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2025年6月6日

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全国で建設資材価格が横ばい、需給均衡も一部地域で調整進む実態(令和7年5月1~5日現在)

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5月の主要建設資材の需給動向は全ての調査対象資材において均衡 ~主要建設資材需給・価格動向調査(令和7年5月1~5日現在)の結果~(国交省)

令和7年5月1日から5日にかけて国土交通省が実施した主要建設資材の需給・価格動向調査の結果は、建設業界における資材調達の現状と今後の見通しを示す重要な資料として注目されています。今回の調査では、生コンクリート、セメント、骨材(砂・砂利・砕石)、アスファルト合材、異形棒鋼、H形鋼、木材(製材・型枠用合板)、石油といった7資材13品目を対象とし、それぞれの価格、需給、在庫の動向が詳細に分析されています。

全国平均における資材価格の動向を見ると、生コンクリートは前回より0.42ポイント減少し「やや上昇」から「横ばい」寄りの水準へと変化しました。これに対して、セメントは全国平均で3.44となり、前回の3.86から0.42ポイントの減少が見られ、価格上昇圧力がやや後退していることがうかがえます。その他の資材については、ほとんどが「横ばい」もしくは「やや上昇」の範囲に収まっており、大きな価格変動は見られませんでした。

需給動向については、すべての資材が「均衡」または「やや緩和」の範囲内にとどまり、逼迫感は見られませんでした。特にセメントやアスファルト合材、骨材などは、複数の都道府県で「やや緩和」との評価がされており、需給バランスが一定の安定を保っていると判断されます。在庫状況も全ての資材で「普通」と評価されており、需給と在庫の面から見た資材供給の安定性がうかがえる結果となりました。

一方、地域別に見ると、価格の動きにはバラツキが見られます。たとえば、石川県では生コンクリートの価格動向が前回の4.0から今回5.0に上昇し、全国で唯一「上昇」評価となりました。東京都では生コン価格が4.6から3.6へと1.0ポイント低下し、需給動向は3.2から3.4に上昇しました。これは価格の落ち着きと供給体制の安定が並行して進んでいることを示していると考えられます。

特筆すべきは、被災3県(岩手、宮城、福島)における資材価格の下落傾向です。セメント価格は前回の4.22から3.57へと0.65ポイント減少し、需給も2.56から2.40に下がりました。これは復興工事の進捗とともに資材需要の一時的な減少があった可能性があり、今後の工事進行とともに再度の需給逼迫が予想される場面もあるため、注意が必要です。

また、骨材についても全国的に価格がやや落ち着く傾向が見られ、特に砂利と砕石では全国平均で0.29ポイントから0.36ポイント程度の価格低下が観察されました。需給に関してはほぼ均衡が保たれていますが、秋田県、千葉県、徳島県など一部地域では一時的に価格が急落する兆しもあり、地域ごとの需給バランスへのきめ細かな対応が必要となります。

今回の調査結果を踏まえると、企業の採用担当者や資材調達担当者にとっては、今後の調達戦略を再検討する重要な契機となります。価格が一時的に緩和している今こそ、将来の建設需要拡大に備えて安定的な供給網を構築する絶好のタイミングと言えるでしょう。加えて、地域ごとの価格動向を綿密に把握することで、建設現場のコスト管理や入札戦略にも有効に活用できると考えられます。

今後3か月先の価格見通しについても調査されており、大半の資材で「横ばい」もしくは「やや上昇」との予測が出ているため、今のうちにコスト抑制施策を講じることが望ましいと言えます。また、資材の需給が「均衡」から「やや緩和」に進むという見通しは、一見すると安定の兆しではあるものの、急激な発注増や外的要因(災害、海外資材の需給変化など)により容易にバランスが崩れるリスクを孕んでいます。従って、予算策定やスケジューリングの段階から、需給リスクを織り込んだ計画立案が必要不可欠です。

さらに、人材採用においてもこうした資材供給の安定性や建設コストの変動性を意識することは重要です。特に地方拠点での建設業務では、資材調達が遅れれば工事の遅延が避けられず、これが労働環境の悪化や人材離れの一因となりかねません。したがって、地域ごとの資材動向に応じた柔軟な人員配置や、働きやすい環境整備に資する調整力が、今後の企業競争力を左右する鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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