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2025年6月14日

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小規模企業の売上DIが過去最低のマイナス15.6に悪化、採用と待遇に影響懸念(2025年4月)

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全国小企業月次動向調査(2025年4月実績、5月見通し)(日本公庫)

令和7年5月27日に株式会社日本政策金融公庫が発表した「全国小企業月次動向調査」の結果は、国内の小規模企業が置かれている経済状況を端的に映し出すものであり、企業経営者や採用担当者にとっても極めて重要な情報となっています。この調査は2025年4月の実績と5月の見通しについてまとめられており、全国の中小企業1,500社を対象に実施され、1,278社からの有効回答をもって85.2%という高い回収率を記録しました。

まず売上に関してですが、4月の売上DI(Diffusion Index)はマイナス12.3となり、前月のマイナス6.3からさらに6.0ポイントも悪化しました。5月についてはさらに深刻で、マイナス15.6との見通しが示され、4月からさらに3.3ポイントの悪化が見込まれています。特に非製造業においては、4月のマイナス4.5からマイナス12.0へと急激に悪化しており、5月にはマイナス15.8と、さらに落ち込みが続くとされています。対照的に製造業では、4月のマイナス21.3からマイナス16.5へとマイナス幅が縮小し、5月にはマイナス15.5とやや回復の兆しも見られます。

業種別に見ると、特に小売業やサービス業、建設業においては5月にかけて売上DIのマイナス幅が拡大することが予想されており、需要の低迷と消費の冷え込みが深刻な課題となっています。小売業では耐久消費財、非耐久消費財ともに大きく数値を落としており、特に耐久消費財では5月にマイナス32.0という極めて低い水準が予測され、家庭用電化製品や家具などの消費が急速に落ち込んでいることがわかります。

採算面では、4月の採算DIがマイナス3.9となり、前月から5.8ポイントの下落が確認されました。ただし、5月の見通しではマイナス2.4と若干の持ち直しが期待されています。つまり、黒字企業と赤字企業の差が一時的に縮小する可能性が示唆されており、企業側によるコスト削減や価格戦略の見直しが功を奏しつつあることも考えられます。

価格に関しても注目すべきデータがあります。直近半年間において販売価格を「引き上げた」と回答した企業は全体の48.7%にのぼり、今後の見通しとしても46.3%の企業が「引き上げる」と回答している点は、物価高やコスト増に対して企業が価格転嫁を進めている実態を示しています。実際、仕入価格DIも4月には41.6と高い水準に達しており、エネルギーや原材料価格の上昇が収益構造に重くのしかかっていることが読み取れます。

一方で、米国関税の影響に関する項目では、売上に「影響がない」と回答した企業が76.9%を占め、依然として多くの中小企業が国内市場を中心に事業を展開している現実が浮かび上がります。ただし、「マイナスの影響がある」との回答も6.5%あり、そのうち「売上が10%以上減少した」との回答が24.7%、「20%超30%以下」が13.7%、「30%超」が11.0%と、特定業種では相当のダメージを受けていることが明らかになっています。具体的には、金属プレス製品やプラスチック成形品、縫製業などでアメリカ向けの出荷停止や発注減少が発生しており、これにより国内での需要開拓への転換を余儀なくされている状況です。

このような環境下において、企業の採用活動や人材戦略にも影響が出始めています。例えば、価格転嫁や業績の見通しが不透明な中で、即戦力となる人材の確保はますます困難となっており、一方で、業務の内製化や生産性向上に向けた人材育成の必要性が高まっています。販売価格の引き上げや採算の悪化は、従業員の待遇や新規採用条件にも直結するため、採用担当者としては、こうした経済指標を的確に把握したうえで、自社の人事戦略を再構築する必要があるといえます。

この調査結果は単なる数字の羅列ではなく、景気動向や業界の特性を把握し、中小企業が直面する課題とその克服の糸口を見出すための貴重な資料です。企業規模別にみると、調査対象はいずれも製造業で従業者20人未満、卸売業・小売業・飲食店・サービス業で10人未満と、小規模事業者の動向に特化したものであり、大企業とは異なる視点からの分析が可能です。こうした小規模企業の経営状況を丁寧に追跡することで、日本全体の経済活動の底流を読み解く手がかりにもなります。

また、回答企業のうち48.7%が過去半年間で販売価格を引き上げているという事実は、仕入れ価格や人件費の上昇が無視できないレベルに達していることを示しており、物価上昇が中小企業経営にどれほど深刻な影響を及ぼしているかを浮き彫りにしています。今後の経済政策や支援施策を検討するうえでも、こうした現場の実態を的確に把握することは不可欠です。

このように、本調査は全国の小規模企業のリアルな経営状況を浮き彫りにし、企業経営者や採用担当者にとって極めて実務的かつ戦略的な判断材料を提供するものです。売上の悪化や採算の悪化、価格の上昇傾向、そして外的要因である米国関税の影響など、さまざまなファクターが複雑に絡み合う中で、これからの中小企業経営に必要な視座を示しています。

⇒ 詳しくは日本政策金融公庫のWEBサイトへ

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