労務・人事ニュース

  • TOP
  • お知らせ
  • 労務・人事ニュース
  • 奈良県で有効求人倍率が1.19倍に上昇した令和7年4月、採用担当者が今取るべき行動

2025年6月18日

労務・人事ニュース

奈良県で有効求人倍率が1.19倍に上昇した令和7年4月、採用担当者が今取るべき行動

Sponsored by 求人ボックス

奈良県の宿泊飲食サービス業で求人が28.6%減少、採用難の現実を読み解く

令和7年4月、奈良労働局が発表した最新の雇用統計によると、奈良県における有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍となり、前月と比べて0.03ポイント上昇しました。これは全国平均の1.26倍や近畿圏の1.26倍と比較してやや低い水準ながらも、安定的に推移していることを示しています。特に注目すべきは、新規求人倍率が2.03倍と前月から0.10ポイント上昇し、活発な求人活動が続いている点です。このような背景を踏まえて、企業の採用担当者はどのように人材確保に取り組むべきか、具体的なデータとともに考察します。

まず、有効求人倍率1.19倍という数値が意味するのは、1人の求職者に対して1.19件の求人があるという状況です。これは労働市場が「売り手市場」に近づいていることを表しており、企業にとっては採用活動の難易度が上がる兆しと受け取るべきです。さらに、新規求人倍率が2倍を超えているという事実からも、多くの企業が新たな人材の確保を急いでいることが読み取れます。

このような環境では、採用担当者に求められるのは「待ちの姿勢」から「攻めの姿勢」への転換です。特に奈良県では、就業地別の有効求人倍率が1.37倍まで上昇しており、地域ごとに求人数のばらつきも見られます。従来のようにハローワークや求人広告だけに依存するのではなく、SNSや企業ホームページを活用した採用広報の強化、インターンシップや職場見学の機会を設けるなど、求職者との接点を意識的に増やす戦略が必要となるでしょう。

業種別に見ると、奈良県内では医療・福祉分野の新規求人数が前年同月比で12.3%増加し、2,991人に達しました。これに対してサービス業は前年同月比8.5%の減少、宿泊業・飲食サービス業では実に28.6%の大幅減という結果となっています。特に人手不足が深刻な医療・福祉分野においては、資格保持者の採用競争が激化しており、処遇の明確化や福利厚生の充実を前面に押し出す工夫が求められます。

製造業も前年同月比で18.5%増の840人と、求人の伸びが顕著です。特にプラスチック製品や電気機械器具、金属製品などが牽引しており、これらの分野では技能人材の確保が急務となっています。中小企業にとっては、大手と同じような待遇を提示するのは難しい面もありますが、職場の雰囲気や柔軟な勤務形態をアピールすることで、応募者の関心を引き寄せる余地があります。

一方で、宿泊業や飲食サービス業では求人が減少しており、観光客の回復が遅れていることや働き方に対する価値観の変化が影響している可能性があります。採用が難航するこれらの業界では、短期アルバイトや副業人材の活用など、従来の正社員採用に固執しない柔軟な戦略が効果的です。また、離職防止の観点から、入社後のフォローアップ体制を整えることも重要です。

奈良県における正社員の有効求人倍率は0.96倍となり、前年同月から0.12ポイントの上昇が見られました。これはパートタイムを含めた全体の求人倍率よりも低い数値であり、正社員採用の難易度が高まっていることを示唆しています。特に若年層の確保には、キャリアアップ制度や研修制度の充実が求職者に響くポイントとなります。採用段階から入社後の成長モデルを明確に提示することで、企業の魅力を伝えることが可能です。

また、奈良県全体の新規求職者数は3,754人で、前月比0.6%の増加にとどまっており、求職者数の伸びが求人の増加に追いついていない状況が続いています。離職者のうち、自己都合によるものが6.3%減、事業主都合が5.0%減となっており、労働市場における安定感が増しているとも言えます。このことは、従業員の定着率を高めることで競合との差別化が可能であるというメッセージにもつながります。

今後の採用戦略としては、数値だけでなくその背景にある業界動向や社会的要因を読み取る力が必要です。例えば、奈良県内で急激に求人が増えた運輸・郵便業は、前年同月比で76.3%の増加という驚異的な伸びを示しており、Eコマースや物流需要の高まりを背景にした成長が反映されています。これらの成長産業においては、採用活動においてスピードと柔軟性が求められます。面接の即時対応や、条件提示の迅速化などを通じて、優秀な人材の流出を防ぐ取り組みが不可欠です。

さらに、奈良県の就職件数は1,213件で、前年同月比では3.1%の減少でしたが、そのうち正社員としての就職は389件で、全体の32.1%を占めています。この数値は前年から1.2ポイント上昇しており、安定志向の求職者が増加している傾向を示しています。企業側としては、正社員登用のチャンスを明確に提示することで、より優秀な人材とのマッチングを図ることが可能になります。

このように、令和7年4月の奈良県の雇用動向を総合的に見渡すと、求人が活発である一方、求職者の動きは比較的穏やかであり、企業の採用戦略には情報分析と柔軟な発想が強く求められていることが分かります。人材を獲得するためには、賃金や待遇だけでなく、働く環境や将来性、職場の雰囲気といった定性的な要素の訴求も重視し、求職者との信頼関係を築く姿勢が重要です。

採用担当者がデータに基づいた判断を行い、業界の動向と社内の強みを冷静に見極めた上で、スピード感のある行動をとることが、これからの厳しい労働市場を勝ち抜く鍵となるでしょう。奈良県の雇用情勢は確かに変化の兆しを見せていますが、その変化の先にある「採用のチャンス」をいかに掴むかが、企業成長の明暗を分ける重要なポイントとなるのです。

⇒ 詳しくは奈良労働局のWEBサイトへ

パコラ通販ライフ