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2025年8月9日

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全国の建設業で労働者不足が1.1%に拡大、東北は1か月で過剰から不足へ急転

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建設労働需給調査結果(令和7年6月分調査)について(国交省)

令和7年6月に実施された建設労働需給調査の結果が、令和7年7月25日に公表されました。この調査は全国の建設現場における労働力の過不足状況を把握するため、8職種を対象に月ごとに実施されているもので、今回は6月10日から20日の間の平日1日を調査対象日としています。人材確保が困難な現場が増加している中、今月の結果は建設業界の人手不足に拍車をかける内容となりました。

全国における8職種の過不足率は、6月には1.1%の不足と報告され、前月の0.5%から0.6ポイント不足幅が拡大しました。前年同月の1.0%の不足と比較しても0.1ポイント上昇しており、依然として労働者の確保が課題であることを浮き彫りにしています。特に注目すべきは、安定していた東北地域においても、6月には0.8%の不足を記録した点です。前月には0.8%の過剰とされていたことから、わずか1か月で需給バランスが急変したことになります。前年の同月には1.7%の不足だったことを踏まえると、0.9ポイント改善されたことになりますが、再び不足傾向に転じた点は油断できません。

今回の調査対象となった8職種には、型枠工、鉄筋工、鳶工、電工などが含まれており、いずれも建設現場に欠かせない技能職です。こうした職種は高齢化が進む一方で若手の入職者が少ない現状にあり、構造的な人手不足が深刻化しつつあります。全国での「普通」という今後の労働力見通しには、一時的な落ち着きを示唆する側面もあるものの、現場の声としては慢性的な人材不足が継続しているとの認識が強いのが実情です。

国土交通省では、こうした需給の逼迫状況を背景に、働き方改革や技能実習制度の見直し、外国人材の活用に関する議論を進めており、若年層への建設業の魅力発信も一層強化しています。また、デジタル技術の導入による省人化や業務効率化といった建設現場のスマート化も重要な課題として位置付けられています。

企業の採用担当者にとっても、今回の調査結果は他人事ではありません。とりわけ現場での即戦力となる中堅技術者や熟練作業員の確保は、今後の事業継続に直結するテーマであり、地域ごとの需給状況の変化に常にアンテナを張っておく必要があります。また、地域間での需給ギャップを補う人材配置戦略や、研修制度を活用した育成方針の再設計が求められる場面も増えてくると予想されます。

建設業界全体が抱える人材課題の一端を明らかにする今回の調査結果は、単なる数値の報告にとどまらず、現場の持続可能性を問う警鐘でもあります。労働者の定着を図るための労働環境の改善や待遇の見直し、魅力あるキャリアパスの提示など、企業努力もまた喫緊の課題と言えるでしょう。

⇒ 詳しくは国土交通省のWEBサイトへ

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