2025年9月2日
労務・人事ニュース
全国の製造業は常用労働者7625.3千人、総実労働時間155.6時間、現金給与331,919円 令和7年2月 事業所規模5人以上 製造業
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最終更新: 2025年9月2日 01:04
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毎月勤労統計調査地方調査 令和7年2月分結果概要 事業所規模5人以上 製造業(厚労省)
この記事の概要
令和7年2月時点の製造業(事業所規模5人以上)について、常用労働者数、労働時間、残業、出勤日数、現金給与、特別給与まで全国と47都道府県の数値を精査しました。採用の意思決定に役立つよう、時給換算や地域差、相関分析を交えて、賃金水準と働き方の実態をわかりやすく整理します。
令和7年2月の製造業データを基に、賃金と働き方の実像を丁寧に読み解きます。対象は事業所規模5人以上の製造業で、全国計に加えて各都道府県の数値が揃っています。常用労働者数、総実労働時間、所定内・所定外(残業)労働時間、出勤日数、現金給与総額、きまって支給する給与、所定内給与、特別給与という指標を同一月次で比較できるため、地域ごとの雇用・報酬の違いを具体的に把握できます。採用担当者が知りたいのは、どの地域で人材プールが厚く、どの地域で賃金競争が激しく、どの地域で残業が多いのかという点です。本稿はその判断材料を、数字ベースでお届けします。
全国計を見ると、常用労働者数は7625.3千人、総実労働時間は155.6時間、その内訳は所定内141.9時間と所定外13.7時間で、出勤日数は18.7日でした。現金給与総額は331,919円、うち毎月のベースとなる「きまって支給する給与」が328,226円、所定内給与が296,734円、季節要因を含む特別給与は3,693円にとどまっています。現金給与総額を総実労働時間で割った時給換算は全国で約2,133円となり、月間の構成としては特別給与比率が1.11%と低水準で、ボーナス期でない2月の特徴がはっきり表れています。全国平均の姿を起点に、都道府県ごとの差を見ていくと、人材獲得戦略のヒントが浮かび上がります。
まず賃金水準です。現金給与総額の最高は東京の401,462円で、次いで神奈川が393,647円、愛知が371,629円、大阪が350,492円、広島が348,616円と続きます。反対に低いのは沖縄の227,582円で、東京との差は173,880円、という大きな開きが確認されます。
労働力の厚みという観点では、常用労働者数の規模が有用です。最多は愛知の774.5千人で全国の約10.16%を占め、次いで大阪491.3千人、東京419.9千人、神奈川382.6千人、静岡376.3千人、埼玉361.9千人、兵庫333.9千人が続きます。上位3都府県(愛知・大阪・東京)だけで全国の約22.11%を占めるため、自動車・電機など製造集積の厚いエリアでは、採用母集団の形成が相対的に進めやすい一方で賃金競争も強まる傾向があります。逆に人材プールが小さい地域では、報酬以外の訴求軸――教育投資、柔軟な働き方、転居支援など――の設計が採用成果に直結します。
働き方の強度を示す労働時間の比較も重要です。総実労働時間が最も長いのは岐阜の163.8時間で、最も短い沖縄の143.5時間との差は20.3時間、比率で14.1%の開きでした。所定外労働時間(残業)は広島が17.4時間で最多、愛知が17.0時間、岐阜が16.2時間、岡山が16.0時間、三重が15.8時間と続きます。中央値は12.6時間で、広島や愛知は中央値を大きく上回る構図です。残業の総実に占める比率を見ると、広島が10.75%、愛知が10.67%、岡山が10.18%、栃木が10.07%と二桁に達する県がある一方、沖縄は5.85%、秋田は5.86%、徳島は6.13%、宮崎は6.53%と低位で推移しています。出勤日数の面では高知が20.0日で最多、神奈川は18.0日で最少という違いも見られ、所定内時間と出勤日数の組み合わせが総実労働時間の地域差を作っていることがわかります。業務設計上は、残業の依存度が高い地域では疲労管理や交代制の最適化が採用広報とセットで求められます。
報酬の内訳に目を移すと、特別給与の地域差が示唆的です。三重は特別給与が27,834円と突出しており、現金給与総額に占める比率も7.37%と群を抜きます。山形は11,385円、香川は10,349円、茨城は9,972円、広島は8,270円、佐賀は7,973円と、一定の特別支給が確認できました。対照的に鳥取は95円とごくわずかで、きまって支給する給与が現金給与総額の99.96%を占め、季節支給がほぼない構成です。全国平均では、きまって支給比率が98.88%、特別給与比率が1.12%で、2月の平常月らしい姿といえます。採用の報酬設計では、年2回の賞与で魅力付けを図る地域と、月例賃金を厚くする地域で、候補者の感じる「納得度」が異なる可能性があります。提示の際には月給・年収・想定時給を分かりやすく併記することで、ミスマッチを防げます。
具体の県名で働き方と賃金を重ねて見ると、広島は総実161.9時間、残業17.4時間、現金給与348,616円で、残業比率と支給額の双方が高いバランスです。愛知は残業17.0時間、現金給与371,629円、常用労働者数774.5千人という規模の大きさが特徴で、母集団と賃金の双方が高水準にあります。東京は総実150.0時間、残業11.3時間と時間面では抑制的であるのに、現金給与は401,462円と突出しており、時間当たりの付加価値が高い市場だと評価できます。沖縄は総実143.5時間、残業8.4時間、現金給与227,582円で、労働時間も支給額も低位にありますが、ワークライフバランスを重視する候補者には訴求余地があります。三重は現金給与377,803円に対して特別給与27,834円と賞与的な支給が厚く、年収レンジの説明が効きます。
採用の実務に落とし込むなら、まず報酬テーブルの現地化です。首都圏や東海の中核県では、時給換算2,300〜2,700円帯が一つの競争線になります。中四国・九州の一部では1,600〜2,000円帯が相場となるケースが多く、残業前提の年収設計は候補者の生活設計に直結するため、残業込み・除外の両パターンで提示準備を整えるべきです。次に工場立地・拠点戦略では、愛知・大阪・東京といった人材プールが厚い地域は採用速度を上げられる反面、定着コストが高くなりがちです。逆に鳥取や宮崎などでは賃金競争が相対的に穏やかな場面もあり、教育プログラムと移住支援を組み合わせることで、中期的な人材蓄積を図れます。最後に労務設計では、広島や愛知のように残業負荷が高めの県では、交替制の導入、繁閑連動の増員、技能多能化による平準化を採用広報と紐づけて伝えることが、オファー受諾率の改善につながります。
本稿は単月の集計に基づくため、季節性や生産変動の影響を受けます。特に特別給与は月間の偏りが大きく、年収見通しを示す際は複数月の平均や賞与規程を併記するのが望ましい姿です。対象は製造業に限定され、事業所規模5人以上である点も留意が必要です。とはいえ、ここで示した具体的な数値は、報酬の相場観や採用の優先地域、働き方の設計に即効性のある材料になります。数字を前提にした対話は、候補者の信頼を得る最短経路です。自社の強みを補強する形で、地域の実態に沿った採用戦略を組み立てていきましょう。
この記事の要点
- 全国の製造業は常用労働者7625.3千人、総実労働時間155.6時間、現金給与331,919円
- 東京の現金給与は401,462円で最高、沖縄は227,582円で最低、差は173,880円
- 残業は広島17.4時間で最多、沖縄8.4時間で最少、残業比率の平均は8.22%
- 総実労働時間は岐阜163.8時間で最高、沖縄143.5時間で最低
- 愛知の常用労働者数は774.5千人で全国の約10.16%、上位3都府県で約22.11%
⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ