2025年5月16日
労務・人事ニュース
商工会議所LOBO調査で判明!業況DIマイナス18.5、企業に求められる人材戦略とは(2025年4月)
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放課後等デイサービスの保育士
最終更新: 2025年6月30日 00:32
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外資系保険業界でのITヘルプデスク業務/駅近/即日勤務可/賞与あり
最終更新: 2025年6月30日 10:08
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最終更新: 2025年6月29日 23:05
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「夜勤なし」/准看護師・正看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年6月29日 22:37
業況DIは、消費マインド低迷等が足かせでほぼ横ばい。先行きは、トランプ関税への懸念から慎重な見方(LOBO調査)
2025年4月に実施された商工会議所の早期景気観測調査(LOBO調査)によると、全産業の業況DIはマイナス18.5となり、前月比ではプラス0.7ポイントとわずかな改善を示しましたが、依然として中小企業の景況感は厳しい状態が続いています。これは、消費マインドの低迷やコスト増加、人手不足といった複合的な要因が背景にあり、景気の本格回復には至っていない状況を反映しています。
業種別に見ると、サービス業では歓送迎会需要や観光需要の回復によって、飲食店を中心に業況が改善しました。大型連休に向けた期待も一部にありましたが、連休の日並びが悪く、例年ほどの効果が見込めないとの声も多く聞かれました。製造業では、サービス業からの飲食料品関連の引き合い増加により改善の兆しが見られましたが、小売業では新年度需要があったものの、消費マインドの冷え込みによりほぼ横ばいにとどまりました。建設業においては資材価格や労務費の高騰に歯止めがかからず、受注環境の悪化により業況は悪化傾向となりました。卸売業も同様に、建設業からの引き合い減少やガソリン価格高騰の影響を受け、業況は悪化しています。
また、今回の調査では付帯調査として「コスト増加分の価格転嫁の動向」も行われました。調査結果によると、発注側企業との価格協議を行えている企業は76.4%に達し、前回調査から2.5ポイント増加しました。価格協議の実施割合は高水準となっているものの、実際に「4割以上の価格転嫁」を達成できた企業は52.7%にとどまり、価格協議と価格転嫁の間には依然として大きなギャップが存在することが明らかになりました。業種別では建設業や卸売業では6割以上が「4割以上の価格転嫁」を実現している一方で、小売業やサービス業では3割台にとどまり、価格転嫁が難しい状況が続いています。
さらに労務費増加分に限った価格転嫁の状況では、4割以上の転嫁を実現できた企業は36.4%に過ぎず、2024年10月調査から0.4ポイントの減少と、むしろやや後退する結果となりました。業種別で見ると建設業が比較的高水準である一方、小売業とサービス業では特に低い転嫁率に留まりました。従業員規模別では、10人未満の小規模企業が最も低水準であり、企業規模による対応力の違いが浮き彫りになっています。
先行き見通しについても慎重な見方が強く、トランプ関税への懸念が中小企業に不安をもたらしています。全産業の先行き見通しDIはマイナス19.8と、今月比で1.3ポイント悪化しました。特に製造業や建設業、小売業などでは、原材料や資材価格の高騰、人手不足に加え、米国との貿易摩擦の影響を懸念する声が増えています。新たな関税措置が発動されれば、日本経済全体への悪影響は避けられず、それに伴う設備投資意欲の減退や需要減少を危惧する企業が少なくありません。
地域別に見ると、北海道、東北、関東、北陸信越などの地域では業況が悪化し、特に東北ではコメなど物価の高騰による消費者の買い控えが深刻化しており、小売業と卸売業の売上が落ち込んでいます。これに対して関西では、大阪・関西万博効果によるインバウンド需要の拡大を受け、サービス業や小売業の業況が大きく改善するなど、地域間で明暗が分かれる結果となりました。
今回のLOBO調査は、コスト増加分の価格転嫁が進みにくい状況を改めて浮き彫りにしましたが、同時に価格協議を行った企業のうち66.0%が「4割以上の価格転嫁」を実現しているというデータもあり、積極的な協議姿勢が一定の成果をもたらしていることも明らかとなりました。今後は価格協議のさらなる促進と、それを裏付ける合理的な根拠資料の整備が不可欠となりそうです。
企業の採用担当者にとっては、これらの動向がもたらす影響を正確に読み解くことが重要です。人手不足が常態化する中、労働環境改善に向けた取り組みやコスト管理能力に優れた人材の確保が競争力を左右する要素となっています。さらに、コスト増加に伴う売価改定や労務費上昇に対応できる柔軟な経営感覚を持った人材を採用することが、企業の持続的成長に直結するでしょう。
⇒ 詳しくはLOBO調査のWEBサイトへ