2025年8月19日
労務・人事ニュース
大分県2025年6月に1.25倍の求人倍率、企業が押さえるべき人材確保の戦略とは
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「残業ゼロ」/准看護師/整形外科/リハビリテーション科/内科/病院
最終更新: 2025年8月23日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/有料老人ホーム/介護施設/オンコールなし
最終更新: 2025年8月23日 23:04
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「夜勤なし」/正看護師/特別養護老人ホーム/介護施設/ブランクのある方も歓迎
最終更新: 2025年8月23日 23:04
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「車通勤OK」/正看護師/整形外科/外科/クリニック
最終更新: 2025年8月23日 23:04
大分県の雇用情勢(令和7年6月分)(大分労働局)
この記事の概要
2025年6月の大分県における有効求人倍率は1.25倍で、前月より0.06ポイント低下しました。求人数は減少し、求職者数は増加傾向にある中で、採用の難易度が増す局面を迎えています。
2025年6月における大分県の有効求人倍率は1.25倍となり、前月の1.31倍から0.06ポイント低下しました。この変化は、企業側の求人活動がやや慎重になってきている一方で、求職者の数が増えているという労働市場の構造的な変化を反映しています。有効求人数は23,387人で前月より2.4%の減少、有効求職者数は18,783人で前月比2.5%の増加という結果が出ており、需給のバランスが微妙に動いている状況です。企業の採用担当者にとって、こうした細かな指標の変化を見逃さずに対応することが、優秀な人材を確保するための鍵になります。
特に正社員の有効求人倍率に目を向けると、1.15倍という結果になっており、これは前年同月より0.04ポイント低下しています。つまり、フルタイムの正社員を希望する求職者に対して、企業が提示している求人の数が相対的に減少していることを意味します。これは、採用後の人件費や教育コスト、業務の見通しに対する企業側の慎重な姿勢が背景にあると考えられます。このような状況下では、単に求人を出すだけでなく、求人内容そのものを見直し、求職者にとって「働きたいと思える職場」であることを具体的に示すことが、採用成功の鍵を握ります。
また、新規求人数は7,193人で前年同月比5.5%減となっており、とりわけ宿泊業・飲食サービス業で33.8%、卸売業・小売業で11.8%、運輸業・郵便業で8.5%の減少が確認されています。一方で、建設業は3.6%、情報通信業では驚異の49.1%増、生活関連サービス業や娯楽業では15.6%、その他のサービス業では6.9%の増加が見られました。これは業界ごとの景況感や人材ニーズが大きく異なっていることを示しており、企業の採用担当者は自社が属する産業の特性を正確に把握することが求められます。
求職の側にも大きな動きがありました。新規求職申込件数は3,874人で、前年同月比11.2%増加し、そのうち常用フルタイムの新規求職者数も12.3%増となっています。とくに離職者は1,398人で前年比15.8%増と顕著な伸びを見せています。離職理由を見てみると、事業主都合による離職者は244人と前年比で31.9%の増加、自己都合による離職者は1,105人で14.3%の増加となっており、労働者の流動性が高まっている傾向が浮き彫りになっています。企業としては、こうした状況を単なる「退職者増」として捉えるのではなく、自社の職場環境や待遇、キャリアパスにどのような改善点があるのかを再評価する機会とすべきです。
地域別にみると、大分労働局管内ではハローワーク別の求人倍率にも差がありました。最も高い倍率は大分所の1.41倍で、最も低いのは中津所の0.89倍という結果でした。このように同じ県内でも地域によって雇用環境には差があるため、採用戦略を地域特性に合わせて柔軟に設計することが必要です。都市部では応募が集まりやすくても、地方では人材の確保が難しい場合があるため、募集方法や採用チャネル、さらには勤務地に対する柔軟性なども考慮しながら最適な方法を模索することが求められます。
一方で、雇用保険受給者の実人員が5,376人と前年同月比で8.0%増加しており、これは失業状態にある人の数が増えていることを示しています。これは求職者の存在が十分にあることを意味しますが、裏を返せば、企業側の採用におけるハードルが高まっていることの表れとも言えます。求職者にとって魅力的な企業であることをアピールするには、給与や福利厚生といった条件面だけでなく、企業の価値観や社会的貢献、職場の人間関係の透明性など、多角的な要素を重視する必要があります。
また、物価上昇などの経済的要因が労働市場に与える影響も無視できません。生活コストの増加は、求職者の働き方や希望条件にも影響を与えており、企業はその変化を的確に捉えて採用戦略に反映させる必要があります。例えば、通勤手当の見直し、在宅勤務制度の導入、子育て支援制度の充実などが、労働者にとっての魅力となる可能性があります。
これらのデータが示すように、大分県の雇用情勢は一見すると有効求人倍率が1.25倍と高い水準を維持しているものの、内容を細かく見ていくと課題も多く、採用活動において一層の工夫が求められます。企業の採用担当者としては、労働市場全体の動きだけでなく、業種別・地域別の動向、求職者の属性や動機に至るまで多面的に分析し、将来の組織成長を見据えた人材戦略を練ることが重要となります。
この記事の要点
- 2025年6月の大分県有効求人倍率は1.25倍で前月比0.06ポイント低下
- 正社員求人倍率は1.15倍とやや減少し企業の採用姿勢が慎重になっている
- 新規求人は情報通信業などで増加する一方、宿泊飲食業などでは大幅減
- 求職者数は増加傾向で離職者の伸びが顕著、理由別でも自己都合が多数
- 地域ごとの求人倍率にばらつきがあり、採用戦略の地域対応が求められる
- 物価上昇など経済要因も考慮した働き方の柔軟性が採用成功の鍵になる
- 求人の量よりも質、定着を意識した採用が今後の企業成長に直結する
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