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2025年6月26日

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北陸地域のコンビニで客単価3〜5%増も利益確保が困難、採算構造見直しが急務(令和7年5月)

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景気ウォッチャー調査(令和7年5月調査)― 北陸(現状)―(内閣府)

令和7年5月に実施された景気ウォッチャー調査によれば、北陸地域の経済は、一部に回復の兆しが見られる一方で、多くの業種が物価高や需要の低迷、自然災害の影響といった課題に直面しており、企業活動や家計消費、雇用情勢が複雑に絡み合う状況にあることが明らかになっています。地域の企業や店舗の声を丁寧に拾い上げたこの調査結果は、現場感覚に基づいた実態を浮き彫りにし、特に採用活動を行う企業にとっては今後の人材戦略や経営方針を見直す重要な手がかりとなります。

家計関連の分野では、消費者の購買行動が多様化しつつも、物価上昇による節約志向が強く表れていました。コンビニでは来客数が前年並みであるにもかかわらず、客単価が3%から5%増加しているとの報告がありました。ただし、利益率の高い商品の購入が激減しており、売上金額はほぼ前年と同水準で推移していても、営業費の上昇と相まって店舗運営は厳しい状況にあります。スーパーにおいても米の価格高騰が続き、食品全般の買い控えが広がる傾向が見られました。仕入担当者によれば、価格高騰はやや落ち着いたものの、顧客の節約意識は依然として高いままであるとされ、生活必需品以外の購買は依然として抑制されているようです。

一方、商店街や百貨店では対照的な動きが見られました。ある商店街の代表者は、欧米からの観光客によるインバウンド需要の恩恵を受けて来客数が減少しなかったことを評価しているものの、日本人客の財布のひもは固く、ゴールデンウィーク期間の商戦は思うような成果が得られなかったと述べています。百貨店においては土曜日の増加による来店機会の増加もあって、催事売上が過去最高を記録するなど、一定の成果があったものの、全体としては低価格志向が強まり、5000円以内のギフト商品に需要が集中するなど、消費マインドの抑制が依然として続いている様子が見受けられます。

飲食業や観光業に目を向けると、都市型ホテルや旅館などでは観光需要の波が限定的にとどまり、ゴールデンウィーク中の集客は良好であったものの、その後の平日は来客数が減少し、稼働率も前年を下回っているという報告が多く寄せられました。外国人観光客の動きに期待がかかる一方で、他地域に観光需要が流れているとの分析も見られました。テーマパークでは北陸新幹線の延伸による効果が一定程度あったものの、今後は落ち着きつつあるとされ、観光資源の活用と地域への誘客戦略の再構築が急務であるといえます。

製造業や流通業の動向を見ると、輸出関連産業や原材料に依存する分野では依然として厳しい状況が続いています。特に繊維工業や電気機械器具製造業では、米国の関税政策による影響を見越した様子見の姿勢が広がり、受注や発注が抑制される傾向にあります。また、税理士からは原材料価格の高騰によって価格転嫁が困難となった企業の倒産や支払条件の変更を求める動きが広がっているとの指摘もあり、経営環境の不透明さが企業活動の足を引っ張っている状況が浮き彫りになりました。

建設業では一部に受注増の動きが見られるものの、建築資材の価格高騰と人手不足の影響から、購買意欲が十分に高まらず、商談数が増えても成約につながりにくいという状況に直面しています。不動産業でも動きが出てきているものの、消費者の慎重な姿勢が継続していることから、市場全体が大きく活性化するには至っていません。

雇用の分野では、有効求人倍率の低下傾向が顕著に見られ、前年同月比では求職者数は変わらないにもかかわらず、求人の確保が難しくなっていることが報告されました。職業安定所によると、関税の影響で受注が減少した製造業と、人手不足が続くサービス業で求職ニーズのバランスが取れず、マッチングの難しさが継続しているとされています。派遣業界でも同様の動きがみられ、派遣依頼数が減少する中で、紹介企業の人選が厳しくなっているため、求職者の登録数がやや増加した可能性があるとのことです。

これらの調査結果から、北陸地域ではインバウンド需要や催事を通じて一定の集客効果が得られている一方で、物価高や国際的な政策リスク、自然災害の影響が複雑に絡み合い、経済の先行きに対する不透明感が依然として強い状況であることが読み取れます。企業の採用担当者にとっては、こうした実情を正しく把握し、業界ごとの人材ニーズや働き方の多様化に対応した採用施策を構築することが求められます。特に物価上昇や利益圧迫が続く環境下では、待遇改善や職場環境の整備を通じた定着率向上策がますます重要になっていくでしょう。

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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