2025年6月13日
労務・人事ニュース
危険物火災事故267件、流出486件―人的要因55.1%の現実が示す管理人材の必要性(令和6年)
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最終更新: 2025年6月13日 20:38
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「令和6年中の危険物施設に係る事故の概要」の公表(総務省)
令和7年5月28日、消防庁から「令和6年中の危険物施設に係る事故の概要」が発表されました。この発表は、全国の危険物施設において発生した事故の実態を把握し、安全対策の強化を促す目的で行われたものです。対象となる期間は令和6年1月1日から12月31日までの1年間で、この間に発生した火災事故や流出事故の件数、原因、被害の程度などが詳細に報告されています。
まず、火災事故の発生件数は全国で267件に上り、前年の243件から増加しています。このうち、死者の発生や事業所外への物的被害、もしくは鎮圧まで4時間以上を要した重大事故と定義されるケースは11件にのぼりました。内訳を見ると、4時間以上かかった火災事故が7件、事業所外に物的被害をもたらした事故が3件、そして死者が発生した事故が1件となっており、事故の深刻さを物語っています。
また、火災による負傷者は50人で、前年の29人から大きく増加している点も見逃せません。火災事故の原因として最も多かったのは「維持管理不十分」で52件、全体の19.5%を占めています。次いで「操作確認不十分」が46件(17.2%)、「腐食疲労等劣化」が33件(12.4%)と続きました。これらはすべて、人的要因や設備の経年劣化によるものであり、日常的な保守点検と従業員の安全教育が重要であることを示唆しています。
一方で、流出事故に関しては、合計486件が報告されており、前年の468件からも増加傾向にあります。重大事故に分類されるものは12件で、そのうち11件が事業所外へ一定量以上の危険物が広範囲に流出した事故であり、1件は死者が出た事故です。流出事故の被害者としては死者が1人、負傷者が40人であり、こちらも前年の11人と比較して大きく増加しています。
流出事故の原因で最も多かったのは「腐食疲労等劣化」で165件、全体の34.0%を占めました。これは施設や配管の経年劣化、保護材の劣化、定期点検の不備などが影響していると考えられます。次いで「操作確認不十分」が60件(12.3%)、「維持管理不十分」が43件(8.8%)という結果でした。これらの数値からもわかるように、日常の管理や教育が適切でなければ、思わぬ大事故につながるリスクが非常に高いことが浮き彫りになっています。
危険物施設は消防法第11条第2項に基づいて許可を受けたもので、全国には令和6年3月31日時点で379,120施設が存在します。これらの施設の安全性を確保するためには、最新の安全基準に基づいた設計と施工、さらに定期的な点検と従業員の教育訓練が不可欠です。実際、今回報告された火災事故267件のうち、人的要因による事故は全体の55.1%を占め、物的要因によるものが31.1%、その他の要因が6.4%、原因不明が6.4%、調査中が1.1%という割合になっています。
流出事故においても、物的要因が54.5%と半数を超えており、人的要因が40.7%、その他の要因が2.3%、不明と調査中を合わせて2.4%となっています。火災事故と比較しても、流出事故は設備や配管の老朽化といった物的なトラブルによって引き起こされる割合が高いことが分かります。特に腐食や疲労による劣化は、設備の寿命管理と定期的な更新の必要性を再確認させる要因です。
事故の経済的損失についても注目すべきデータが示されています。火災事故による総損害額は450,573万円で、1件あたりの平均損害額は約1,688万円に達しました。これに対して流出事故の損害額は42,422万円で、1件あたり約87万円と火災事故に比べるとやや低いものの、事故件数が多いためにトータルの被害額は依然として大きなものとなっています。
さらに、施設1万件あたりの火災・流出事故の発生率を見ても、令和6年は全体的に上昇傾向にあり、安全対策の強化が急務であることは明らかです。特に採用担当者や管理者にとって重要なのは、こうした事故を未然に防ぐための人材の確保と育成であり、専門知識を持った技術者や管理者の採用は企業のリスク管理に直結する課題です。
この報告は、危険物施設を管理・運営する企業にとって、単なる統計以上の意味を持ちます。事故が起きれば人的被害のみならず、社会的信頼の失墜、業務停止、そして莫大な経済的損失を招く可能性があるからです。とりわけ製造業やエネルギー業界など、多くの危険物を取り扱う業種においては、今回のデータを基にしたリスク評価と再発防止策の検討が求められます。
今後、企業が求められるのは、リスクマネジメント体制の一層の強化と、従業員に対する安全教育の充実です。業務手順の見直し、チェック体制の強化、設備の更新時期の適切な判断、そして何よりも、現場で働く人々が安全意識を常に持ち続ける企業文化の醸成が、事故の未然防止に直結します。
最後に、令和7年度の「危険物安全週間」では「危険物 無事故へ挑む ゴング鳴る」という標語が掲げられています。この標語には、全ての関係者が無事故に向けて意識を新たにし、安全対策に真摯に取り組んでいくべきという強いメッセージが込められています。危険物を扱う現場においては、日々の小さな注意と積み重ねが大事故を防ぐ鍵となるのです。
⇒ 詳しくは総務省のWEBサイトへ