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2025年6月16日

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山形県の求人倍率1.23倍、採用難を乗り越える令和7年4月の戦略とは?

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酒田市で求人倍率0.92倍、採用戦略の再設計が急務

令和7年4月における山形県の有効求人倍率は1.23倍となり、全国平均の1.26倍を若干下回る水準にとどまりました。この数字は、1人の求職者に対して1.23件の求人が存在することを示しており、引き続き「売り手市場」の様相を呈しています。前月との比較では0.03ポイントの減少となっており、全国順位で見ると受理地ベースで24位、就業地ベースで22位と、やや低調な動きが続いていることが分かります。こうした労働市場の状況は、山形県内の企業にとっても人材獲得の難しさを反映しており、採用活動の見直しと再構築が求められるタイミングに来ているといえます。

まず、企業の採用担当者が注目すべきは、県内の職業別求人動向にあります。令和7年4月時点で新規求人数は11,312人、前年同月比では4.3%の増加を示しており、とりわけ医療・福祉分野では求人数が前年同月比で10.3%の伸びを見せています。これに対し、製造業は9.4%の減少、卸売業・小売業も4.1%の減少となっており、業種によって労働需要の濃淡が顕著になってきています。このような変化を受けて、自社の業種が求職者にどのような魅力を打ち出せるのかを再定義することが、効果的な採用活動の出発点となるでしょう。

また、求職者の動向にも目を向けると、令和7年4月の新規求職申込件数は6,574人で、前年同月比では1.2%の増加でした。特に注目すべきは、65歳以上の高年齢層の求職者数が前年同月比で4.9%増加しており、就業意欲のあるシニア層の動きが活発化している点です。このような層に対して企業が柔軟な働き方を提示できるかどうかは、人手不足の解消に直結する要素であり、時短勤務や定年後再雇用の整備、軽作業への配置転換など、受け入れ体制の拡充が求められます。

地域別の雇用状況も、採用戦略の重要なヒントとなります。山形市の有効求人倍率は1.45倍と県内では最も高く、ついで新庄市1.29倍、寒河江市1.19倍と続いています。一方で、酒田市では0.92倍、長井市では0.91倍と1倍を下回っており、地域間での求人倍率の格差が明確に表れています。このことは、企業が求人活動を行う際に採用エリアの広域化を検討すべきであることを示唆しています。通勤補助制度や社宅支援制度などを導入し、勤務地の柔軟性を打ち出すことで、求職者に対する訴求力を高めることができます。

正社員の有効求人倍率も1.11倍となっており、正規雇用へのニーズは引き続き高い状況にあります。非正規雇用のみに依存した採用戦略では、求職者からの信頼を得ることが難しくなる局面に差し掛かっているといえるでしょう。特に若年層や転職希望者は、安定性を重視する傾向が強いため、福利厚生やキャリアアップ制度の明示が、採用活動においては極めて重要な意味を持ちます。

さらに、求人票の見直しも急務です。求人情報は単なる条件提示ではなく、企業の姿勢そのものを伝える重要なコミュニケーション手段です。仕事内容を具体的に記載し、1日の流れや配属先の雰囲気、教育研修制度の詳細まで記述することで、求職者は職場での自分をイメージしやすくなり、応募率の向上につながります。加えて、企業理念やビジョン、地域社会への貢献度などを併記することは、企業の価値観に共感する求職者を引き寄せる大きな要素となります。

また、令和7年4月における離職理由を見ると、「自己都合」が前年度より微増した一方で、「事業主都合」による離職が14.3%減少しており、企業の安定性がやや改善した傾向が見られます。これは、職場環境の改善や労務管理の適正化に取り組む企業が増加していることを示唆しており、この流れを維持・強化することで、離職率の低下と定着率の向上が期待できます。

今後の採用市場を展望する上では、データに基づいた戦略立案がより一層重要になります。山形労働局が発信する月次統計は、採用活動のタイミングやターゲット層の選定において信頼性の高い情報源となり得ます。たとえば、就職件数は2,212件で前年同月比2.5%の増加となっており、着実に職が決まっている状況が伺えます。このうち、45歳以上の中高年層の就職件数は1,269件と全体の約57%を占めており、ミドル・シニア層を主軸にした採用が、今後ますます現実的な選択肢となることが示されています。

最終的に企業が採用で成果を上げるには、単なる「人手の補充」ではなく、「組織としての強化」を意識した採用活動が求められます。具体的には、人材の定着と育成を同時に図る体制づくり、従業員の働きがいを醸成する職場環境の整備、そして採用から退職までを一貫してマネジメントする戦略的人事の視点が不可欠です。こうした取り組みは、採用市場での競争力を確保するだけでなく、地域社会からの信頼にもつながり、結果的には企業の持続的成長に寄与することとなるでしょう。

⇒ 詳しくは山形労働局のWEBサイトへ

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