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2025年4月22日

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全国のLPガス契約に影響、三部料金制徹底で令和7年4月2日から料金透明化が義務化

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LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました(経産省)

2025年4月2日より、LPガス業界における取引慣行の見直しとして、料金の表示および計上方法に関する新たなルールが正式に施行されました。今回の改正は「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則」の一部改正によるもので、これまで問題視されてきた不透明な費用計上や、ガスの消費とは無関係な機器類の費用をガス料金に上乗せする行為などを是正することを目的としています。この新制度の導入は、LPガスを利用する一般消費者の利益を守るための大きな一歩であり、エネルギー業界全体における信頼性の向上にも寄与するものです。

今回の改正の最大のポイントは、いわゆる「三部料金制」の徹底にあります。これは、LPガス料金を「基本料金」「従量料金」「設備料金」の三つに明確に分けて請求することを義務付けるもので、消費者が自身の支払っている費用の内訳を正確に把握できるようになることを意味します。さらに、エアコンやWi-Fi機器、インターホン、宅配ボックスといった、LPガスの消費とは無関係な設備にかかる費用をガス料金に含めることが禁止されました。これらの機器類は通常、賃貸物件のオーナーが設置し、家賃に含まれているべきものであり、LPガスの販売事業者が消費者に対して費用を請求するのは適切ではないとされています。

また、賃貸住宅において設置されるガス器具などの消費設備費用についても、LPガス料金に含めて請求することが禁じられています。これにより、入居者は家賃とガス料金を明確に区別することができるようになり、不必要な費用負担から解放されることになります。なお、このルールは本日以降に締結される新規のLPガス販売契約に適用される一方で、既存契約については外出し表示の義務のみが課され、設備費用の計上そのものは禁止されていません。ただし、政府は既存契約についても新制度に準拠した料金体系への早期移行を推奨しており、業界全体としての制度整備が期待されています。

このような制度改正の背景には、従来から指摘されていた三つの課題が存在します。第一に、LPガス販売事業者がオーナーや不動産会社に対して過大な営業を展開し、場合によっては紹介料や借地代などの形で利益供与を行っていたこと。第二に、本来家賃に含まれるべき設備費用や、LPガスと無関係な機器の費用をガス料金に上乗せすることで、消費者が不当に高額な料金を支払っていたこと。そして第三に、入居時点でLPガス料金の詳細が不明であり、消費者が事前にその負担を把握できなかったことです。これらの課題は、LPガス料金の不透明性と不信感の原因となっており、今回の法改正はそれらを是正するための措置となります。

経済産業省は、この新しいルールの円滑な導入とその実効性の確保を目指し、複数の関連施策を同時に展開しています。具体的には、2024年7月2日を施行日とする別の改正として、過大な営業行為の制限や、入居希望者への料金情報の事前提示の義務化といった制度も進められています。これにより、LPガスの取引における公正性と透明性が一層強化されることが期待されます。

また、消費者からの信頼を得るために、LPガス事業者には高い説明責任が課せられるようになりました。たとえ設備料金が「該当なし」や「0円」と表示されていたとしても、事業者はその根拠を明確に説明できる体制を整えておく必要があります。特に賃貸集合住宅などでオーナーに対し無償で設備を貸与している場合には、消費者がその費用を実質的に負担していると見なされることもあるため、透明な会計処理が求められます。

さらに、違反行為に対しては厳正な対応が取られることも明記されており、国や自治体が連携して監視・モニタリング体制を構築し、通報フォームの活用や市場調査を通じて実態把握が進められます。消費者庁、公正取引委員会、国土交通省といった関係機関が連携し、事業者の適切な行動を後押しする体制が整備されています。

この制度改正は、単にLPガス業界にとっての技術的な変更ではなく、消費者保護を目的とした構造的な改革であり、事業者にとってもコンプライアンス経営へのシフトが求められる重要な転換点といえます。また、企業の採用担当者にとっても、福利厚生や社員向け住宅の整備においてLPガスを利用している場合には、新しい制度に即した契約内容の見直しや、社員が不当な費用を負担しないような配慮が求められるでしょう。加えて、サプライチェーン全体の透明性や、公正な取引慣行の確保といった観点からも、今回の法改正は重要な意味を持っています。

消費者との信頼関係を築き、健全な市場環境を維持するためには、事業者自身の自律的な取り組みが不可欠です。政府は今後も公開モニタリングや制度見直しを通じて、より実効性のある規制を整備していく方針であり、業界全体としてもこの動きを前向きに受け止める姿勢が問われています。LPガスが引き続き安心・安全で信頼できるエネルギーとして利用されるためにも、今回のルール改正が持つ意義は非常に大きく、今後の展開に注目が集まっています。

⇒ 詳しくは経済産業省のWEBサイトへ

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