2025年4月27日
労務・人事ニュース
児童扶養手当の支給対象者が82万人超、うち離婚母子家庭が約65万人で最多(福祉行政報告例 令和7年1月分概数)
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最終更新: 2025年4月30日 22:32
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福祉行政報告例(令和7年1月分概数)(厚労省)
令和7年1月における「障害児福祉手当等」「特別児童扶養手当」「児童扶養手当」など、子どもや障害者を支援する福祉給付の最新状況が明らかになりました。これらの給付に関する受給者数や対象児童数の推移を詳細に分析することで、少子化や高齢化、ひとり親世帯の増加といった社会構造の変化が浮き彫りとなると同時に、企業の採用担当者にとっては人材確保や福利厚生設計において非常に重要な示唆を含んでいることがわかります。
まず「障害児福祉手当」については、令和5年2月時点で62,885人だった受給者が、令和7年1月には63,813人へと増加しています。同様に「特別障害者手当」は132,171人から135,934人へと、約3,700人の増加が見られました。これは高齢化の進行に伴って、在宅で重度の障害を抱える人々が増えていることを示唆しており、今後の社会保障負担の増加を予測させます。また、「福祉手当(経過措置分)」は減少傾向にあり、令和5年2月の2,108人から令和7年1月には1,685人へと約400人近く減少しています。これは制度の整理・統合が進んでいる証拠でもあります。
「特別児童扶養手当」に関しては、障害を持つ子どもを育てる世帯への支援であり、その支給対象者数は令和7年1月時点で273,130人となっており、前年同月の261,454人から約11,600人の増加が確認されました。障害区分別では、精神障害による受給者数が256,781人と圧倒的に多く、身体障害によるものは43,340人、重複障害によるものはわずか3,607人にとどまっています。特筆すべきは精神障害を対象とする割合が約94%と極めて高く、発達障害や知的障害を持つ子どもの増加傾向が浮き彫りとなっています。
次に「児童扶養手当」ですが、こちらは離婚、死別、未婚などによりひとり親家庭となった世帯を対象とした給付であり、令和7年1月の受給者数は829,309人にのぼっています。このうち、離婚による母子家庭が650,742人と全体の78%近くを占めており、未婚の母は4,310人、DV保護命令が出されている世帯は761世帯と、家庭の多様化が進んでいる様子が伺えます。なお、父子家庭は30,493世帯で、そのうち死別が34,497人、離婚によるものが1,643人となっています。母子家庭と比べると父子世帯の支援割合が低く、今後の政策的課題となる可能性があります。
児童扶養手当の給付内容に関しても注目すべきです。支給類型では「全部支給」が488,594人、「一部支給」が340,715人となっており、支給対象児童数は494,853人とされました。特に、1人の児童を育てる世帯が246,334人、2人が70,136人、3人が14,159人、4人が2,932人、5人が895人と、子どもの人数が増えるほど該当世帯数は急激に減少しています。これは多子世帯がいかに少数派であるかを示しており、少子化の根底にある経済的負担感を反映していると言えるでしょう。
一方で、受給資格の変動にも注目する必要があります。令和7年1月の新規認定者数は6,487人、資格喪失者数は4,359人、月末現在の総受給者数は829,309人と、安定的に高い水準を維持していることがわかります。このような安定した受給状況は、家庭環境の改善が進んでいない現実を裏付けており、採用担当者が配慮すべき労働者の生活背景を示しています。
加えて、中国残留邦人等支援給付に関するデータも注目に値します。被支援世帯数は令和7年1月で3,171世帯、支援実人員は4,315人、うち現に支援給付を受けた人員は3,872人でした。配偶者支援金の受給者数は18人と、決して大きな数ではないものの、国際的・歴史的事情により継続的な支援が必要な対象層であることに変わりはなく、企業におけるダイバーシティ施策の観点からも注目すべき領域といえます。
このように各種福祉手当の給付状況を見ると、子どもや障害者を含む家庭が社会保障に大きく依存している現状が浮かび上がります。採用担当者としては、家庭の事情によって柔軟な勤務形態や支援制度を必要とする人材が増加していることを踏まえ、福利厚生や労働時間、在宅勤務制度などを含めた包括的な人材支援体制の構築が求められます。また、障害やひとり親といった属性に対する正しい理解と職場内での配慮も、今後の人材活用には欠かせない要素となっていくでしょう。
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ