアプローチを提供しており、企業が目指す健康経営の方向性と合致しています。
さらに、訪問指導に関しても、令和5年度には11万8,622人が指導を受け、そのうち「要指導者等」とされた人が7万5,591人と半数以上を占めました。その他にも、閉じこもり予防、介護家族支援、寝たきり者や認知症高齢者に対する訪問も実施されており、地域に密着した包括的なケア体制が着実に構築されつつあります。
がん検診の受診者数にも注目が集まります。令和5年度のがん検診における受診者数は胃がん118,622人、肺がん293万1,531人、大腸がん338万4,659人、子宮頸がん338万140人、乳がん213万3,639人となっています。受診率で見ると、胃がんと大腸がんはともに6.8%、肺がんは5.9%、子宮頸がんは15.8%、乳がんは16.0%という結果でした。特に子宮頸がんと乳がんに関しては、女性対象の検診であることから、女性活躍推進を進める企業にとって、こうした検診の推進は働きやすい環境づくりと直結する要素といえるでしょう。
また、肝炎ウイルス検診も活発に行われており、B型肝炎では53万9,837人、C型肝炎では53万9,125人が受診しています。B型で陽性と判定された人は2,764人、C型で現在感染の可能性が高いとされた人は846人となっており、早期診断・治療のための重要な検査であることが改めて確認されました。肝炎に関する健康教育は468回、健康相談は1,368回実施され、延べ1万人以上が参加しています。
このように、令和5年度の健康増進施策の実施状況は、地域に根ざした健康支援体制の広がりを示すものであり、企業がこれらの取組と連携することは、従業員の健康保持と持続可能な職場環境の実現に直結します。特に、健康診査やがん検診の低受診率、生活習慣病予備軍の増加、歯周病や骨粗鬆症などの加齢性疾患への対応は、企業の生産性や人材の定着率にも影響を与える重大な課題です。これからの企業経営には、こうした地域保健の動向を的確に捉えた施策展開が求められているといえるでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ