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2025年6月6日

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全国の平均給与74万円超、事業所規模30人以上で見える給与格差の実態(令和6年12月分結果概要)

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毎月勤労統計調査地方調査 令和6年12月分結果概要 事業所規模30人以上 調査産業計(厚労省)

令和6年12月に実施された毎月勤労統計調査によると、事業所規模30人以上の企業における雇用と賃金の実態は、労働時間や給与構造の両面から重要な傾向を示しています。全国の常用労働者数は3,118万人で、これは全国の労働市場における中規模以上の企業の占める影響力の大きさを改めて浮き彫りにしています。加えて、1か月あたりの総実労働時間は142.2時間となり、そのうち所定内労働時間が130.5時間、所定外労働時間が11.7時間となっています。これは、規模の大きい事業所においてもなお残業が一定の割合で発生している現状を示しており、働き方改革が浸透しつつも道半ばであることがうかがえます。

全国平均の出勤日数は17.9日で、これも年末という季節的要因を反映した数値であると考えられます。賃金に関しては、全国の現金給与総額が741,317円となっており、30人未満の小規模事業所を含む全国平均(約61万円)と比べて約13万円高い水準です。これは大規模事業所の方が全体的に給与水準が高く、また賞与や特別給与の額も大きくなる傾向を反映しています。具体的には、きまって支給する給与が319,913円、所定内給与が294,316円、特別給与が421,404円となっており、賞与を含む一時金の構成比が非常に高く、企業の経営状況や業績連動の報酬体制が賃金全体に大きな影響を及ぼしていることが分かります。

地域別に見た場合、北海道では常用労働者が100万3,500人で、全国平均に近い141.7時間の総実労働時間を記録しています。賃金水準では現金給与総額が604,289円と全国平均をやや下回っていますが、特別給与が327,561円と比較的高額で、地域における一時金依存の傾向が読み取れます。所定内労働時間は131.1時間、所定外労働時間は10.6時間となっており、全国と同様の労働時間構成です。

青森県では、総実労働時間が149.9時間と全国で最も高い水準を記録しており、これは業種構成や地域特有の労働慣行が影響している可能性があります。労働者数は21万人程度ですが、所定外労働時間が11.1時間と全国平均並みで、全体として労働密度の高い職場環境が想定されます。現金給与総額は499,083円で、全国平均を大きく下回っています。所定内給与は235,444円、特別給与は245,570円と、基本給と一時金のバランスが比較的均等であることが確認できます。

岩手県でも同様に、労働者数は23万4,600人で、総実労働時間は144.8時間、所定内が134.4時間、所定外が10.4時間と安定しています。給与水準では、現金給与総額が587,782円となっており、特別給与が322,618円と大きな割合を占めています。これは企業による賞与支給の厚さを反映したものであり、働き手のモチベーション維持にも大きく関与する要素です。

このように、規模の大きい事業所における労働環境は、給与水準や労働時間の面で全国平均を上回る傾向が見られますが、地域による差異も依然として大きく、企業の採用戦略や労働条件の設計においてはこうした実態を正確に把握することが重要です。特に、給与構成に占める特別給与の割合が大きい場合、求職者側から見れば収入が不安定に映ることもあるため、評価制度や支給基準の透明性を高めることで信頼を得ることが必要です。

また、労働時間の平均が月140時間台で推移しているという現状は、長時間労働の是正が一定程度進んでいることを示す一方で、所定外労働が未だに10時間を超えているという事実も、働き方改革が企業文化にどこまで根付いているかを測るうえでの一つの指標となります。企業がこうした労働時間データを人事戦略に活用することで、採用活動における訴求力の強化や、社内の就業環境の改善に役立てることができるのです。

加えて、各地域の給与水準や出勤日数、所定内給与などの詳細なデータは、エリア別の人材確保や拠点展開の検討にも有効です。例えば、青森のように労働時間が長いにもかかわらず給与水準が低い地域では、給与の上積みや待遇改善が採用活動における大きな武器になるでしょう。逆に、特別給与の割合が高い地域では、基本給の引き上げや報酬制度の再構築が安定雇用のカギを握る可能性があります。

この調査結果を通じて明らかになったのは、企業の規模が大きくなるにつれて賃金水準が上昇し、労働時間もやや増加する傾向にあるという点です。しかし一方で、各地域における労働者の就業実態や賃金構成は大きく異なり、全国一律の対応ではなく、柔軟かつ戦略的な人材マネジメントが必要であることを改めて認識させられます。これらのデータを参考に、企業はより的確な採用施策を講じるとともに、労働者の満足度向上と定着率向上を図ることが求められます。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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