労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 国産ジビエ認証施設が全国40施設に到達、宮城県大崎市が東北初の認証取得

2025年5月7日

労務・人事ニュース

国産ジビエ認証施設が全国40施設に到達、宮城県大崎市が東北初の認証取得

Sponsored by 求人ボックス

国産ジビエ認証施設の第40号認証について(大崎市ジビエ食肉処理加工等施設)(農水省)

農林水産省は令和7年4月25日、宮城県大崎市に所在する「大崎市ジビエ食肉処理加工等施設」が国産ジビエ認証制度において第40号の認証施設に認定されたことを発表しました。運営を担うのは合同会社ジビエの郷おおさきであり、同施設は大崎市から指定管理者として任命されています。今回の認証は、農林水産省が推進してきた国産ジビエの衛生管理と流通促進に向けた取り組みの大きな成果のひとつであり、より一層の安全・安心なジビエ流通の実現に寄与するものとして注目されています。

国産ジビエ認証制度は平成30年5月18日に制定されました。この制度は、衛生管理基準とカットチャートに基づく流通規格の遵守、トレーサビリティを確保するための適切なラベル表示など、消費者が安心して国産ジビエを選べる環境を整えるために設けられたものです。農林水産省は、制度運用開始以来、食肉処理施設の適切な管理と運営を促すことで、国産ジビエの信頼性向上に努めてきました。今回、第40号として認証された「大崎市ジビエ食肉処理加工等施設」も、こうした基準をすべて満たしたことが認められた結果として認定に至りました。

同施設は、令和5年度に整備された公設民営型の施設であり、整備にあたっては鳥獣被害防止総合対策交付金が活用されました。所在地は宮城県大崎市で、代表者を務めるのは菊地雄大氏です。年間処理頭数は令和6年度に144頭を見込んでおり、取扱獣種はイノシシに特化しています。施設の運営には現在3名のスタッフが従事しており、道の駅や飲食店向けに精肉や加工品を出荷するほか、地域イベントでの販売活動も積極的に行っています。

この施設の大きな特徴は、廃校となった小学校を改修して処理加工施設として再生利用している点にあります。施設敷地内には、グラウンドを活用して減容化処理施設も併設され、廃棄物の適切な処理体制も整備されています。また、専門の研修を受けたハンターを「ジビエハンター」として登録し、彼らが捕獲した個体を施設に持ち込む仕組みが整えられています。搬入されたイノシシは、豚熱や放射性物質について全頭検査が実施され、さらに、捕獲から運搬、搬入、処理加工に至るすべての工程において定められた手引きに従い、厳格な衛生管理のもとで取り扱われています。こうして製造された製品は、安全・安心な「大崎ジビエ」として市場に出荷されています。

「大崎市ジビエ食肉処理加工等施設」は、単なる食肉処理施設に留まらず、地域活性化にも大きな役割を果たしています。市内や周辺地域で行われるイベントに積極的に参加し、住民との連携を深める取り組みを進めているのです。これにより、地域ぐるみでジビエ利用を推進する「ジビエの郷づくり」が着実に進展しています。たとえば、料理教室の開催や試食イベントを通じて、地域住民にジビエの魅力を広める活動も展開されています。こうした活動は、単に消費を促進するだけでなく、鳥獣被害対策の一環としても重要な役割を果たしており、持続可能な地域社会の形成に貢献しています。

イノシシの食肉処理を本格的に行う施設として、東北地方では初めての認証取得となる今回のケースは、他地域への波及効果も期待されています。日本全国では野生鳥獣による農作物被害が年間約160億円にも上るとされており、ジビエ利用の拡大はこうした問題への対策としても注目されています。特に、従来は廃棄されることが多かった捕獲個体を資源として有効活用する取り組みは、食品ロス削減にもつながる重要な施策です。

農林水産省では、今後も国産ジビエ認証制度の普及を推進し、安全で高品質なジビエの流通拡大を目指しています。また、各地のモデル事例を発信することで、全国的なジビエ利用拡大に向けた取り組みを支援していく方針です。ジビエ市場の成長には、消費者の信頼を得ることが不可欠であり、そのためには制度の厳格な運用と情報公開が鍵となります。認証施設には、今後も引き続き高い衛生管理基準の遵守が求められるとともに、地域と連携した普及啓発活動が期待されています。

「大崎市ジビエ食肉処理加工等施設」は、そのウェブサイトでも情報発信を積極的に行っており、オンラインでの精肉や加工品販売にも力を入れています。このように、販路拡大とブランド化を同時に進める姿勢は、今後の地域産業振興にも大きく寄与することでしょう。

ジビエ産業は今、食文化の多様化に応える新たな可能性を秘めています。ヘルシー志向の高まりやアウトドアブームといった社会背景も追い風となり、ジビエ製品への関心は確実に高まっています。だからこそ、安全性と品質を保証する認証制度の存在は、消費者にとって大きな安心材料となります。そして、こうした制度に基づいて認証された施設が各地で増加していくことは、ジビエ産業の健全な成長を支える礎となるのです。

農林水産省の発表によれば、現在認証を取得した施設は全国で40か所となり、今後さらに増加していく見込みです。国と地域、そして民間事業者が一体となり、持続可能なジビエ産業の発展を目指す流れが着実に進んでいます。「国産ジビエ」の信頼を一層高め、消費者の選択肢を広げるためにも、今回の第40号認証取得は大きな一歩といえるでしょう。

⇒ 詳しくは農林水産省のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ