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2025年4月9日

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図書館資料費が前年比30億円増の748億円に!令和6年度大学情報基盤調査の注目ポイント

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令和6年度「学術情報基盤実態調査」の結果報告について-大学における大学図書館及びコンピュータ・ネットワーク環境の現状について-(文科省)

令和6年度に文部科学省が実施した「学術情報基盤実態調査」の結果が公表され、日本全国の大学が抱える教育研究環境の実情が明らかとなりました。この調査は、国立・公立・私立の合計816大学を対象に、大学図書館や情報通信基盤、研究データの管理体制など、多岐にわたる分野において現状とその変化を記録しています。大学の教育研究活動を支えるインフラ整備の進展と課題を浮き彫りにする本調査結果は、大学経営層や採用担当者にとって、教育環境の整備状況を把握する重要な資料となるものです。

まず、大学図書館における資料費の動向について見ていくと、令和5年度の図書館資料費は全体で748億円となり、前年度より30億円増加しました。このうち紙媒体資料に充てられた費用は210億円で、前年より11億円減少しました。一方で、電子媒体への投資は加速しており、電子ジャーナルおよび電子書籍に充てられた費用は414億円に達し、36億円の増加を記録しました。これは紙から電子への情報収集手段のシフトが明確に進行していることを示しています。特に電子ジャーナルへの投資は大きく、390億円を費やしており、前年度比で10.2%の増加です。電子ジャーナルのタイトル数も増加傾向にあり、国外の出版社から購入されたタイトルは186万に達し、前年比で5万タイトル増加しました。さらに、アグリゲータなど国外の出版社以外の提供元からの購入数は466万タイトルにのぼり、こちらも14万タイトルの増加が見られました。

電子書籍に関しても、24億円の経費がかけられており、これは前年度とほぼ同額で推移しています。利用可能なタイトル数は全体で1,247万タイトルに増加し、90万タイトルの伸びが見られました。中でも、国内の出版社からの購入が顕著に増加しており、前年から40万タイトル増の184万タイトルとなり、28.1%の大幅増を記録しました。国外出版社からのタイトル数も50万増え、1,063万タイトルに到達しています。これらの結果から、大学図書館は急速に電子化を進めており、学生や研究者がよりアクセスしやすく、多様な情報に触れられる環境が整いつつあることが伺えます。

次に、研究成果の発信に関する方針の整備状況を見てみましょう。オープンアクセスポリシー、すなわち研究成果を一般に公開することを明文化した方針を策定している大学は、816校中215校で、全体の26.3%を占めました。これは前年より44大学の増加であり、研究の透明性や社会的貢献を意識する大学が増えていることを示しています。こうした動きは、企業側から見ても、研究成果の活用可能性が高まる点で重要です。

情報基盤の整備状況も注目すべき点です。学内LANを整備している大学のうち、10Gbps以上の高速回線を導入している大学は388校、全体の47.5%にのぼりました。外部との接続においても同様で、10Gbps以上の通信速度を持つ大学は365校と、44.8%を占めています。これらの数値は、先端的な研究や大容量データの活用が求められる現代において、情報インフラの高度化が着実に進んでいる証左といえるでしょう。

さらに、クラウド技術の導入も高水準にあります。学内の情報システムをクラウド化している大学は全体の96.2%に達し、その活用目的の多くが管理運営基盤であることが分かりました。758大学が電子メールやウェブサイトなどの運用にクラウドを活用しており、情報管理の効率化とセキュリティの向上が図られています。また、教育・学習基盤(eラーニングや遠隔講義など)としてクラウドを活用している大学も664校あり、教育の多様化と柔軟性の向上に寄与していると考えられます。

教育の基盤となる情報リテラシー教育の実施状況も、企業にとって注目すべきポイントです。情報リテラシー教育を実施している大学は792校で、全体の97.1%を占めています。そのうち、「情報セキュリティ」を全学生対象に取り上げている大学は581校、「倫理・マナー」は600校で、それぞれ73.4%、75.8%にのぼります。これは、デジタル社会における人材育成において、基本的な情報活用能力とともに倫理観やマナーを重視する教育方針が定着してきたことを意味します。

最後に、研究データポリシーの策定状況にも触れておく必要があります。これは、研究データの管理と利活用に関する大学の方針を示すもので、258大学が策定済みと回答しており、全体の31.6%にあたります。研究データのオープン化が進む中で、このような体制整備は研究の再現性や信頼性、さらには産学連携の促進においても重要な役割を果たします。

このように、令和6年度の調査結果からは、日本の大学が教育・研究活動を支えるインフラの整備と情報化を着実に進めていることが明確に読み取れます。企業の採用担当者にとっては、デジタル環境に対応した教育を受けた人材が着実に育成されつつあることを示す重要な指標であり、今後の人材確保の観点でも注目すべき情報となるでしょう。

⇒ 詳しくは文部科学省のWEBサイトへ

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