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2025年8月13日

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名目GDP600兆円突破!2024年度日本経済が回復基調

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令和7年度経済財政白書 第1章 日本経済の動向と課題 第1節 2025年半ばまでの経済の動向(内閣府)


この記事の概要

2024年度の日本経済は、名目GDPが初めて600兆円を突破するなど、緩やかな回復基調を維持しています。賃金上昇や民間需要の底堅さがその背景にある一方、個人消費の弱さや米国の関税政策など不確実性も指摘されています。本記事では、最新の経済財政報告に基づき、景気回復の実態と今後の課題について詳しく解説します。


2024年度の日本経済は、名目GDPが初めて年間ベースで600兆円を超え、過去に例を見ない明るい兆しを見せています。この成果は、33年ぶりともいえる高水準の賃金上昇や、春季労使交渉における賃上げ率の上振れなど、雇用と所得環境の改善によって支えられてきました。特に個人消費と設備投資が民間需要を牽引し、国内民間最終需要も2024年4~6月期から2025年1~3月期まで4四半期連続で増加するなど、内需の堅調さが際立ちました。

とはいえ、消費者心理には依然として慎重さが見られます。物価上昇、特に食品や日用品の値上げが続く中、実質所得の伸びが追いつかず、個人消費には力強さが欠けています。この背景には、コロナ禍からの回復局面において、外需ではなく内需、とりわけサービス分野を中心とする景気回復という構造的な変化があります。2020年5月を底とする今回の景気回復は、2025年6月時点で61か月を数え、戦後3番目の長さとなりましたが、その原動力は対面型サービスの回復でした。これまでのように製造業と財輸出が主導する回復ではなく、市場サービス業がGDP成長をけん引するという新たな形となっています。

こうした中、2025年に入りアメリカの関税政策が日本経済に影を落としています。特に鉄鋼・アルミニウム製品、自動車、そして自動車部品に対して最大50%の追加関税が発動されたことで、輸出に関わる産業ではコスト構造に大きな変化が生じました。日本の米国向け輸出のうち、自動車・自動車部品は約38%、鉄鋼・アルミニウム製品は約6%を占めており、これらへの関税引き上げは企業収益の減少を招く懸念が強まっています。

実際、2025年4月以降、米国向け乗用車の輸出価格は約2割下落しており、これは価格転嫁を控えた日本企業が自ら関税コストを吸収していることの表れです。貿易統計からも、輸出台数には大きな変化がないものの、輸出金額は前年同月比で11%、乗用車に限れば25%もの減少が確認されました。背景には、日本の自動車メーカーが米国市場における競争力を維持するため、より安価な車種へのシフトを進めている可能性も考えられます。

また、アジア市場では半導体製造装置などを中心に堅調な動きが見られ、中国向けの工作機械需要も補助金政策により一時的に回復傾向を示しました。EU向け輸出は横ばいで、建設機械や半導体製造装置は低調な動きが続いていますが、金利低下の影響により持ち直しの兆しもあります。

JETROによる企業アンケート調査によれば、米国の関税措置に対し「顧客への価格転嫁」を検討している企業は4割を超えており、次いで多かったのが「自社内でのコスト削減」でした。また、輸送用機械製造業では「米国での現地生産や調達の増加」を挙げる企業も多く、今後、日本からの輸出が減少し、現地化が進むことで構造的な変化が生じる可能性もあります。

一方、短期的には米国の関税措置が日本の輸出数量に大きな影響を与えていないとする見方もありますが、世界経済の先行き不透明感が企業の設備投資マインドを冷やす懸念は依然として残ります。例えば、グローバルな生産指数が1%下落した場合、日本の実質輸出には半年後に1.5%の減少影響があるとの分析もあります。こうした外需のリスクが高まる中、国内民間最終需要をいかに持続させるかが問われています。

また、物価と賃金の好循環を定着させることは重要な政策課題となっています。現在の物価上昇はサービス分野を中心に安定して続いていますが、これに見合う形で賃金が上昇しなければ、実質所得の伸びは鈍くなり、消費の停滞を招く恐れがあります。2025年度の春季交渉では前年を上回る賃上げ率が実現されましたが、これが一時的な動きに終わらず、持続可能な成長につながるかどうかが注目されます。

さらに、政府は賃金上昇と物価安定の両立を目指して、産業界に対して省力化投資やデジタル化への支援を続けています。特にサービス産業における生産性向上や、構造的な人手不足に対応するための投資促進が重要視されており、こうした動きは内需を安定的に支える鍵となるでしょう。

結論として、2024年度の日本経済は回復基調を維持しつつも、新たな構造的課題と外部リスクに直面しています。内需主導の景気回復というポジティブな側面を生かしながら、外的ショックへの耐性を高めるための政策対応と民間の自律的な投資・消費行動がこれまで以上に重要な局面を迎えています。

この記事の要点

  • 2024年度の名目GDPは初めて600兆円を超えた
  • 実質GDPは4年連続で増加し、民間最終需要も底堅い推移
  • 個人消費は物価上昇の影響で回復に力強さを欠く
  • 景気回復はサービス産業が主導し、製造業依存から転換
  • 2025年以降、米国の追加関税が輸出や収益に影響を与えている
  • 輸出価格の下落により、企業収益や国内需要への懸念が高まっている
  • 企業は価格転嫁や現地生産への移行など多様な対応を取っている
  • 国内民間需要をいかに持続させるかが経済成長の鍵となる

⇒ 詳しくは内閣府のWEBサイトへ

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