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2025年5月31日

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出勤日数17.0日に微減、全産業で見られる勤務日数の安定性とその背景(毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果確報)

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毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果確報 第2表 月間実労働時間及び出勤日数(厚労省)

令和7年3月分の毎月勤労統計調査に基づく実労働時間および出勤日数の確報値が公表され、企業の人事戦略や働き方改革を検討する上で注目すべきデータが多数示されました。本調査は、事業所規模5人以上の産業を対象とし、全体的な労働時間の傾向、業種別の特徴、出勤日数の変化などが明らかにされています。これらの数値は、単なる業務管理の参考にとどまらず、企業における労務管理の質向上や働きやすい職場環境の整備に向けた示唆を与えるものです。

まず、全産業平均の総実労働時間は132.7時間となり、前年同月比では2.7%の減少となりました。この減少は、所定内労働時間が122.5時間(同2.6%減)、所定外労働時間が10.2時間(同2.8%減)と、それぞれ縮小していることに起因しています。つまり、残業時間を含めた全体の労働時間が短くなっており、働き方改革の浸透や業務効率化の進展が推測されます。一方で出勤日数は17.0日と、前年比で0.5日の減少にとどまり、勤務日数には大きな変化がないことがうかがえます。

業種別に見ると、最も総実労働時間が長かったのは「鉱業・採石業等」で164.7時間と高水準を記録し、前年比では8.2%の大幅増加でした。特に所定内労働時間が150.4時間(前年比10.9%増)と著しく増えており、これは稼働時間の増加や人手不足への対応といった背景が考えられます。ただし、所定外労働時間は14.3時間で、前年比では13.3%の減少となっており、過度な残業を抑える取り組みも進められている可能性があります。出勤日数は20.0日で、0.9日の増加が確認されており、この業種では年間稼働日数が増加していることが推測されます。

「建設業」では、総実労働時間が158.5時間で前年同月比2.0%の減少、所定内労働時間は144.3時間で2.5%減と、比較的大きな下落が見られました。一方で、所定外労働時間は14.2時間で前年比2.9%の増加となっており、業務量の波や緊急対応が所定外労働に影響を与えていることがうかがえます。出勤日数は19.4日で0.3日の減少でした。建設業は天候や納期に左右される業種であるため、時期によって労働時間が大きく変動する傾向がありますが、全体として労働時間の抑制が進められていると評価できます。

「製造業」では、総実労働時間が152.4時間とやや減少傾向にあり、前年比では2.5%の減少でした。所定内労働時間が138.7時間(同2.9%減)、所定外労働時間が13.7時間(同0.7%増)となっており、基本的な勤務時間の削減とともに、多少の残業が増加傾向にあることがわかります。出勤日数は18.3日で、前年と比較して0.5日の減少が見られました。製造業では生産性向上の取り組みが進められており、業務の効率化によって総労働時間が削減される傾向が強まっていると考えられます。

「電気・ガス業」では、総実労働時間が152.2時間で前年比0.9%の減少、所定内労働時間が134.7時間(同0.9%減)、所定外労働時間は17.5時間で1.1%の減少となりました。出勤日数は18.0日と、前年から0.2日の減少にとどまっています。この業種では高い技術力と定常的な業務遂行が求められるため、全体として安定した労働時間が維持されており、急激な変動がないのが特徴です。

「情報通信業」では、総実労働時間が154.6時間、所定内労働時間が137.7時間といずれも前年比で0.9%から1.0%の減少、所定外労働時間は16.9時間と前年比0.6%増加しました。出勤日数は18.0日で、前年から0.3日の減少となっています。この業種ではテレワークの導入や業務のデジタル化が進んでいることから、所定内の業務時間が削減される一方で、成果重視の文化から残業にあたる時間が一部増えている可能性があります。

これらのデータは、企業が働き方改革を進める中で、どのような労働時間の調整が行われているかを端的に示しています。労働時間の削減は従業員のワークライフバランス改善や健康保持に寄与する一方で、生産性や業務量とのバランスをどう取るかが課題となります。また、出勤日数に大きな変化が見られないことから、勤務体系の見直しや勤務時間帯の柔軟化といったより一層の取り組みが必要とされています。

企業の採用担当者にとって、こうした労働時間データは極めて重要な参考資料となります。なぜなら、労働時間が長すぎれば応募者からの敬遠材料となり、短すぎれば処遇の面で不満が生じやすくなるためです。業種ごとの労働時間の相場を把握することは、他社との競争においても戦略的な意味を持ちます。例えば、総実労働時間が業界平均よりも短いことをアピールすることで、働きやすい職場としての魅力を高めることができますし、逆に業務効率の向上によって時間を短縮している実績を強調することも有効です。

特に近年では、働き手が「時間」そのものに対して高い意識を持つようになっており、柔軟な働き方やリモートワークの可否、残業の有無などが転職の意思決定に直結しています。そのため、企業が労働時間の管理状況やその改善実績を具体的に示すことは、採用力を高めるうえで不可欠となっているのです。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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