2025年5月28日
労務・人事ニュース
光化学オキシダントの基準達成率がわずか0.1%、注意報発令17都府県・延べ45日に拡大(令和5年度)
- 看護師/福岡県/二日市駅/筑紫野市
最終更新: 2025年6月16日 07:35
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最終更新: 2025年6月15日 22:38
- 「時短勤務可」/准看護師・正看護師/介護施設/夜勤なし
最終更新: 2025年6月15日 22:38
- 「夜勤なし」/准看護師・正看護師/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年6月15日 22:38
令和5年度 大気汚染状況について(環境省)
環境省は2025年5月20日、令和5年度における日本全国の大気汚染状況に関する常時監視の結果を発表しました。この監視は大気汚染防止法に基づき、都道府県および政令市が実施しているもので、同時に環境省自身も全国の大気環境のモニタリングを行っています。今回公表されたデータは、全国に設置された1,755の測定局から収集されたもので、内訳は一般環境大気測定局が1,383局、自動車排出ガス測定局が372局となっています。
監視の対象となるのは、環境基準が設定されている6つの大気汚染物質および21種類の有害大気汚染物質です。まず、大気汚染物質に関する測定結果を見ると、微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成率は、一般局・自排局ともに100%を記録しました。年平均値も一般局で8.5μg/m³、自排局で9.1μg/m³と、前年からわずかに改善しており、日本の大気中の微細粒子に関しては良好な管理が継続されていることがわかります。
一方で、依然として深刻な課題を抱えるのが光化学オキシダント(Ox)です。環境基準達成率は一般局でわずか0.1%、自排局に至っては0%という極めて低い数値にとどまっており、令和4年度と比較しても改善の兆しは見られていません。これは光化学オキシダントが発生源を特定しにくい二次汚染物質であること、また気象条件に左右されやすいという特性を持つことから、対策の難しさがうかがえます。
特に関東、東海、阪神、福岡・山口の4地域では、注意報発令レベルを超える濃度の記録が目立ち、令和5年には光化学オキシダント注意報が17都府県で発令され、延べ45日間に及びました。これは令和4年の12都府県・41日間と比べて発令日数が増加しており、地域住民の健康リスクや産業活動への影響も懸念されます。加えて、光化学オキシダントによるとみられる被害の届出も2人に上り、注意喚起の徹底が求められます。
その他の物質については、全体として環境基準を満たす良好な状況が維持されています。たとえば、二酸化窒素(NO₂)、浮遊粒子状物質(SPM)、一酸化炭素(CO)については、全測定局で基準をクリアしました。二酸化硫黄(SO₂)に関しては、一般局での達成率が99.8%とわずかに下回りましたが、これは特定の局で火山噴火の影響を受けたためであり、異常値として考慮されます。
一方、有害大気汚染物質の測定結果では、環境基準が設定されている4物質すべてが全地点で基準を満たしていたことが確認されました。また、指針値が設定されている11物質のうち、8物質では全地点での達成が確認されましたが、1,2-ジクロロエタンについては固定発生源の周辺2地点で、ヒ素およびその化合物は同様の4地点で、ニッケル化合物は一般環境の1地点で、それぞれ指針値を超えていました。これらは一部地域における局地的な排出状況の影響と考えられ、今後の重点的な監視と排出抑制が求められます。
なお、環境基準や指針値が設定されていないその他の6物質については、経年的に見てほぼ横ばいか低下傾向にあるとされ、全体としては長期的な改善が進んでいることが確認できます。環境基準および指針値は、いずれも人の健康を保護し、生活環境の維持に寄与することを目的として定められており、その評価方法も科学的に精緻化されています。たとえば、PM2.5の場合は長期平均値および年間98パーセンタイル値の両面から評価が行われ、より確実に健康リスクを低減するための基準運用がなされています。
環境行政の一環として行われているこの常時監視は、産業活動や都市生活の拡大といった社会の発展と並行して、大気環境の持続的な健全性を守る上で欠かせない取り組みです。とくに企業にとっては、自社の操業が地域の大気環境に与える影響についての理解を深めると同時に、CSRやESGの観点からも排出抑制への責任が問われます。大気環境の健全性が損なわれれば、労働環境の悪化や地域住民からの信頼低下につながるおそれがあり、安定した事業運営の前提としてもクリーンな環境の維持は不可欠です。
今後の課題は、光化学オキシダントのように対応が難しい物質への対策強化と、有害大気汚染物質の局地的な濃度超過への重点的なアプローチです。これらの対策には、排出源の特定と制御技術の高度化、ならびに地域住民や事業者との連携による監視体制の強化が求められます。特にICTやIoT技術を活用したリアルタイムモニタリングの導入は、早期警戒と迅速対応の面で大きな効果を発揮することが期待されます。
⇒ 詳しくは環境省のWEBサイトへ