2025年8月24日
労務・人事ニュース
全国で22,354件の賃金不払が発覚、厚労省が令和6年の監督指導結果を公表
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賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和6年)を公表します(厚労省)
この記事の概要
厚生労働省は、令和6年に全国の労働基準監督署が実施した賃金不払に関する監督指導の結果を公表しました。監督件数は2万2,354件に達し、対象となった労働者は18万人以上、未払い金額は172億円を超えています。そのうち96%以上の案件で使用者による支払いが行われましたが、約4%に相当する859件では未だ支払われていない実態が明らかになっています。
厚生労働省が令和6年に実施した賃金不払に関する監督指導の実績が明らかになりました。これは、全国の労働基準監督署による立入調査などを通じて集計されたもので、企業における労働環境の健全化を目指した取り組みの一環です。発表によると、令和6年中に賃金不払が疑われた事業場に対して実施された監督指導は全国で合計22,354件となり、前年度から1,005件増加しました。この対象となった労働者は185,197人にのぼり、前年より3,294人多い結果となっています。未払い賃金の合計金額は172億1,113万円で、前年よりも70億円以上増加し、深刻さが浮き彫りになりました。
このような状況の中で、労働基準監督署の指導により企業側が実際に賃金を支払い、問題が解決されたケースは全体の96.2%にあたる21,495件でした。対象労働者数にして181,177人、支払われた金額は162億732万円にのぼっています。これは非常に高い是正率である一方で、倒産や事業主の行方不明により未払いが継続しているケースも依然として存在し、これらは合計で859件、対象労働者は4,020人、未払い金額は10億円を超えています。
業種別にみると、最も多くの件数が報告されたのは商業関連で4,494件、次いで製造業の4,297件、保健衛生業が3,416件でした。未払い金額が最も多かったのは運輸交通業で、70億2,000万円に達しています。このように、特定の業種に賃金不払の傾向が集中していることも確認されました。
また、監督指導によって明らかになった事例も公表されています。ある社会福祉施設では、1か月あたり80時間を超える時間外労働が疑われた結果、労働基準法に違反する形で割増賃金の計算が行われていないことが発覚しました。タイムカードで正確に出退勤時刻が管理されていたにもかかわらず、時間外労働の申告が自己申告制に委ねられており、その結果、実際よりも少ない労働時間が記録されていたケースが複数認められました。このような不正に対しては、割増賃金の再計算と差額の支払い、さらには労働時間の適正な把握に関する具体的な改善策の実施が指導されています。
別の倉庫業の事業場でも、始業前の清掃作業に対する賃金が支払われていないことが問題視されました。調査によって、就業前に業務命令として清掃が行われていたにもかかわらず、その分の労働時間がICカードの打刻後に記録されるなど、労働時間として扱われていない実態が判明しました。これに対しても、時間外労働に該当する清掃時間に対して賃金の支払いが必要であると指導され、適正な記録と労働時間管理の強化が求められました。
さらに、令和6年には2件の重大な賃金不払事案について、書類送検が行われました。一つは社会福祉施設で60人の労働者に対して総額2,550万円の定期賃金が所定の支払日に支払われなかった事例で、労働基準法および最低賃金法違反に該当する可能性が高いとされています。もう一つのケースでは、9人の労働者に対する時間外割増賃金の一部が支払われず、さらに使用者が虚偽の報告を行っていたことが発覚しました。これらのケースは、悪質な労働法違反として刑事手続に移行されたものです。
厚生労働省では、今後も引き続き賃金不払に関する監督指導を強化し、法令遵守の徹底を図るとともに、未払賃金立替払制度を活用して、倒産などで解決が困難なケースへの迅速かつ適切な対応を進めていく方針です。企業にとっては、労働時間の正確な記録や適正な賃金の支払いが信頼構築とリスク回避の観点からも極めて重要であり、採用活動における信頼性確保にもつながると言えるでしょう。
この記事の要点
- 令和6年に全国で22,354件の賃金不払案件が報告された
- 対象労働者数は18万5,197人、未払い金額は172億円を超えた
- うち96%に相当する案件で賃金支払いが実現された
- 倒産や所在不明による未払い件数は約4%にとどまる
- 運輸交通業での未払い金額が最も多く、70億円を超えた
- 重大な賃金不払案件では2件が書類送検されている
- 労働時間管理や適正な賃金計算の不備が複数の事例で発覚
- 労働時間の把握と割増賃金の支払いが企業の信頼性に直結する
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ