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2025年8月11日

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高齢化時代の必須データ、日本人の主要死因と平均寿命の延伸効果を読み解く

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令和6年簡易生命表の概況 死因分析(厚労省)

この記事の要点

  • 日本人の死因として最も多いのは悪性新生物(がん)で、0歳時点で約40%が将来がん・心疾患・脳血管疾患で死亡すると推計されている
  • 男性は全世代で悪性新生物による死亡確率が最も高く、女性は年齢によって老衰が上回る
  • 老衰と肺炎の死亡確率は年々上昇傾向にあり、今後の高齢化社会での医療・介護負担が増す可能性がある
  • 主要死因を除去した場合の平均余命の延びは、0歳で男性5.90年、女性4.86年に達し、医療技術の進展が寿命に与える影響を示している
  • 採用戦略においては医療・介護・予防分野での専門人材の重要性がさらに増すと予測される

2024年に公表された日本の死亡統計から、死因別の傾向と平均余命への影響がより鮮明に示されています。このデータは、医療・介護分野に限らず、企業の人材戦略や新規事業の展望にも直結する重要な情報となっています。特に注目すべきは、「死因別死亡確率」と「特定死因を除去した場合の平均余命の延び」という2つの分析です。これらは、将来的な健康リスクと、それに対してどれほどの命が救える可能性があるのかという現実を具体的な数値で示しています。

まず、2024年の死因別死亡確率において、0歳の時点でどの死因で死亡する可能性が高いかという推計では、男性では悪性新生物、つまりがんによる死亡確率が最も高く、次いで心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎の順となっています。女性では老衰が最も高く、続いて悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎という順序です。年齢が上がるにつれて、がんの死亡確率はやや低下していく一方で、老衰の確率は高まっていき、特に90歳では老衰が死因の中心となる傾向が顕著です。興味深いのは、心疾患・脳血管疾患・肺炎の3つは全年齢を通じて割合が大きく変動しないという点で、これらは生涯にわたって注意すべき慢性的リスクだと位置付けられます。

このようなデータから見えてくるのは、日本人の死亡原因の多くが生活習慣や高齢化に起因するものであり、予防医療や健康管理が生涯にわたって必要であるという現実です。特に悪性新生物・心疾患・脳血管疾患という3大死因だけで、男女ともに0歳時点で40%以上がこれらによって死亡すると推定されていることからも、社会全体の健康リテラシーの向上が求められます。企業にとってもこれは他人事ではなく、従業員の健康管理は生産性や業績に直結するだけでなく、保険コストや福利厚生制度の設計にも大きく関わってくる重要課題となります。

さらに、死因を除去した場合の平均余命の延びについてのデータも非常に示唆に富んでいます。仮に悪性新生物・心疾患・脳血管疾患のいずれかにかからなかった場合、人はどれだけ長く生きられるのかという推計では、0歳児での延命効果は男性で5.90年、女性で4.86年と算出されています。これは、医療技術や生活習慣の改善によって、死亡要因を軽減することで寿命をさらに延ばすことができる可能性を示唆しており、健康産業への投資や取り組みの価値を裏付けるデータでもあります。65歳では男性4.79年、女性3.83年、75歳では男性3.57年、女性3.06年、90歳では男性1.42年、女性1.44年と、年齢が高くなるほど影響は小さくなるものの、すべての世代で延命効果が見込める結果となっています。

特筆すべきは、老衰の死亡確率が全体として上昇しており、これは今後の超高齢化社会において避けがたい現象であると同時に、介護や終末期医療に対する社会的備えが必要であることを意味します。企業にとっては、従業員の家族介護の負担が働き方や職場定着に影響を及ぼすリスクを内包しており、人事制度や福利厚生の設計においても高齢化を見据えた対応が必要です。

また、肺炎の死亡確率が上昇していることも見逃せないポイントです。これは感染症対策の必要性や高齢者における呼吸器ケアの重要性を示しており、今後の医療人材の需要の高まりを裏付ける要因ともなります。企業の採用活動においては、医療・看護・介護・公衆衛生といった分野の専門人材の確保が一層求められる時代に突入しています。

このような社会背景のなかで、企業が成長を続けていくためには、単なる売上や事業拡大にとどまらず、従業員とその家族の健康、そして長寿化に対応した職場づくりを重要な経営課題として捉える必要があります。特に健康寿命を延ばすことは、生産年齢人口の減少に伴う人手不足という構造的課題の解消にもつながり、企業の競争力維持に直結する取り組みです。

以上の統計は、過去の傾向だけでなく、今後の社会構造や市場ニーズを見据えた未来予測としても活用できます。採用担当者にとっては、どの分野に人材需要が集中していくのか、今後重視される専門性とは何かを読み解くうえで、非常に有効な資料となるはずです。特に医療・看護・介護・健康教育などの分野は、長寿社会の進行とともに人材確保がますます困難になっていくことが予想されており、今から先手を打つことが重要です。

企業の中長期的な人材戦略や経営計画において、こうした人口統計や死亡分析データは単なる統計にとどまらず、変化する社会と向き合うための羅針盤の役割を果たすものです。これからの時代、データに基づいた採用戦略こそが、持続可能な企業成長の鍵となるでしょう。

⇒ 詳しくは厚生労働省のWEBサイトへ

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